家族3人の75㎡リノベーション。 人。風。光。通り道をテーマにした住まい。

家族3人の75㎡リノベーション。 アアルトの動く壁が叶えた、
間取りに囚われない家。

水回りの生活導線の良さが、物件購入の決め手に。

結婚3年目を迎えるA家は、夫婦と7ヶ月になる娘の家族3人暮らし。1年半前に約75㎡ある築37年の中古マンションを購入し、フルリノベーションをした。
物件購入の決め手となったのは、導線の良さを考えた水回りだった。
「7、8件ほど内見をしたと思います。水回りの位置を変えようとすると大掛かりな工事が必要になるので、なるべく既存の形を生かせる物件を選びました」と話すのは旦那様。
「水回りの位置は、内見の際に図面で必ずチェックをしていました。この物件は水回りが一ヶ所に集まっていて、さらにキッチンの横にお風呂場があります。料理をしている途中でお風呂を沸かすためのスイッチを押したり、リアルな生活導線をイメージすると理想的な配置でした」と奥様が続けた。
リビングの一角に設けられた壁付けキッチン。

リビングの一角に設けられた壁付けキッチン。

コンロの下にはシンプルな収納を造作。

コンロの下にはシンプルな収納を造作。

キッチンの奥はバスルーム。

キッチンの奥はバスルーム。

キッチンの壁面は左半分がタイル貼り、右半分がコンクリート。

キッチンの壁面は左半分がタイル貼り、右半分がコンクリート。

50年代の英国製ヴィンテージキャビネットは、福岡糸島にある北欧家具専門店「humming joe」で購入。

50年代の英国製ヴィンテージキャビネットは、福岡糸島にある北欧家具専門店「humming joe」で購入。

50年代デンマーク製のダイニングテーブル。北欧家具屋「talo」で購入。

50年代デンマーク製のダイニングテーブル。北欧家具屋「talo」で購入。

キッチン部分の総面積は約14㎡。

キッチン部分の総面積は約14㎡。

目指したのは、暮らしながら一緒に育つ家。

リノベーション後の住まいは、新しく壁を立てたり、小上がりを作ったりはせず、3LDKから1LDKのシンプルな間取りへと生まれ変わった。
「色々やりたいことはあったのですが、本当に必要なもの以外を削ぎ落としていった結果、いまの形になりました」と旦那様。
「暮らしていく中で、必要だと感じるものを少しずつ足していければいいかなと思っています。家族と一緒に育つ家というか。ライフステージによって、必要なものはどんどん変化していくと思うので、その余地を残したリノベーションにしました」と奥様。
たとえば、壁や天井は塗装をせず、躯体のコンクリート剥き出しで仕上げた。また部屋の中央を横切る引き戸には、ラワンの素地をそのまま使っている。
この引き戸は両側を閉じると、土間とリビングを分断する大きな壁へと変化する。
「新婚旅行でフィンランドへ行ったときに、建築家アルヴァ・アアルトの自邸を見に行きました。その家に動く壁のような引き戸があったんです。それをイメージして、デザイナーの鷲山さんに作っていただきました」と奥様。
築37年、総面積は約75㎡。

築37年、総面積は約75㎡。

ハンス・ウェグナーのソファは「MOTO FURNITURE」で購入。

ハンス・ウェグナーのソファは「MOTO FURNITURE」で購入。

「LITTLE THINKERS DOLLS」のぬいぐるみ。カートヴォネガットとアインシュタイン。

「LITTLE THINKERS DOLLS」のぬいぐるみ。カートヴォネガットとアインシュタイン。

アルヴァ・アアルトの自邸からヒントを得た引き戸。

アルヴァ・アアルトの自邸からヒントを得た引き戸。

両方の引き戸を閉じれば、壁となり空間を仕切る。

両方の引き戸を閉じれば、壁となり空間を仕切る。

娘が生まれたときの足形などを飾って。

娘が生まれたときの足形などを飾って。

腰高の本棚は「無印良品」のもの。

腰高の本棚は「無印良品」のもの。

台所と呼びたくなる、どこか懐かしいキッチン。

リビングの一角に設けられた壁付けキッチンは簡素なつくりでありながら、日本の台所を思わせる懐かしさがある。ダイニングテーブルをはじめとるするキッチンに置かれたヨーロッパ製のヴィンテージ家具には、どこか日本の古道具っぽさがあり、この空間にマッチしている。
「デンマークなどの北欧家具もいくつかあるのですが、そんなに北欧っぽくないというか、色の出すぎないものを選んでいます」と旦那様が説明してくれた。
またキッチンの壁は、左半分がタイル貼り、右半分がコンクリートの躯体現しになっている。
「最初は全面コンクリート剥き出しにする予定でした。しかしいざ解体工事をしたら、接着剤の残った壁が出てきたので、そのままでは無理だと言われたんです。そこで汚かった部分にはタイルを貼り、きれいだった右半分は予定通りコンクリート剥き出しにしました。想定外の出来事でしたが、結果的にこの家ならではの個性的なキッチンになったと思います」と奥様が当時を振り返る。
そしてもう一つ印象的なのは、約5㎡の広々とした玄関の土間。
農家を営んでいる奥様の実家から届いたお野菜の泥を払ったり、出張の多い旦那様のスーツケースを置いたり、お子さんが生まれてからはベビーカー置き場としても活躍している。
「うちは荷物が多いので、物は一箇所にまとめて収納しようと思い、土間をつくりました。もともと和室だったので、クローゼットは押し入れだった部分をそのまま活用しています」と奥様。クローゼットには扉をつけずにカーテンで目隠しをするなど、作り込みすぎないスタイルを一貫している。
リノベーションを振り返ると、夫婦には共通の思いがあった。
「予定していた2倍くらいの見積もりになってしまったので、もう一度内容を見直す必要がありました。そのために2人で解体中の物件に足を運んで、どこが削れて、どこが削れないかを再検討。当時は断腸の思いでしたが実際に住んでみると、やらなくて正解だったなと思うことがいっぱいありました」
「家具が入ることを考えると、これくらいのシンプルさでちょうどよかったです。できないことがあるくらいのほうが、リノベーションはいいところに落ち着くんだと思います」と当時を振り返りつつ、笑顔で締めくくってくれた。
玄関スペースには約5㎡の土間を設けた。

玄関スペースには約5㎡の土間を設けた。

土間の床面はモルタルで塗装。

土間の床面はモルタルで塗装。

シューズクロークは「METALSISTEM」のもの。

シューズクロークは「METALSISTEM」のもの。

出張の相棒は「RIMOWA」のアルミニウム製スーツケース。

出張の相棒は「RIMOWA」のアルミニウム製スーツケース。

出張先のドバイで買った木彫りのラクダ。

出張先のドバイで買った木彫りのラクダ。

土間の一角には、カーテンで仕切られた収納スペースが。

土間の一角には、カーテンで仕切られた収納スペースが。

カーテンを開けると、衣類の並んだクローゼットが出現。

カーテンを開けると、衣類の並んだクローゼットが出現。

収納棚には扉を設けずカーテンで目隠し。

収納棚には扉を設けずカーテンで目隠し。

唯一の個室は、在宅ワーク時の仕事部屋として活用中。

唯一の個室は、在宅ワーク時の仕事部屋として活用中。

リノベーションは「nu(エヌ・ユー)リノベーション」に依頼。

リノベーションは「nu(エヌ・ユー)リノベーション」に依頼。

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