シックな空間に色合わせが生きる  部屋を創り上げる悦びが 日常を豊かにしてくれる

部屋を創り上げる悦びクラシカルな空間に
色合わせが映える

家族の成長に合わせてリフォーム

フリーランスの家具デザイナーとして活躍する土橋陽子さんは、約13年前に購入したマンションを1年程前にリノベーション。
「子供の成長に合わせて、少し変えてみたくなったんです。ある程度プライバシーを確保しながら、ほどよく家族がつながれる家にしたいと思いました」。

リビングのドアの向きを変更し、廊下の先に子供部屋が見られるように。ドアに設けられたガラス窓から、中の様子が伺える。
「電気が消えて”ああ寝たんだな”とか。子供との距離感がベストで、リフォーム後は反抗期がいい感じに落ち着いてきましたね(笑)」。
以前はもっとカラフルだったという土橋邸。現在も壁の色やドアの色、凹凸感のある天然石など、色彩と空間の変化が個性的で楽しい。
「部屋をいつもきれいに片付けるのって大変でしょう? 色が背景にあると、ある程度はものが出ていても様になると思うんです」。

「子供たちにも自分自身で色を選んで欲しかった」という土橋さん。長男の部屋はブルー、長女の部屋はピンクをDIYでペイント。
「イギリスのFARROW&BALLの塗料を使いました。ハリー王子のお部屋と同じミドルトンピンクなんですよ」と目を輝かせる。
「子供の頃からお部屋を可愛くアレンジするのが大好き」という土橋さんの思いが、部屋中に溢れているようだ。

リビング、ダイニング、ワークスペースをひとつながりにして広々と。廊下側のドアはガラス窓にしたことで光も通り抜ける。

廊下はギャラリーのよう。写真家・横浪修氏の「1000children」で撮影された長女の写真も飾られている。

左手の子供部屋のドアは、上部のみガラス窓に。突き当たりの奈良美智のアートが個性的。

リビングに続く廊下に置いたBISLEYのトレイには、子供の学校のプリントや衣類用ブラシなど動線上に配置。

FARROW&BALLのミドルトンピンクをペイントした長女の部屋。天蓋は土橋さんが作成。

色と素材の質感にこだわって

廊下は、リビングへと続く動線を意識して壁をデコレーション。リビングや居室のドアはすべて、こだわって探したものに付け替えた。
「閉じた時のドアの感触が、味気ないのが嫌なんです。ドアは少し重みのあるものがいいですね。取っ手も毎日触れるものだから、“真鍮っぽいもの”は触りたくない(笑)。真鍮であってほしいし、塗装やメッキにするくらいなら素地のままにしておいて欲しいですね」。ひとつひとつ色や形が違うドアは、ネットでとことん探した。
「家具の取っ手なども、ZARA HOMEやDULTONのものなどを使って必ず付け替えていますね。それだけで雰囲気ががらっと変わりますから」。

リビングダイニングは、キッチンからの動線を考えて間取りを変更した。壁に天然石をあしらったリビングに、“おこもり感”が出たのが気に入っているのだそう。
「天然石は雑誌のインテリア特集で見て、ぜひ取り入れたくて。それに合わせてTVボードも、代官山のgreeniche(グリニッチ)で、ウォルナットでオーダーしました」。リビングにはIDÉEの赤いラグ。クラシカルな空間には、キッチン側の壁の赤や、ルイスポールセンのPH5の赤がピリッと効いている。
「赤が好きでポイントで入れるようにしているんです。赤って、昔から特別な色とされているんですよ」。

赤で塗装した壁を、黒の枠が引き締める。

ドアの位置を変更し、動線をスムーズに。

ペニーワイズの無垢のダイニングテーブルは、月1回は磨き上げる。奥のシェルフはスウェーデンのストリング。

こもった感じが落ち着けるリビング。ソファーの上はかつてキッチン窓で、こちらはダイニングスペースだった。

ドアノブはフランスのカオリンヌ社のものに付け替え。リモージュ焼きのハンドルがおしゃれ。

細部までクラシカルに。スイッチパネル、鍵なども素材感、デザインにこだわり抜いた。

空間を楽しむ心の豊かさ

ベッドルームの大きなイエローの照明は、ご本人がデザインしたものだ。
「イラストレーターで図面を描いてレーザーカッターでカットしたのを、IKEAのペンダントランプを土台にアレンジしていきました。これだけは絶対につけたかったんです」。ライトの黄色と梁の水色を活かしてベッドメイク。カーテンもイエローで揃えて色合わせを楽しむ土橋さん。もともとIDÉEで商品開発を担当、現在はフリーでインテリアグッズなどのデザインを行っている。
「家でデザインを考えているので、疲れるとテラスに出て気分転換をしています。気候のいい時は、ハンモックでお昼寝をすると最高に気持ちがいいんです」。広々としたテラスは、視界を遮るものがなく、住宅街の景色が眼前に広がって爽快。ここもKLIPPAN(クリッパン)のブランケットが色を添えている。

「自分が本当に好きな色、好きな素材のものでまとめると、インテリアって不思議につじつまが合うんです」と語る土橋さん。日々の満ち足りた暮らしの幸福感が漂ってくるよう。
「子供たちにも、自分の部屋を自分でつくる意思を持ってほしいと思っています。暮らしを自分ものにすることが幸せにつながると思いますから」。

オリジナルの照明に合わせて黄色とブルーでコーディネートした寝室。仕上げにエルメスのpetit hのスカーフを、ベッドサイドにあしらうのがお気に入り。

遮るもののないテラスでは、ハンモックでひと休み。オオデマリの花が咲く季節は、ベッドルームから眺めるのが大好きなのだそう。

旅で入手したものなどを飾るお気に入りコーナー。デンマークやフィンランドの置物に、ヴィンテージの器など。壁の写真は、家族で訪れたフィンランドのコリ国立公園。

デザイナー土橋陽子さん。日常生活を豊かにする商品を企画開発。

土橋さんデザインの球根プランター”bulb&bouquet(ばるぶあんどぶーけ)”。外側は真鍮、中は錫のゴージャスにもカジュアルにも使えるデザイン。

こちらも土橋さんデザインの“ふんぷんクロック”。モンテッソーリの教育理念をもとに、子供にとって読みやすいことを追求して考案。

Ranking Renovation