ToKoSie ー トコシエ

旧さに寄り添うリノベーションヴィンテージマンションの
ポテンシャルを活かす

風が通り抜ける心地よい空間

代々木公園にほど近いヴィンテージマンションが、ビストロ『アルル』『ウルラ』カフェ『ミメ』『オーレ』、ベトナム料理の『ヨヨナム』、カフェと雑貨とお花のお店『pivoine』など6軒のオーナー、ヤマモトタロヲさんと、コーディネーターの郁美さんご夫妻のお宅だ。
「もともと同じマンションの3軒隣に住んでいました。角部屋のここが売り出されたのを知り、『江口智行建築設計事務所 IVY AND VINES』の江口さんにリノベーションをお願いしました。江口さんとは事務所がご近所で、サッカーも一緒にする仲なんです」

実はタロヲさんは美大の建築学科卒で、建築事務所に2年半在籍していた経歴を持つ。自身で図面を引きながら打ち合わせをしたそうだ。

「風が気持ちよく通り抜ける高台に建つマンションなので、その良さを最大限に活かすことを考えてリノベーションしました」
LDKの間仕切りを取り払い、リビングをオープなワンルームに。扉はルーバーのある風通しの良いものを選んだ。

「背面の木製パネルは既存のものです。リノベの際に、ぜひ残したいもののひとつでした」 ソファはフィン・ユール。オットマン付きのシングルソファはハンス・J・ウェグナー。
「背面の木製パネルは既存のものです。リノベの際に、ぜひ残したいもののひとつでした」 ソファはフィン・ユール。オットマン付きのシングルソファはハンス・J・ウェグナー。
カイ・クリスチャンセンのユニットシェルフ。隣接するウォークインクロゼットにも風が抜けるように上部にスリットを設置。スリットはもともとこの家にあったものを移設した。
カイ・クリスチャンセンのユニットシェルフ。隣接するウォークインクロゼットにも風が抜けるように上部にスリットを設置。スリットはもともとこの家にあったものを移設した。
たっぷりのグリーンが心地よい。味わい深いクラシックなスタイルのサッシから、気持ちのいい風が入ってくる。
たっぷりのグリーンが心地よい。味わい深いクラシックなスタイルのサッシから、気持ちのいい風が入ってくる。
デンマーク製のチーク材のボックス。内側にはブリキの箱が入っていて、植物の鉢をそのまま並べることができる。「大人のジオラマですね(笑)」
デンマーク製のチーク材のボックス。内側にはブリキの箱が入っていて、植物の鉢をそのまま並べることができる。「大人のジオラマですね(笑)」
広いリビングは、ゆったりとくつろげるソファスペースと、ダイニングがゆるやかに分けられている。
広いリビングは、ゆったりとくつろげるソファスペースと、ダイニングがゆるやかに分けられている。
ストックくんが見守るベランダには、イチジクやハーブなど、食べることができる植物も多いのだとか。
ストックくんが見守るベランダには、イチジクやハーブなど、食べることができる植物も多いのだとか。
リビングの一角のPCを置いたスペース。イスはカイ・クリスチャンセン。
リビングの一角のPCを置いたスペース。イスはカイ・クリスチャンセン。

多国籍MIXなダイニングキッチン

料理人でもあるタロヲさんが、友人を招いて料理をふるまうこともあるダイニングは、和箪笥にフランスやアジア、日本各地の食器が収められた、センス溢れる無国籍な空間。北欧家具を中心としたリビングとは少しテイストが異なる。

「キッチンは前のオーナーが残したものをそのまま使っています」。タイルも変えず、扉だけラワン材のものに変更した。

「60年前に建てられたこのマンションが持っているポテンシャルの高さをなるべく生かす方向でリノベーションしました」
リビングの壁の木製パネルはそのまま残し、ウォークインクローゼットとリビングの間のスリットは移設している。

そして新しくした床や漆喰の壁、ルーバーのついた扉、チーク材の天井などは、経年変化が楽しめる素材を選んだ。旧いものと新しいものが、美しく調和している。

手前は和家具の食器棚。「キッチンは扉だけラワン材に変えました」
手前は和家具の食器棚。「キッチンは扉だけラワン材に変えました」
ナチュラルな素材で作られた美しいキッチン用品が掛けてあるパイプは、ベランダに水栓を新設するために敷いた水道管なのだそう。布をかければ、カーテンレールにもなる。
ナチュラルな素材で作られた美しいキッチン用品が掛けてあるパイプは、ベランダに水栓を新設するために敷いた水道管なのだそう。布をかければ、カーテンレールにもなる。
ヤマモトタロヲさん。1歳3ヶ月になる、ひよりちゃんの良きパパ。
ヤマモトタロヲさん。1歳3ヶ月になる、ひよりちゃんの良きパパ。
フランス産のとてもおいしいハーブティを淹れていただいた。
フランス産のとてもおいしいハーブティを淹れていただいた。
キッチンのタイルは張り替えずにそのまま使った。
キッチンのタイルは張り替えずにそのまま使った。
南フランスのダイニングテーブルに、レストランで使う業務用のイスを並べた。「長椅子はフランスのチャーチチェアだと思います」
南フランスのダイニングテーブルに、レストランで使う業務用のイスを並べた。「長椅子はフランスのチャーチチェアだと思います」

旧い診療台の脚をカットし、ベンチに

玄関を入るとすぐに素敵な空間が広がる。
リノベ前は小さな居室だった場所は、靴やスーツケース、アウトドアグッズを見せながら収納するスペースになっている。玄関と同素材の、モルタルにモールテックスで仕上げた床が連続する土間の空間だ。
 

サイザル麻を敷いた玄関横の空間には、古い診療台の脚をカットしたベンチが置かれている。
「ここに座って北側の窓から眺める新宿の夜景が好きなんです」。 
真四角に景色が切り取られたピクチャーウィンドウも、この建物が持つポテンシャルのひとつだ。

玄関入ってすぐのスペースにあるベンチは、診療台の脚をカットしたものだそう。右側の格子戸の奥がストックルームになっている。
玄関入ってすぐのスペースにあるベンチは、診療台の脚をカットしたものだそう。右側の格子戸の奥がストックルームになっている。
漆喰に炭を混ぜた“炭漆喰”の壁。陶器のような味わいが感じられる。
漆喰に炭を混ぜた“炭漆喰”の壁。陶器のような味わいが感じられる。
鳥が気持ちよく空を飛ぶ寝室。寝室の壁も炭漆喰仕上げ。
鳥が気持ちよく空を飛ぶ寝室。寝室の壁も炭漆喰仕上げ。
「前に住んでいたオーストラリア人の方が浴室をリノベしていました。タイルと浴槽は替えましたが、形は変えずに使っています」
「前に住んでいたオーストラリア人の方が浴室をリノベしていました。タイルと浴槽は替えましたが、形は変えずに使っています」
玄関脇の風通しのいい格子戸を開けると、シューズクロークがある。玄関のモルタルを延長させた土間のような空間。
玄関脇の風通しのいい格子戸を開けると、シューズクロークがある。玄関のモルタルを延長させた土間のような空間。