4人家族の200㎡超リノベーションコの字型の造作キッチンから、
暖炉のあるリビングを眺めて。
ホテルを手掛けた設計士に、自宅のデザインを依頼。
今年で結婚15年を迎える桑野家は、夫婦と小学生、中学生の息子さんの4人暮らし。約202㎡ある築50年のマンション物件を購入。フルリノベーションを行い、3年前から暮らしている。
「以前は100㎡ほどの物件に暮らしていました。下の息子が生まれて手狭になったので、もっと広さのある物件を探し始めたのがきっかけです」と話すのは、夫の克己さん。
リノベーションの設計は、建築設計事務所「SUPPOSE DESIGN OFFICE」の代表・谷尻誠さんに依頼。克己さんは五島列島の福江島でデザイナーズホテル「hotel sou」を経営しており、その設計を担当したのが谷尻さんだった。
「ホテルのデザインがすごく素敵だったので、自宅のリノベーションも谷尻さんにお願いしようと決めました(克己さん)」
内装デザインは重厚感のある石の素材をメインに使い、ホテルライクな雰囲気を演出。無機質になりすぎないよう建具には木材を取り入れ、住居らしい温かみをプラスした。
完全造作したコの字型キッチンと大容量のパントリー
玄関を入ると目に飛び込んでくるのは、コの字型のアイランドキッチン。部屋の中央にあるキッチンからは、LDKを一望することができる。
「前の家ではキッチンが奥まった場所にあったので、料理中に子供たちの様子を見ることができませんでした。今は料理をしながらも、リビングにいる家族とコミュニケーションをとれて安心です」と話すのは、妻の真理さん。
そしてキッチンの横には、ガラス張りの学習室を設けた。
「引っ越してきた時にちょうど長男が中学受験のタイミングだったので、キッチンから目の届く場所に勉強用の部屋をつくりました。そのあとすぐコロナ渦になり塾がリモートになったので、学習室をつくって本当によかったです。家庭教師の先生が来てくださった時もここを使っています」と続けた。
またキッチンの背後には大きなパントリーを用意した。冷蔵庫や洗濯機などの大型家電から、食材のストックまでまるっと収納している。
「リビングからキッチンが丸見えなので、来客時にさっと仕舞える収納場所が必要でした。壁面も収納になっているので、キッチン周りだけでもかなりの収納力があります(真理さん)」
200足の靴も楽々収納できるワードローブ。
部屋の総面積の約半分に当たる76㎡をLDKにあてた桑野邸。キッチンより後ろの面積には、家族の寝室やワードローブなどのプライベートスペースをまとめた。アパレルのお仕事に携わっていたこともあり、靴や洋服がお好きだと話す克己さん。
「私の靴だけでも200足くらいあると思います。それらを全て収納できるような大容量のワードローブをお願いしました。扉を閉めれば一続きの壁のように見えるので、物が多くてもすっきりと収納できます」
個室は夫婦それぞれの寝室のほかに、約17㎡の子供部屋を用意。壁沿いに置かれた背の高い本棚を真ん中に移動すれば、子供部屋を二つに分けることができる。
「息子たちそれぞれに部屋が必要になった時のことを考えて、ドアや配線は左右に2つずつ作ってもらいました」
そして寝室やトイレも含めて、この家には天井まで高さのある壁を1枚も設けていない。天井を塞がないことで、202㎡という大空間につながりをもたせる、こだわりの設計だ。こうしてマンションでありながら、ギャラリーのような奥行き感のある住まいが完成した。