アアルトにインスパイアされて赤茶のタイルを敷き詰めた
北欧ノスタルジック空間
リノベ済み物件を再アレンジ
自分たちの理想の家に暮らしたいと、リノベーションを選択した關川さんご夫妻。個別セミナーに参加したnuリノベーションに物件探しから依頼、築40年62㎡の物件を購入した。
「職場に通いやすく、南向き限定、なるべく上階にあって視界が抜ける部屋を探しました。リノベ済みで売り出されていたのですが、既存のものを活かすことでコストも抑えられました」と、妻・加奈子さん。とはいえ既存利用したのはバスルームと、新規交換済みの配管のみ。2LDKをほぼフルスケルトンにして1LDK+ウォークインクローゼットに変更した。
「希望したのはLDKを広く取り、とにかく開放的にすること。ベッドルームも天井までない壁で緩やかに仕切り、LDKとつなげることで光が通るようにしました」。
2.7畳の子ども部屋と3.4畳のウォークインクローゼットのみを個室に。生活まわりのものはすべてWICに収められるようにして、すっきりさせたLDKで、好みのスタイルを楽しんでいる。
タイルを敷き詰めて、海外のように
内装を決めるため色々な事例に触れるうち、気がついたのはミッドセンチュリー期のデザイン、特にアルヴァ・アアルトの北欧スタイルが好みだということ。
「あまり日本らしくなく、海外の家のような雰囲気にしたいと思っていました。ざっくりとnuの設計デザイナーさんにお伝えしたところ、すぐに理解して下さり、イメージにぴったりのプランを提案していただきました」。
憧れだったアアルトのマイレア邸を参考に、玄関からLDKまで、赤茶色のタイルを敷き詰めることを決定。
「もともとキッチンだけの予定だったのですが、設計デザイナーさんが“全部行きましょう”と(笑)。相談を重ねる中で、ベランダ側の一部分は白タイルに切り替えることにしたのですが、それによって床に光が反射して、室内が明るくなりました」。
当初、白を予定していた長男・晟正くんの子ども部屋、WIC側の壁は木目調に。シックでどこかノスタルジックな空間を、絶妙な位置に配置された間接照明が、幻想的に照らす。
使い勝手を考えてキッチンを造作
調理師として働く加奈子さんは、キッチンにもこだわりがあった。
「キッチンは作業のしやすさを考えて造作してもらいました。ピンタレストで設計デザイナーさんとイメージを共有しつつ、私の身長に合わせた高さと使いやすい広さ、コンロやシンクの位置などを細かく指定しました」。
カタログを見てひと目惚れし、採用したのが大きな円錐形のような換気扇。
「床にタイルを貼ることで全体にシャープな印象になるかなと思い、アーチのついた換気扇にしたんです。“これを選ぶ人はあまりいない”とお聞きしましたが(笑)」。
夫・典英さんのこだわりは、たくさん持っているスニーカーを眺められるようにすること。玄関のオープンな靴収納には、様々なカラーのスニーカーがずらりと並んでいて圧巻。広く取られた玄関ホールには、洗濯機もオープンに置かれている。
「仕切って隠す必要は特にないのかなと思って。見えていた方がいつもきれいにしておけると思うので、WICにもガラス窓を付けました。洗面室も要らないとお伝えし、帰宅してすぐに手を洗える位置に、洗面台をオープンに設けました」。
インテリアへの興味が広がる
中学生の時に観た「かもめ食堂」が印象的だったという加奈子さん。北欧やアアルト好きはその頃から始まっていたのかもしれない。
「映画に出てきたゴールデンベルを絶対につけたくて、ベッドルームに採用しました。家具は、設計デザイナーさんに薦めていただいたソファやダイニングテーブルのほかに、自分で探したヴィンテージものを揃えています」。
リノベーションをきっかけに、インテリアへの興味も掘り起こされていったそう。
「賃貸のときは引っ越しのこともあり、一つのテイストに絞れなかったのですが、今は自分の空間を自由につくることができるので、インテリアショップなどを回るのも楽しいですね」。
この先もずっと、ここで暮らしていくことを思い描き、家具も更新中。
「今はイスがどんどん増えてきてしまって(笑)。でも、将来子どもの友達が来たときに、ここでみんなに料理をふるまうのが楽しみなんです。イスはその時に出番があると思うし、さらに素敵な空間に仕上げていきたいですね」。