機能的な回遊空間動的な開放感がある住まい
リノベで暮らしが変わった
生活の変化をきっかけに
築年数およそ30年のマンションを購入し、リノベーションをしたKさん夫妻。購入のきっかけは生活環境の変化だった。「職場が変わって、以前の住まいでは通勤に片道1時間半かかっていたのが負担になっていました。そんな中、子供が小学校に上がるタイミングだったのでいいきっかけかなと。最初からリノベーションを検討していたわけではなかったのですが、調べていく中で“リノベかっこいいな”と思うようになって」と話す夫。85㎡4LDKと部屋数が多かったところを、面積の広さを活かすため2LDKにしたことで余裕のある生活空間と回遊動線が生まれた。
目指したのは、ほどよいインダストリアルさと所々のナチュラルな要素が共存する住まい。動的な回遊と開放的なリビングダイニングキッチンが閉塞感のない心地よい場所を作り出している。
回遊が作る開放的で機能的な空間
デザインと施工は以前から知っていたツバメクリエイツに依頼した。「シンプルで飽きないテイストが多くて、その中にインダストリアルをテーマにした事例もあったのでお願いしました」。ツバメクリエイツを信頼しテーマを伝えたあとは、ほとんどお任せだったというKさんだが、いくつか希望を出した。
一つは2つの回遊動線を設けて籠りがちな部屋を開放すること。リビングダイニングに接する洋室だったところを、キッチン、パントリー、洗面所が繋がる動線にした。洗面所とパントリーの間にはユーティリティスペースもあり、機能的にも考えられた動線になっている。「天気が悪い日に洗濯物を干したりアイロンをかけたり、特別何かをするためにというよりはオールマイティに使う空間にしています」。
もう一つの回遊動線は、和室だった空間の一部を使って設けたウォークインクローゼットと寝室を繋ぐ。回遊動線を設けたことでウォークインクローゼットに空気が籠もらず、寝室での視覚的な開放感も演出している。
元和室の一部を活用したワークスペースの設置もKさんの希望。リモートワークの際に使うことに加えて、Kさんが学生の頃から趣味にしているDJに使う機材などを収納できる空間になっている。
リノベーションで広がる価値観
Kさん夫妻は元々はインダストリアルな空間を目指していたが、リノベーションの内容を検討する中で気持ちの変化があったという。「ずっとインダストリアルな雰囲気で暮らすのはどうかなと思い、ナチュラルな雰囲気を加えることにしました」。インダストリアルになりすぎない空間作りを目指し、キッチンの天井に木の羽目板を取り付けるなど工夫がされている。部屋を飾る観葉植物もその工夫の一つ。「植物に興味はなかったのですが、この空間にグリーンが映えると思って色々調べて試しています」。ダクトレールを活用し耐陰性のある植物を中心に飾ることで、インダストリアルな空間に安らぎをもたらすアクセントになっている。
現状を気に入っているものの、家具やアートなどを加えてさらに空間を作り込んでいきたいと話すKさん。「リノベーションをきっかけに価値観が広がりました。インテリアにも興味を持ちましたし、以前からやりたいと思っていたハンドドリップコーヒーも始めました。週末はほぼ家でゆったりと飲んでいますね」。リノベーションをしたことで以前から始めたかったことを始めただけでなく、関心事が増えたという。リノベーションが住まいの変化だけではなく、住まい手自身をも変えていく。