市中山居に憧れて鎌倉の自然を五感で感じる
茶室のある住まい
茶の湯の世界を日常に取り入れる
マンションが立ち並ぶ都会で暮らしていたMさん。同居していたご両親が亡くなったことをきっかけに、一緒に暮らしていたお兄さんと憧れていた鎌倉に移り住んだ。「鎌倉には、自然があって歴史があって文化がある。お散歩する所もたくさんあって良いかなと」。そこでお兄さんと購入し移り住んだのが、築10年以上あるおよそ92㎡のマンションだった。「両親と暮らしていた場所はかなり古くて、すぐに引っ越しを決めました。自然を楽しみたいと言っても、山の中では不便なので駅から徒歩圏にある、この場所は気に入っています」。
30年以上茶道を嗜むMさんには憧れのライフスタイルがあった。自宅に茶室を設け、街中にありながら山中のひなびた風情を感じる“市中山居”の暮らし。それがリノベーションのテーマになった。
30年以上茶道を嗜むMさんには憧れのライフスタイルがあった。自宅に茶室を設け、街中にありながら山中のひなびた風情を感じる“市中山居”の暮らし。それがリノベーションのテーマになった。
茶室を不自然な空間にしない障子を使ったゾーニング
Mさんが物件探しを依頼したのは、湘南エリアを中心に土地や物件を取り扱う湘南隠れ家不動産。代表の町田大光さんが、以前、弟さんと同じ職場で働いていた縁からだった。「鎌倉はマンションが多くないので、物件は早めに決まりましたね。自然を楽しみたいMさんにとってピッタリでした」と町田さん。
湘南隠れ家不動産は施工会社の紹介も行っており、茶室を作りたいというMさんの要望に、設計工房 GAKUを紹介した。「茶室の施工経験がある建築会社は多くないのですが、GAKUさんなら過去の実績から間違いないと思いご紹介させていただきました」と町田さんは話す。
元々、茶室部分は洋室で、リビングダイニングと壁で分けられていた。加えて、キッチンとの間にも壁があったが、これらをなくし広い空間を確保。さらに、茶室との仕切りとして障子を採用したことで自然とリビングダイニングと繋がる空間を演出した。提案したのはGAKU代表の岩間さん。「障子なら茶室を一つの空間にしつつ採光も可能です。完全に茶室にすると用途が限られてしまいますが、これなら客間としても使えます」。
湘南隠れ家不動産は施工会社の紹介も行っており、茶室を作りたいというMさんの要望に、設計工房 GAKUを紹介した。「茶室の施工経験がある建築会社は多くないのですが、GAKUさんなら過去の実績から間違いないと思いご紹介させていただきました」と町田さんは話す。
元々、茶室部分は洋室で、リビングダイニングと壁で分けられていた。加えて、キッチンとの間にも壁があったが、これらをなくし広い空間を確保。さらに、茶室との仕切りとして障子を採用したことで自然とリビングダイニングと繋がる空間を演出した。提案したのはGAKU代表の岩間さん。「障子なら茶室を一つの空間にしつつ採光も可能です。完全に茶室にすると用途が限られてしまいますが、これなら客間としても使えます」。
さりげないこだわりを見せる草庵
茶室の建材には岩間さんのこだわりが光る。壁はわらスサが入った土壁、和紙の腰壁、天井に使われているスス竹は150年民家を支えていた茅葺屋根の竹を採用した。床の間も見どころの一つ。床柱、床框、落とし掛け、相手柱、それぞれが違う素材で作られており趣がある。釿で削った跡や、ほぞ穴のある床柱、船の櫓だった相手柱など見る人を飽きさせない。「これらの素材を扱っているところを回ってイメージ合うものを探しました」と岩間さん。
元々洋室だった空間の窓側には、茶器や道具を収納する水屋のスペースがあり、茶室へと繋がる茶道口を設けた。ゲストはリビングダイニングでくつろいでもいいし、お茶を楽しみたくなったら、気軽に茶室に入る。「期待以上の出来でした」とMさんも大満足。
茶室に加えMさんお気に入りの場所が、大きな窓の前に設置されたクスノキの一枚板で作られたワークスペースだ。
「ここに座って景色を見ながら仕事をしたり、コーヒーを飲んだりとか何かをするのが楽しいです。新緑や桜、冬の枯れた木々など目の前にある山が四季折々の景色を見せてくれます。ここに住んでから、寝る前にバルコニーに出て深呼吸をするのですが、季節によって香りが違うんですね。そういう足元の自然を五感で感じる生活になりました」。
街の中にありながら、離俗的な山中にいるかのようなゆとりを感じさせる空間が、茶の湯の世界で生まれた言葉 “市中山居”を体現する。
元々洋室だった空間の窓側には、茶器や道具を収納する水屋のスペースがあり、茶室へと繋がる茶道口を設けた。ゲストはリビングダイニングでくつろいでもいいし、お茶を楽しみたくなったら、気軽に茶室に入る。「期待以上の出来でした」とMさんも大満足。
茶室に加えMさんお気に入りの場所が、大きな窓の前に設置されたクスノキの一枚板で作られたワークスペースだ。
「ここに座って景色を見ながら仕事をしたり、コーヒーを飲んだりとか何かをするのが楽しいです。新緑や桜、冬の枯れた木々など目の前にある山が四季折々の景色を見せてくれます。ここに住んでから、寝る前にバルコニーに出て深呼吸をするのですが、季節によって香りが違うんですね。そういう足元の自然を五感で感じる生活になりました」。
街の中にありながら、離俗的な山中にいるかのようなゆとりを感じさせる空間が、茶の湯の世界で生まれた言葉 “市中山居”を体現する。