ロフトのある102㎡リノベーション デザイン性と機能性 知識を結集した家族の居場所

ロフトのある102㎡リノベーションデザイン性と機能性
知識を結集した家族の居場所

“どう暮らしたいか”を明確にして

ワンストップサービス「リノベる。」に勤める田形梓さんは約1年前リノベーションを決意。
「仕事上、リノベにはずっと憧れがありました。コロナ禍でリモートワークが始まり、もっと広いスペースが欲しいと家族全員が思うようになって、引っ越しを検討し始めました」。
80㎡の2階建て1軒家から築47年102㎡のマンションへ。今年2月にリノベーションが完了して入居した。
「以前は“ザ・廊下”があったり、上下階の温度差を感じたりしていましたが、快適性と無駄のない造りを考えてリノベーションしたので、広さも実際以上の実感値がありますね」。
プランを立てる際、まず家族全員の希望を資料にまとめて設計士さんにプレゼンしたそう。
「長女が“みんなで過ごせるスペースが欲しい”と書いていたことにじーんときました(笑)。重用視したのは“どんなことでケンカするか”と“何がしたいか”という項目。実現したい暮らしを明確にして、間取りに反映させました」。
ダイニングキッチンとつながったリビング。突き当たりの壁は、ポーターズペイントを家族でDIY。「夜になると深い緑色に変わってさらにいい雰囲気です」。イスはマルニ60×ミナペルホネン。右手のキャビネットは吉祥寺のアンティークショップで一目惚れして購入したもの。

ダイニングキッチンとつながったリビング。突き当たりの壁は、ポーターズペイントを家族でDIY。「夜になると深い緑色に変わってさらにいい雰囲気です」。イスはマルニ60×ミナペルホネン。右手のキャビネットは吉祥寺のアンティークショップで一目惚れして購入したもの。

ダイニング。ストレージには建具を設けず、お気に入りの「ieno textile」のファブリックを。

ダイニング。ストレージには建具を設けず、お気に入りの「ieno textile」のファブリックを。

ダイニングからキッチン方向を見る。たくさん収納できるパントリーを設置。キッチンの床は、汚れに強い塩化ビニールタイルに切り替えた。角の処理によりタイル調に見えるのも魅力。

ダイニングからキッチン方向を見る。たくさん収納できるパントリーを設置。キッチンの床は、汚れに強い塩化ビニールタイルに切り替えた。角の処理によりタイル調に見えるのも魅力。

動線を考えてプランニング

和室が2部屋あった3LDKを、広々としたLDK、ベッドルーム、子ども部屋、土間、バスルーム、ロフトで構成される空間へ。L字型のベランダにぐるりと取り囲まれた空間は、どの部屋にも自然光がたっぷり差し込む。
「角部屋は条件にして探したんです。以前から家庭菜園をやっているので、近くに畑が借りられる立地にもこだわりましたね。駅からも近くて良い物件が見つかりました」。
玄関を入ると広がる土間には、収穫したばかりの野菜が。
「外から帰ってきて一旦荷物などを置いておける場所が欲しかったので、土間は希望しました。暮らしてみて、昔の暮らしは合理的だったんだなと思いましたね」。
土間には夫と2人で使えるワークスペースも設置した。
「このスペースの窓だけはベランダがなく、下を覗くと少し怖かったので、窓枠に格子をはめてもらいました。家のシンボル的な意匠にもなって気に入っています」。
少し赤みがかったモルタルの土間を通ってベッドルームへ。本来は廊下であるLDKへの通り道には、家族全員で使える大容量のクローゼットを設けた。
「“ケンカ”の原因になっていたクローゼット問題を解決するために考えたんです(笑)。向かい側には洗面、ランドリーがあり、洗濯物をここで収納できる動線になっていて、家事がとても楽になりました」。
モルタルの土間に設けたワークスペースで。窓にはめた格子が家のシンボル。右側にベッドルームがある。

モルタルの土間に設けたワークスペースで。窓にはめた格子が家のシンボル。右側にベッドルームがある。

「ieno textile」のカーテンを取り付けた、落ち着いた雰囲気のベッドルーム。Zoom会議に対応するため、テーブルを壁に造作。バーチカルブラインドを閉め、ベッドをイス代わりにして出席する。

「ieno textile」のカーテンを取り付けた、落ち着いた雰囲気のベッドルーム。Zoom会議に対応するため、テーブルを壁に造作。バーチカルブラインドを閉め、ベッドをイス代わりにして出席する。

