都心から緑豊かな環境へ築38年目から
家族の歴史を刻む家
床上38cmでペイントした理由とは
窓の外に緑道の緑が広がる自然豊かな環境に建つ集合住宅をリノベーションし、都心から杉並区に生活の場を移した設楽さんファミリー。設計は建築設計事務所no.555を主催する建築家の土田拓也さんに依頼した。
「仕事でお付き合いがあり、同じ小学校を卒業した先輩でもあります。リノベするならぜひ土田さんにお願いしたいと思っていました。
土田さんは “家は造り込みすぎないほうがいい”、必要ならば施主があとから追加できる“余白”があったほうが住みよい家になると考え設計してくださいます。家族の成長に合わせて住まい方を変えられるので、将来が楽しみです。
物件は自分で探したのですが、プロの目で建物や管理の状態をチェックしていただけたのも心強かったですね」
家族の成長は、壁も見守っている。床から38cmの高さまでコンクリート現し、その上は白くペイントした。
「築38年でリノベーションしたので、ここから先は自分たちがこの家の歴史を作っていくという気持ちを込めています」
一番居心地のいい場所をキッチンに
それではリノベ前はどこにキッチンがあったかというと、現在はウォークインクローゼットになっている場所。クローズドな場所を収納にする発想の転換だ。
「モノはこのクローゼットに収まるだけにすると決めて、家をなるべくすっきりさせるよう心がけています」
キッチンのコンロ側に作業スペースを広げられるよう、折りたたみ式の天板を設置した。
「アイランドキッチンの周りを子どもたちが走り周っていることもあって、あまり活躍の機会はないです(笑)」
漆喰の壁はDIYで
「お風呂からの湯気を、調湿効果のある漆喰に吸ってもらいたいと考えました。
できるところは自分たちで施工することで、家に愛着が湧きますね。DIYの経験をしたことで、ドアの建て付けの調整やペンキ塗りなど、ちょっとした修正は自分でさっとできるようになりました」
築38年で越してきてから6年が経った。
「リノベの際にあれこれ考えた住まいも長く住むうちに日常となりますが、DIYで手を入れるちょっとした変化が再び住まいに目を向けるきっかけにもなります。次はどうしようと考えるのが楽しくなるんです」