ToKoSie ー トコシエ

新しい植物の楽しみ方多肉植物とサボテンの
水耕栽培にチャレンジ

植物には土が必要……そんな固定概念を覆す植物の育て方がある。水だけで育てる水耕栽培だ。強い生命力を持つ多肉植物なら、こんな常識外れの育て方でも、元気よく成長してくれる。

今回の水耕栽培は、インテリアショップ『無相創』の米原政一さんに教えていただいた。米原さんが店舗設計を手がける中で取り組んだチャレンジだそうだ。
「飲食店のカウンターには、衛生的な観点から、土が入った鉢が置けないことも多いんです。でも植物を飾りたい。そんなニーズがあって始めた水耕栽培ですが、試行錯誤を重ねながら新たな挑戦をしているところです」

こまめに水やりをする必要がないので、忙しい方にはかえって水耕栽培のほうが管理しやすいそうだ。

「パイナップルコーンを水耕栽培してみたら、根が生えると同時に、茎が下に向かって成長していきました。やってみなければその植物がどんな姿を見せるのかわからない。そんなところも水耕栽培のおもしろさです」

多肉植物のアエオニウム。水の中の根の美しさに目を奪われる。葉と根の両方の成長を楽しめるのが水耕栽培のおもしろさだ。
多肉植物のアエオニウム。水の中の根の美しさに目を奪われる。葉と根の両方の成長を楽しめるのが水耕栽培のおもしろさだ。

[1]多肉植物を水耕栽培してみよう

【準備するもの】
多肉植物
「多肉植物の中でも、カランコエは水耕栽培で育てやすい種類です。葉がふわふわしたものから、ギザギザしているものまで種類が多いので、好みのカランコエでチャレンジしてください」

容器
根の成長を観察しやすく、見て楽しめる透明なものがオススメ。


肥料は不要だそうだ。それよりも、週に一度くらいこまめに換え、カビなどの発生を防ぐことが大切だそう。酸素がたっぷり含まれる新鮮な水を用意することは、水耕栽培の成功のポイントのひとつ。

【水耕栽培用に多肉植物をリセット】
鉢から多肉植物を取り出し、根をカットする。土に植わっていた根は水耕栽培に適応していないので、すべて切り落とす。切り口を2〜3日乾燥させる。
挿し木で多肉植物を増やす時の要領で茎をカットし、同様に2〜3日乾燥させたものでも始められる。
切り口が乾いてから、容器にセットする。根本だけが水につかるのがベスト。数週間で水耕栽培に適応した根が出てくるはずだ。

【注意点】
室内の明るい場所の、直射日光に当たらない所に置こう。直射日光が当たると水がお湯になってしまい、大きなダメージを与えてしまう。土よりも水のほうが急激に温度が上昇してしまう。夏場は特に注意したい。

葉が縮れている種類のカランコエ・ベハレンシスが元気よく成長中。新芽が茎からも出ている。
葉が縮れている種類のカランコエ・ベハレンシスが元気よく成長中。新芽が茎からも出ている。
ベンケイソウ科の多肉植物、黒法師は、茎の丈夫にヒマワリのように葉をつける姿がユニーク。これも水耕栽培しやすい多肉植物。右はカランコエ。
ベンケイソウ科の多肉植物、黒法師は、茎の丈夫にヒマワリのように葉をつける姿がユニーク。これも水耕栽培しやすい多肉植物。右はカランコエ。
棒状の茎を分岐させながら成長する多肉植物、ミルクブッシュの水耕栽培。器は古いコーヒーサイフォンを利用。
棒状の茎を分岐させながら成長する多肉植物、ミルクブッシュの水耕栽培。器は古いコーヒーサイフォンを利用。
見た目がパイナップルにそっくりな、ユーフォルビア・パイナップルコーン。サボテンのように見えるけれど、これも多肉植物だ。茎の下のほうが水に向かって成長している。
見た目がパイナップルにそっくりな、ユーフォルビア・パイナップルコーン。サボテンのように見えるけれど、これも多肉植物だ。茎の下のほうが水に向かって成長している。

[2]サボテンの水耕栽培

サボテンも水耕栽培が可能だ。

土に植えられていた根をすべてキレイにカットし、1ヶ月から1ヶ月半、そのまま放置する。すると、小さな根が出始めるので、水耕栽培はそこからスタートさせる。

柱サボテンの水耕栽培にもぜひチャレンジしてほしい。
柱サボテンの胴を水平にざっくりとカットする。どこで切るか悩むけれど、実はどこで切ってもかまわない。1ヶ月から1ヶ月半すると発根を始めるので水耕栽培する。
カットした親の柱サボテンも切り口が乾いて、横から新芽が出てくるはずだ。