土間からLDKへの通り道に大容量のクローゼットを。家族それぞれのスペースが決まっている。

土間からLDKへの通り道に大容量のクローゼットを。家族それぞれのスペースが決まっている。

クローゼットの向かい側に、タオルなどの収納棚を。天板の上でアイロンをかけたり、洗濯物を畳んだりができる。

クローゼットの向かい側に、タオルなどの収納棚を。天板の上でアイロンをかけたり、洗濯物を畳んだりができる。

土間にはオープンなシューズクロークを。収穫したタマネギを日陰で保存。

土間にはオープンなシューズクロークを。収穫したタマネギを日陰で保存。

L字型に連なるベランダには、アウトドアチェアを置いて外気浴を楽しむ。

L字型に連なるベランダには、アウトドアチェアを置いて外気浴を楽しむ。

実験室用のシンクを採用した、スケール感のある造作の洗面台。天板の一部に穴を開け、洗面台の内部にダストボックスを置いている。

実験室用のシンクを採用した、スケール感のある造作の洗面台。天板の一部に穴を開け、洗面台の内部にダストボックスを置いている。

趣味を楽しむロフトを設置

「もうひとつの希望はロフトを設けることだったんです。主人のCDやDVDなどの置き場に困っていて。リノベーションをするなら、絶対にロフトは欲しいと思っていました」。
LDKの一角に設けられた白い箱のようなロフトには、下に夫の趣味のグッズを、上は子どもの本などを中心に収納。図書室であり秘密基地のようなこのスペースは、“何がしたいか”を反映させた場所。家族それぞれが自由に好きなことを楽しむことができる。
「特に長女が本好きなので、子ども部屋の長女のスペースからも、ロフトの上に上がれるようにしています」。
ふたりのお子さんの部屋はひとつの個室を中で間仕切り。中央に置かれた2段ベッドが、空間を緩やかに分けている。
「これも、最初にまとめた資料に“ひとりの部屋は欲しいけど、でも寂しいのはイヤ”と書いた次女の気持ちを反映したものです。LDKとの仕切りの壁にも次女の希望で室内窓を設け、つながりが感じられるようにしています」。
子ども部屋の入り口前にあるロフト。上のフロアには右手の階段で登る。

子ども部屋の入り口前にあるロフト。上のフロアには右手の階段で登る。

下のフロアは主に夫のスペース。音楽を聴いてゆったりと過ごすことができる。

下のフロアは主に夫のスペース。音楽を聴いてゆったりと過ごすことができる。

子どもスペースである上のフロアには、琉球畳を敷いた。

子どもスペースである上のフロアには、琉球畳を敷いた。

ロフトの上からリビングを見る。自分の時間を持ちながらも、つながりを感じることができる。

ロフトの上からリビングを見る。自分の時間を持ちながらも、つながりを感じることができる。

長女の部屋からロフトの上にあがることも。壁は躯体現しに。

長女の部屋からロフトの上にあがることも。壁は躯体現しに。

2段ベッドを挟んで現れる次女のスペース。子ども部屋の床はヘリンボーン張り。

2段ベッドを挟んで現れる次女のスペース。子ども部屋の床はヘリンボーン張り。

スマートホームでさらに快適に

建具は子ども部屋とトイレのみ。個室は最小限にして、共有スペースは広々とさせた。キッチンは造作のアイランドを中心に、回遊できるスタイルに。
「アイランドにはハイチェアを置けるスペースがあり、電源も使えるようにデザインしているので、ここで仕事をすることも可能です」。
あらゆるところにコンセントやUSBタップもスタンバイ。照明、エアコン、ロボット掃除機、音楽など諸々をスマートホーム化するため、アレクサの配線がごちゃつかないよう設計段階から置く場所を考えていたそう。
「自動で鍵が締まるスマートキーや、外出先でもスマホで応答できるインターホンなども重宝しています。デザインも機能面もやりたいことをほぼ実現できたので、満足していますね」。
前の家ではできなかったグリーンを育てるため、インナーバルコニーも設置。リモートワークが続く中も、癒しの時間を楽しんでいる。
「自分で納得してここまで作り上げた空間なので、暮らす気持ちが全然違います。家族もみんな毎日快適に、心地よく過ごせていますね」。
リビングとダイニングを梁が緩やかにゾーニング。中央のトランクは夫の祖父が使っていたもの。

リビングとダイニングを梁が緩やかにゾーニング。中央のトランクは夫の祖父が使っていたもの。

できるだけ大きくシンクを取るため、作業台としてアイランドを選んだ。左奥にパントリーを。床は汚れが目立たない色味に。

できるだけ大きくシンクを取るため、作業台としてアイランドを選んだ。左奥にパントリーを。床は汚れが目立たない色味に。

アイランドはダストボックスに合わせて設計。天板にはステンレスを採用し、棚は可動式に。

アイランドはダストボックスに合わせて設計。天板にはステンレスを採用し、棚は可動式に。

リビングの一角にインナーバルコニーを。室内窓の向こうに次女の部屋がある。

リビングの一角にインナーバルコニーを。室内窓の向こうに次女の部屋がある。

飛騨の工房でオーダーして作ったテーブル&イスの色味に合わせて、オークの床を赤味のある塗料で塗装した。

飛騨の工房でオーダーして作ったテーブル&イスの色味に合わせて、オークの床を赤味のある塗料で塗装した。

カーテンをクリップでアレンジ。やわらかな光が室内に通る。

カーテンをクリップでアレンジ。やわらかな光が室内に通る。

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