木箱に多肉植物を寄せ植えする  石を配して、自然を 切り取ったような景観を作る

木箱に多肉植物を寄せ植えする石を配して、自然を
切り取ったような景観を作る

自然の一部を切り取ったような世界観を、木箱と多肉植物で作る。そんなワークショップが、青山のスパイラル5階の『ミナ ペルホネン』が手がけるライフスタイルショップ『call』で開かれた。

「木製のプランターは、陶器の鉢に比べると温度変化が少なく、夏の暑さや冬の寒さから根を守ってくれます。また水持ちも良いので、植物に優しい器と言えます」と『YARD』の梅津収一さん。

マンションのベランダは、夏の照り返しや冬のコンクリートの冷え込みや強風などで、過酷な条件になることが多い。そんな環境でも育てやすい多肉植物を、ウエスタンレッドシダーで作られたウッドプランターに寄せ植えする方法を教えていただいた。

『YARD』の梅津さんが2年前に作った寄せ植え。「外に出しっぱなしの放置状態ですが、どんどん成長し、花も咲いてくれます」

『YARD』の梅津さんが2年前に作った寄せ植え。「外に出しっぱなしの放置状態ですが、どんどん成長し、花も咲いてくれます」

木箱と土を準備する

一辺が約20センチのウッドプランターに3種類の多肉植物を植えていく。

多肉植物は痩せた土地で育つ植物なので、栄養分となる有機物を抑えた用土が適している。今回準備した用土も、唯一の有機質が樹皮を発酵させて作ったバーク堆肥だ。
水はけをよくしながら、適度に空気と水分を保つ、8種類の土をブレンドする。

木製プランターと、鉢底ネットを準備する。石と、グランドカバー用の小石や礫も用意したい。
他に、用土を入れるためのスコップ、土を隙間なく押し込むための割り箸、多肉植物をカットする時に使うハサミや、掃除のための刷毛もあるとよい。

寄せ植えを待つ多肉植物たち。今回はここから3種類を選んで植え込んだ。

寄せ植えを待つ多肉植物たち。今回はここから3種類を選んで植え込んだ。

ウエスタンレッドシダーの木目の表情がひとつづつ違う。鉢として使うので防腐処理が施されている。

ウエスタンレッドシダーの木目の表情がひとつづつ違う。鉢として使うので防腐処理が施されている。

約20cmの大きさのウッドプランターに、3種類の多肉植物を植える。バランスを見ながら、好きな種類をピックアップ。

約20cmの大きさのウッドプランターに、3種類の多肉植物を植える。バランスを見ながら、好きな種類をピックアップ。

ナチュラルな景観を作るための石や、用土をカバーするための小石や礫なども準備する。

ナチュラルな景観を作るための石や、用土をカバーするための小石や礫なども準備する。

鉢底には水はけのためのスリットが開いているので、土が流れないよう鉢底ネットで覆う。スコップがあると土を入れやすい。割り箸は土を隙間なく押し込む時に使う。

鉢底には水はけのためのスリットが開いているので、土が流れないよう鉢底ネットで覆う。スコップがあると土を入れやすい。割り箸は土を隙間なく押し込む時に使う。

多肉植物に最適な土の配合。奥から、赤玉土、鹿沼土(土を酸性に保ち排水性もいい)、ピートモス(水持ちがいい)、バーク堆肥、バーミキュライト(排水性がいい)、燻炭(PHの調整)、日向土(排水性を高める)、軽石(空気と水分を保つ)。

多肉植物に最適な土の配合。奥から、赤玉土、鹿沼土(土を酸性に保ち排水性もいい)、ピートモス(水持ちがいい)、バーク堆肥、バーミキュライト(排水性がいい)、燻炭(PHの調整)、日向土(排水性を高める)、軽石(空気と水分を保つ)。

