立地の眺望を最大限に活かす開けた視界と余白が生む
開放感とフレキシブルな住空間
眺望を求めマンションリノベ
高台に建つ築10年のマンションに住むYさん夫妻。8階の角部屋で南東2面にある窓からの景色が購入の決め手になった。「ここに来る前は賃貸アパートの1階に住んでいて日当たりが良くなかったので、物件を探す際は採光を重視していました」と夫。
当初は戸建てを探していたが気に入るものがなかったという。「戸建てだと間取りがだいたい決まっているし、住宅街の中だと開放感がないなと」と話す妻。そこで中古マンションを購入しリノベーションをすることを視野に入れ、物件探しの幅を広げた。そこで見つかったのが、およそ75㎡の今の住まい。「都心のビル群が見える一方で、山々の中に富士山が見える景色に一目惚れしました」と内見した時を振り返る夫。
眺望と開放感を求めて見つけた物件で行ったリノベーションのテーマは“シンプル&ナチュラル”。良質な暮らしを楽しみたいという夫妻のこだわりが詰まっている。
家族の変化に合わせて変わる住空間
物件を探す中で見つけたのが、設計・施工を手掛けたツバメクリエイツだった。「作り込みすぎないテイストがナチュラルな雰囲気にしたい自分の好みと合っていたのと、集合住宅のリノベーションを専門にされているので安心してお願いできるなと」と妻。Yさん夫妻は要望を具体的に資料にまとめ、実現に向け打ち合わせを重ねた。
様々な要望の中で夫妻がこだわったのは、視界が開けたリビングダイニング。購入の決め手になった眺望を最大限に活かすため、元々3部屋に仕切っていた壁をなくして開放感のある空間にした。2方向に窓ができたことで、視覚的な広さだけでなく充分な採光を確保している。「あとから仕切って部屋を作ることも出来る自由な空間にしたかった」と家族が増えることも想定しフレキシブルに変えられるようにしたと話す夫。
また、3部屋に分かれていた空間を繋げるにあたり、ワークスペースを新たに設けた。夫は「コロナ禍で世間はリモートワークだったり、リモート学習が主流でした。今後、そのような時に適度に分かれた空間があると便利だろうなと思い、希望しました。単に書斎への憧れもありました」と振り返る。
リビングダイニングとワークスペースを区切る壁には、圧迫感をなくして空気の循環と空間の抜け感を出すために室内窓を設置。「室内窓が空間の良いアクセントになり、とても気に入っています」と妻。ワークスペースは、将来的に子供の勉強部屋やウォークインクローゼットにすることも想定し、あえて作り込まず自由度の高い部屋になっている。
家事がしやすく飽きない住まい
開放感に加え、もう一つ大切にしたのは家事がしやすい空間づくり。キッチンにあるモールテックスのカウンターには妻のこだわりが詰まっている。「モールテックスを袖壁まで塗りたくて、キッチンカウンターの幅を少しリビングダイニング側に出して広げました」。幅を広げたことで作業がしやすくなるだけでなく、モールテックスを袖壁いっぱいに伸ばすことで空間の繋がりを演出。また、カウンターの高さをギリギリまで下げ、リビングダイニングとのやり取りを容易にし、テーブルに座る人の視界が抜けるようになっている。
ウォークインクローゼットに設置された、脱衣所に繋がるランドリーシュートも家事をしやすくする工夫の一つ。帰宅して脱いだ外着を入れるために設置した。「ゆくゆく子供ができた時に、体操着や給食袋とか忘れずに入れられるところがあればいいなと」と子供時代に自分が忘れがちだったのでと笑顔で話す妻。
Y夫妻は以前の住まいから物が少ない方だったため、物で着飾らなくても殺風景にならない心地よい空間づくりを目指していた。使われている素材やちょっとした工夫が随所に見られるのはそのため。ただ、最近変化があったと妻。「リノベーションの参考に色々な事例を見ている中で、今まで見てこなかった照明や家具などを知ることができました。これから厳選して物を増やしてアップグレードしたいという思いもあります」。
余白がある住空間だからこそ家族のかたちや心境、その時々の状況によってフレキシブルに対応できる。眺望が開けた新たな住まいが、夫妻の“これから”を窓から見える景色のように広げている。