暮らしのプロのリノベーション動線と色彩計画で快適に
長居したくなる大空間
バルコニー付き物件をフルリノベ
「ずっと一戸建てに住んできたので、マンションは初めての選択でした」。
と、ライフオーガナイザーの瑞穂まきさん。新築で購入した後、リノベーションも行って暮らしていた戸建ては、周りの道路拡張工事の騒音が気になり引っ越しを決意。たまたま見つけた、都心に建つ当時築13年の物件を即決した。
「1棟丸ごとリノベーションというコンセプトで、路地裏をイメージしたエントランスなど、モダンな共用部が魅力的でした。この部屋は3面開口で、リビングに面して広いルーフバルコニーがあったことが決め手になりました。北向きですが、落ち着いた光が入り、夏は涼しく冬も意外と暖かく過ごせて正解でしたね」。
“箱型マンションにはない面白さ”を感じた95㎡。リノベーションを担当していたリビタから紹介された設計者に相談しつつ、2度の戸建てフルリノベ経験と、ライフオーガナイザー、カラーコンサルタントの知識を活かしてフルリノベーションすることに。
動線を分け、回遊型の間取りに
瑞穂さんがまずこだわったのは動線。
「仕事上、ゲストがいらっしゃることがあるので、家族の帰宅時の動線を分けられるように考えました」。
三和土を横に広げて余裕を持たせた玄関には、LDKに入るドアとは別に、ウォークスルークローゼットから洗面、バスルーム、個室へとつながるドアを設置。来客時には顔を合わせず、かつ回遊して各個室に入れる間取りにした。
「パブリックスペースとプライベートスペースを分けること、LDKを広く取り、個室はコンパクトにしてゆっくり休めるようにすることを、設計士さんにお伝えしました」。
ライフオーガナイザーとしての経験も活かし、必要な大きさの収納を必要な場所に設置。
「自分がどのくらいのモノを持っていて、どのくらいの収納がどこに必要か、ということも考えましたね。帰宅すると靴や上着を片づけ、洗面で手を洗って個室へ。スムーズな動線が暮らしやすさにつながります」。
キッチン天板を軸に色彩を計画
もともと空間に興味があり、気になったインテリアの写真を集めては、スクラップブックを作っていたそう。
「リビングから見える位置にオープンなアイランドキッチンを設ける、というイメージも固まっていました。ショールームを回って見つけた天板をどうしても使いたくて、それに合わせてキッチンをオーダーし、空間全体のイメージを膨らませていったんです」。
人造石の天板に入っている様々なカラーをピックアップして、LDKのあちこちに使用。キッチンの面材や扉などは、モールディングを施してクラシカルなデザインに仕上げた。
「以前住んでいた家はシンプル&ナチュラルがテーマでしたが、ここはもう少し大人っぽくシックでエレガントをベースに、ナチュラルな要素を少しだけ加えたいと思いました。色選びにもこだわっています」。
浮造り仕上げのオーク材を使ったLDKの床の色調は、キッチン側の壁の石質タイルや、ルーフバルコニーの床材とも調和する。全体はグレーの色調で統一され、落ち着く雰囲気。
「グレーといっても色々な種類があるんです。壁紙やドアの塗装などに、少し赤みのあるグレーを選んでいるのですが、そうすることで洗練された中にも温かみを添えられます」。
ゲストも寛ぐ快適な空間
ベッドルームの一面にはボタニカル柄の壁紙を取り入れた。
「気に入った壁紙なのでどこかに使いたいと思い、ベッドルームのアクセントにしました。以前から持っていたベッドのヘッドボードの高さに合わせて設けたニッチや、全体のカラーコーディネートに柄の色調を反映させています」。
ニッチは就寝前に携帯など、ちょっと置いておきたいものが置けるようにと計画したもの。コンパクトなベッドルームの使い勝手を考えた。
「ベッドルーム側にあるベランダも、色々なコーディネートを楽しみ、寛げるようにしています。細かいところまで、すべてにこだわってデザインしているので、毎日心地よく過ごせています。お客様もうちに来ると居心地がいいらしく、なかなかお帰りにならないんです(笑)」。
家族やゲストとのコミュニケーションの場として、空間にかかわる仕事の活動拠点として、充実した時間を生み出している。