今回のワークショップを指導した『YARD』の梅津収一さん。庭造りのセンスの良さは『ミナ  ペルホネン』の皆川明さんのお墨付き。

今回のワークショップを指導した『YARD』の梅津収一さん。庭造りのセンスの良さは『ミナ ペルホネン』の皆川明さんのお墨付き。

石を使って箱庭を作ろう

多肉植物に適した用土に植物を植えていく。

ポイントは、鉢や、根と土の間に隙間ができないように、しっかりと土を入れていくこと。割り箸などを使って、用土を押し込むようにしていくとよい。

カッコよく仕上げるために使うのが石。岩の隙間から多肉植物が生えているような箱庭を作ることができる。

背が高く倒れてしまうような苗は、茎の下に石を入れることでスタイリッシュに仕上がる。

多肉植物の苗のプラスチックのポットを外し、用土を少し入れたプランターに配置して、用土を入れていく。特に根はほぐすなどの必要はない。

多肉植物の苗のプラスチックのポットを外し、用土を少し入れたプランターに配置して、用土を入れていく。特に根はほぐすなどの必要はない。

水やりの時に水が溢れないようにするために、鉢のヘリから用土まで1cm程度の余裕を残す。

水やりの時に水が溢れないようにするために、鉢のヘリから用土まで1cm程度の余裕を残す。

大きめの苗の下に石を入れてグッと持ち上げる。カッコよくバランスよく仕立てるためのコツだ。

大きめの苗の下に石を入れてグッと持ち上げる。カッコよくバランスよく仕立てるためのコツだ。

割り箸などを使い、ウッドプランターの隅々まで隙間なく用土を入れる。土と根の間にも隙間ができないようにする。

割り箸などを使い、ウッドプランターの隅々まで隙間なく用土を入れる。土と根の間にも隙間ができないようにする。

用土を礫や小石などで覆って完成。

用土を礫や小石などで覆って完成。

水やりは、土が乾いてからたっぷりと

植え替え後はたっぷりと水やりをする。

「一人前のガーデナーになるまで“水やり5年”と言われるぐらい、適正なタイミングとあげ方には修行が必要だと言われています」と梅津さん。

水やりで厳禁なのが、用土が乾かない前に、ちょろちょろと継ぎ足すやり方。
乾いてからたっぷりと水をあげることで、土の中の空気が入れ替わり、根にたっぷりと酸素が行き渡る。ちょろちょろ継ぎ足しだと、それが上手く行われず、根腐れの原因にもなる。
特に乾いた環境が好きな多肉植物には、乾いてから→たっぷり、が鉄則だ。

根を守るため、夏は朝晩の涼しいうちに(日中に水をあげるとお湯になり根を痛めてしまう)、冬は日中の暖かい時間にあげるとよい。

「多肉植物は光が大好きなので、屋外で育てるほうが元気になります。ただし、今回の植え替えは寒い時期に行ったので、今年の冬は窓越しの光がたっぷり入る場所に置いて、暖かくなってから外に出したほうがよいでしょう」

植え替えが終わったら、しっかりと水やりをする。葉の上からジョウロを使って優しく水をかければ、病害虫の予防にもなる。

植え替えが終わったら、しっかりと水やりをする。葉の上からジョウロを使って優しく水をかければ、病害虫の予防にもなる。

普段の水やりも、用土が乾いてから、鉢底から水が出るまでたっぷりと水をやるのが上手に植物を育てるコツ。

普段の水やりも、用土が乾いてから、鉢底から水が出るまでたっぷりと水をやるのが上手に植物を育てるコツ。

今回ワークショップに参加された生徒さんの作品。水やりを終え、気持ち良さそう。

今回ワークショップに参加された生徒さんの作品。水やりを終え、気持ち良さそう。

『call』の店内で行われたワークショップ。お天気が良ければテラスでの開催を予定していた。

『call』の店内で行われたワークショップ。お天気が良ければテラスでの開催を予定していた。

『call』の広いテラスの植栽や、メダカが泳ぐビオトープは『YARD』が作ったもの。

『call』の広いテラスの植栽や、メダカが泳ぐビオトープは『YARD』が作ったもの。

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