リノベーション企業社長の住まい住み替えの楽しさ、
リノベの楽しさを多くの人に広めたい
病気をきっかけに27歳でマンションを購入
さいたまを中心にリノベーションの設計・施工を展開するツバメクリエイツの代表を務めるMさん。同社でディスプレイのスタイリングを行う奥さまと8歳の娘さんとともに、さいたま市内の80㎡の3LDKのマンションに暮らしている。Mさん一家は、実は同じマンション内で2回転居していて、現在の住まいは3軒目。3軒で計4回のリノベーションを行なってきた経験は、「リノベーション・マスター」と呼ぶにふさわしいものだ。
Mさんが最初にマンションを購入したのは、27歳のとき。きっかけはMさんにガンが見つかったことだった。「早期発見だったので内視鏡手術ですぐに治ったんですが、これを機に一度きりの人生だからなんでも挑戦したいと思うようになりました。そこで家を買おうと思ったんです」(Mさん)。当時は店舗デザイナーとして会社勤めをしていたMさん。既に結婚していたため、夫妻でマンションを探し始めたが、すぐに壁に突き当たった。「当時は中野に暮らしていたので、都内のヴィンテージマンションがいいねなんて言っていたんですが、病歴がネックになって団体信用生命保険に加入できず、ローンが組めなかったんです」(奥さま)。その後、住宅ローン・フラット35なら団体信用生命保険への加入が任意だと知り、フラット35に対応する物件探しへとシフト。「耐震基準やグレードなどの面で条件を満たしたのが、さいたま市のこのマンションだったんです」。
宮城県出身のMさん夫妻にとって、さいたまは初めて住む土地。「住んでみたら、都心部へのアクセスも良く、都内へのこだわりがなくなりました」(Mさん)。「子育てしやすいうえ車をもてるなど、都内では叶わない良さもあることに気づきました」(奥さま)。その後、Mさんは30歳で起業。「よく、どうして埼玉で起業したのか聞かれるんですが、マンション購入がきっかけなんです」。
付加価値を生み出すリノベで起業
最初に購入したのは、1階の60㎡の部屋。Mさん自ら改修設計をした部屋は、夫妻いわく「攻めた間取り」だったという。「夫婦2人暮らしだったので、玄関の扉を開けたら間仕切りなしの大空間。水回り以外はワンルームの空間に、家具を置いて暮らしていました」(Mさん)。その後お子さんが生まれることになり、寝室を設け、リビングとダイニングを分けるリノベを行なった。
その部屋に暮らした5年の間に、Mさんは独立しツバメクリエイツを立ち上げた。「自分自身が中古マンションを購入してリノベしたことで、リノベの楽しさと可能性を知りました。そこから、付加価値を生み出すマンションのリノベーションを中心とした事業を立ち上げたいと考えるようになったのです」。
2軒目の物件購入の理由は、家族3人の生活により手狭になったことから。「当初はオフィスを構える大宮も検討したのですが、子どものお友達やマンション内のコミュニティに愛着があったので、離れたくなくて。たまたま5階が空いたので、マンション内で引っ越しました」(奥さま)。2軒目の部屋は75㎡で、アイアンやモルタル、ブリックレンガなど多彩な素材を使ってリノベーションを行なった。
「リノベ物件の住み替えにはテクニックが必要」と話すMさん。「今住んでいる家の売却を前提に2軒目の購入を申し込んで、リノベして入居してから引き渡すことで、スムーズな住み替えが可能です。リノベによって付加価値が生まれているので、売却もスムーズですし、多くの場合は利益が出ます」(Mさん)。
ライフスタイルの変化に対応した住み替えを
「自分好みにリノベした空間に暮らす心地よさと、その後住み替える楽しさの両方を知ってもらいたい」と話すMさん夫妻。その言葉どおり、Mさん一家は昨年末に3軒目を購入してリノベーションし、転居したばかり。今回紹介する新たな住まいは6階の80㎡で、リノベの特徴はツバメクリエイツの標準見積もりの材料だけを使用したことだ。「標準仕様の範囲内でも、ここまで完成度の高いリノベーションができることが示せました」(Mさん)。
いずれは売却することを前提にしているため、間取りはオーソドックスな3LDKにした。インテリアをコーディネートをした奥さまは「2軒目は多様な素材を使ったのに対して、今回は落ち着いた雰囲気の空間にして、家具アクセントをつけました」と話す。
リノベーションも4回目となり、リノベの奥深さを楽しんでいる様子の夫妻。「マンションの場合は、立地と物件をしっかり選べば、価値が大きく下がることはほとんどありません。一生に1回の買い物と構えず、ライフスタイルの変化に対応して住み替えていく提案していけたらと思っています」(Mさん)。