コーポラティブハウスをリノベ 自宅、オフィス、アトリエ。変幻自在な住まい。

進化し続けるコーポラティブハウス 自宅、オフィス、アトリエ、宿。
変幻自在な暮らし方。

日本で1番か2番目にできたコーポラです。

クリエイティブディレクターであり、ヴィーガンカフェ「エイタブリッシュ」代表である川村明子さんを訪ねた。川村さんは2003年に新築で購入した港区内のコーポラティブハウスに暮らしている。
コーポラティブハウスとは、入居希望者が集まって組合を結成し、自ら事業主となって建てる集合住宅のことを指す。建てるところから計画に参加するため、間取りを一から自由に決められるのが特徴だ。
「ここはおそらく日本で1番か2番目にできたコーポラだと思います。結婚を機にマンションを買うことになり、その時にたまたま新聞のチラシで募集を見て応募しました。計画当初は別の場所で8世帯を募集していたのですが、集まらなかったために一度なしになったんです。それでも6世帯は集まっていました。その6世帯で建てられるものを造ろうということになり、この場所になりました」と、当時を振り返る川村さん。
現在の間取りは、玄関のある階にキッチンを備えたリビングダイニング、その上にオフィス、その上に寝室、そして屋上にガーデンテラスという構成だ。
築22年、総面積は約89㎡。

築22年、総面積は約89㎡。

「Knoll」のサーリネンテーブル。大理石天板。

「Knoll」のサーリネンテーブル。大理石天板。

NYの空を表現したGil Kuno作「Sky Mini 02」。

NYの空を表現したGil Kuno作「Sky Mini 02」。

壁には半分にスライスしたベルギーのレンガを貼った。

壁には半分にスライスしたベルギーのレンガを貼った。

2013年にリフォームした大理石天板のキッチン。

2013年にリフォームした大理石天板のキッチン。

右の壺は「LOEWE Weaves」のチェスナッツ・ロースター。

右の壺は「LOEWE Weaves」のチェスナッツ・ロースター。

ソファはスイスの家具メーカー「Vitra」のもの。

ソファはスイスの家具メーカー「Vitra」のもの。

フォラットコーテッドレトリバーの油絵は川村さんのお父様が描いたもの。

フォラットコーテッドレトリバーの油絵は川村さんのお父様が描いたもの。

アメリカのティンパネルを天井に装飾。

アメリカのティンパネルを天井に装飾。

家は基地。仕事場も住まいも臨機応変に。

20年の間に何度もリフォームを行い、手を加えながら暮らしてきた。1回目のリフォームは、住み始めて10年が経った2013年頃。
「リビングはもともと石の土間だったんです。でも寒すぎてフローリングに張り替えたのが最初のリフォームでした。住み始めた当時は寒くてもいいから、かっこよく暮らしたいという気持ちが勝っていました(川村さん)」
同時期にコンクリート打ちっぱなしだったキッチンを、大理石の天板に改修。2019年までは、いま寝室がある3階をアトリエとして使っていた。
「アトリエは、みんなの宿でもありました。地方や海外から東京へやってきた友人が、入れ替わり立ち替わり長期滞在で過ごす部屋です。私自身、アメリカの大学を卒業していたこともあり、抵抗はありません。家は必ずしもプライベートな空間というわけではなく、考える場所、基地みたいな所だと思っています」
そして2019年に寝室だった中2階を、事務所へと改修した。
「別の場所に構えていたオフィスを自宅に移転しました。コロナがあって、色んなことをできるだけミニマルにしようと思ったこと。また一人でいるよりも、仲間と共にクリエイションを考える時期にしたいと思いました。最近また忙しくなってきたので、今年の秋にはオフィスを外に移す予定です。そうしたら、今度はここはリビング兼アトリエにしようと思います」と続けた。
リビングの上は現在オフィスとして活用中。

リビングの上は現在オフィスとして活用中。

玄関脇の階段はカーペット敷き。

玄関脇の階段はカーペット敷き。

階段を上がるとオフィスが現れる。

階段を上がるとオフィスが現れる。

世界中のデザイン関連の本が所狭しと並んでいる。

世界中のデザイン関連の本が所狭しと並んでいる。

オフィスで作業中のスタッフさん。

オフィスで作業中のスタッフさん。

キャビネットは「USMハラー」のもの。

キャビネットは「USMハラー」のもの。

オフィスにもさりげなく飾られたお父様の作品。

オフィスにもさりげなく飾られたお父様の作品。

時代も性別も超えて。インテリアは普遍的なデザインに。

家具オタクです、と話す川村さん。なかでもお気に入りは1950年代のデザイン。石材を使っていたり、アールの曲線が入っていたり、建築的でありながらエレガントな印象を与えるものが多いそうだ。部屋のインテリアを考える際は、時代や性別を超える普遍的なイメージを大切にしているという。
「たとえばリビングの場合、ネイビー、白、黒、ステンレスで構成しています。カーテン、ソファ、クッションはネイビーで統一。所々にステンレスを使いながら、テーブルはガラスの天板にしたり、アクセントに白の小物を置いたり。そうすることで、フェミニンにもメンズライクにも寄らずに、時代も超えられます」と、説明してくれた。
そして先月、バスルームの改修工事を終えた。斜めの大きな窓と、ガラス張りの扉から採光のとれる、明るく開放的な浴室だ。
「長く住んでいると色んなところに少しずつほころびが出てきます。シャワーやトイレなどの機器類が一つずつ壊れていって、その都度リフォームを行ってきました。そのたびに『この先、どう生きたいか?』という問いに向き合ってきました。これから先、どういう風にお風呂に入りたいか?と考えたとき、今の形になりました。32歳で家を買った時に作ったバスルームとは違います。過ごしてきた年月と経験値によって、少しずつ好みのスタイルが変化していったのが、リフォームにも表れています」と、締め括ってくれた。
環境が変わるたびに、一番過ごしやすい形に変えながら暮らしてきた川村さん。そんな柔軟な生き方が、住まいにも反映されている。
オフィスの上にある寝室。

オフィスの上にある寝室。

寝室にもベルギーのレンガ壁を採用。

寝室にもベルギーのレンガ壁を採用。

寝室横のテラスからは優しい日光が射す。

寝室横のテラスからは優しい日光が射す。

母からもらった日本橋三越の化粧台。

母からもらった日本橋三越の化粧台。

寝室から階段方向への眺め。

寝室から階段方向への眺め。

先月完成したばかりのバスルーム。

先月完成したばかりのバスルーム。

バスルーム横の洗面室。

バスルーム横の洗面室。

寝室の脇にある階段を上がって屋上のテラスへ。

寝室の脇にある階段を上がって屋上のテラスへ。

屋上のガーデンテラスで寛ぐスタッフの皆さん。

屋上のガーデンテラスで寛ぐスタッフの皆さん。

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