コロンとした形と金色のトゲが可愛らしいエキノカクタス属のサボテン。大きさに合わせた三角の漏斗を使えば、水位の調整も楽にできる。
コロンとした形と金色のトゲが可愛らしいエキノカクタス属のサボテン。大きさに合わせた三角の漏斗を使えば、水位の調整も楽にできる。
柱サボテンの水耕栽培はインパクト大。丈夫な柱サボテンは水耕栽培に向いている種類でもある。茎まで水に浸からないように水位を調節してあげよう。
柱サボテンの水耕栽培はインパクト大。丈夫な柱サボテンは水耕栽培に向いている種類でもある。茎まで水に浸からないように水位を調節してあげよう。
平べったい茎を生やす小さなウチワサボテンを水耕栽培に。右の多肉のカランコエは、小さなアンティークの香水ビンに。
平べったい茎を生やす小さなウチワサボテンを水耕栽培に。右の多肉のカランコエは、小さなアンティークの香水ビンに。

[DIY]たっぷりの水で育てる一工夫

「水耕栽培は、こまめに水を換え、酸素をたっぷりと含んだ水で育てるのが成功のポイントです。水量は多ければ多いほどいいのですが、柱状の茎を持つサボテンの場合、ドボンと容器に浸かってしまいます。そうならないように支えのパーツを作ってあげるとよいでしょう」

緑色の茎の先に、赤や黄色の花をつけたようなユニークな姿が特徴の緋牡丹(ヒボタン)。実は、緑色の茎は接ぎ木した別のサボテン。土に植えた状態でも接ぎ木してあるために長期的な育成は難しいのだが、土台のサボテンが強いので、水耕栽培しやすい種類でもある。

土に植えられていた時の根をキレイにカットし、1ヶ月~1ヶ月半乾かすと、小さな根が出始める。水耕栽培はここからスタート。
土に植えられていた時の根をキレイにカットし、1ヶ月~1ヶ月半乾かすと、小さな根が出始める。水耕栽培はここからスタート。
ちなみにこちらが柱サボテンの根の部分。新しい白い根が出始めたのが見えるだろうか。この状態になってから、水に挿す。
ちなみにこちらが柱サボテンの根の部分。新しい白い根が出始めたのが見えるだろうか。この状態になってから、水に挿す。
柱状のサボテンは、水位の調整が難しい。サポートのための真鍮のハリガネは、金槌で叩いて味を出す。
柱状のサボテンは、水位の調整が難しい。サポートのための真鍮のハリガネは、金槌で叩いて味を出す。
上下に輪を作り、3本でつなげる。ハンダで接合し、サボテンを立たせるための枠が完成。
上下に輪を作り、3本でつなげる。ハンダで接合し、サボテンを立たせるための枠が完成。
スタンドを使いサボテンを立たせる。酸素を含んだたっぷりの水で育てると、水耕栽培が成功しやすい。
スタンドを使いサボテンを立たせる。酸素を含んだたっぷりの水で育てると、水耕栽培が成功しやすい。

[4]西洋シノブで和の水耕栽培

多肉植物以外では、西洋シノブが水耕栽培をしやすい種類なのだそうだ。
「丈夫な植物なので、水耕栽培に向いています。株分けして根を切って、そのまま水にさしておけば発根します」

置く場所は、西洋シノブもまた、ボトル内の水温変化の少ない半日陰に。
「西洋シノブは霜がつくと枯れるのでマイナス気温にならない場所で育ててください。よく似た落葉植物のシノブはマイナス5度まで大丈夫です」

もし、水耕栽培した植物の調子が悪くなったら、土栽培に戻すのも一つの選択だ。一旦水耕栽培にしたのでリスクはあるが、もう一度根を切り直して、多肉植物なら2〜3日切り口を乾かし、サボテンならば1ヶ月から1ヶ月半乾かして発根が始まってから土に植える。新たなポテンシャルが目覚めるかもしれない。
「毎日の水やりも必要ないですし、枯らすことが少ない水耕栽培。気軽にチャレンジして、根の成長の美しさを楽しんでください」

西洋シノブの水耕栽培。繊細な葉の美しさを楽しみたい。和を感じさせる植物なので、ディスプレイの工夫のしがいもある。
西洋シノブの水耕栽培。繊細な葉の美しさを楽しみたい。和を感じさせる植物なので、ディスプレイの工夫のしがいもある。
水耕栽培の楽しみ方を教えていただいた『無相創』店主の米原政一さん。「実験する気持ちで、いろんな植物の水耕栽培に挑戦してはいかがでしょうか」
水耕栽培の楽しみ方を教えていただいた『無相創』店主の米原政一さん。「実験する気持ちで、いろんな植物の水耕栽培に挑戦してはいかがでしょうか」
株分けした西洋シノブを、フラスコや試薬瓶で水耕栽培する。容器のセレクトもセンスの見せ所だ。
株分けした西洋シノブを、フラスコや試薬瓶で水耕栽培する。容器のセレクトもセンスの見せ所だ。
『無相創』では、水耕栽培の植物の販売もしている。米原さんのセンスごと、持ち帰ることができるのがうれしい。
『無相創』では、水耕栽培の植物の販売もしている。米原さんのセンスごと、持ち帰ることができるのがうれしい。

information

無相創
植物だけのショップではなく、照明器具やアイアンシェルフなどのオリジナルのオーダー家具の製作販売、さらにはショップや個人宅のリノベーションなど、幅広く手がけてる。独特な世界観のインテリアアイテムには熱いファンが多い。

東京都世田谷区代沢4-25-8
OPEN / 10:00~19:00
定休日:火曜日
TEL:03-3795-7373