モールテックスのベンチを造作 夫婦それぞれに居場所のある 開放的につながったワンルーム

モールテックスのベンチを造作夫婦それぞれに居場所のある
開放的につながったワンルーム

12年暮らした家をリノベーション

再開発が進む港区の運河沿い。Sさんご夫妻は約3年半前、12年間暮らした家をリノベーションすることに。
「当初はリノベ済みで売り出されていた物件でした。設備が古くなってきたことと、年齢的にライフスタイルが落ち着いてきたことから、先を見据えて思いきって変更しようと考えたのがきっかけです」。
洋間が2間あった2LDKを、広々としたリビングと、ベッドルーム、ウォークインクローゼットのある空間に変更することを希望。
「4〜5社を回って出してもらったプランは、だいたい同じパターンだったんです。その中でnuリノベーションさんに提案してもらったものがデザイン的に面白くて。必要なスペースを間取りに当てはめていく、という考え方とは違っていました」。
そのプランは、ベーシックなパターンから、遊びを入れたものまで3パターンあった。
「中でもいちばん遊んでいるパターンを選びました(笑)。空間が広く取れて明るくなるな、と直感したんです」。

1982年竣工のマンションの66㎡の1室を、16年前に購入。

1982年竣工のマンションの66㎡の1室を、16年前に購入。

廊下と洋間のあった空間をパブリックなスペースに。

廊下と洋間のあった空間をパブリックなスペースに。

多様に使える造作ベンチを設ける

たくさんの衣類を収納したいこと、最低限ベッドルームは必要だということを設計デザイナーさんに伝えたところ、
「それくらいだったらワンルームで、と提案されてびっくりしました(笑)」。
クローゼットは壁沿いに1列に。ベッドルームは天井まで完全に塞がず、1300mmの高さの仕切りを設置。全体が閉じられることなくシームレスにつながっている。何より驚くのは、玄関を開けると目に飛び込んでくるモールテックスの造作ベンチ。
「“ジムのパウダールームのイメージが好きなんですよね”と話したことから始まりました。お風呂って毎日入るのに脱衣所が狭いのが嫌で、お風呂上がりにのんびり寛げるようなスペースが欲しい、と思っていたんです」。
打ち合わせを重ねる中で、腰かけられるベンチを設けて、さらにワークスペースや収納の機能も持たせることに決定。この造作ベンチを置いたスペースには、オープンな洗面台が配置されている。
「洗面所も、脱衣所に設けると狭くなるので、室内に出してしまいました。いちいち重いドアを開け閉めするのがストレスなので(笑)、廊下や扉もなくしました。脱衣所には一応、ロールスクリーンを設置しています」。

モールテックスの造作ベンチは、背もたれ部分の高さが70cmの長方形。バスルームとも隣接している。布で仕切ったクローゼットは一面を使ってたっぷりと。床には涼やかなサイザル麻を敷いた。

モールテックスの造作ベンチは、背もたれ部分の高さが70cmの長方形。バスルームとも隣接している。布で仕切ったクローゼットは一面を使ってたっぷりと。床には涼やかなサイザル麻を敷いた。

造作ベンチの一角に机を設け、ワークスペースを。リモートもはかどる。

造作ベンチの一角に机を設け、ワークスペースを。リモートもはかどる。

座面を外すと収納に。シーズンオフの衣類などを収納。

座面を外すと収納に。シーズンオフの衣類などを収納。

玄関に近い位置にあるオープンな洗面台。動線もベスト。

玄関に近い位置にあるオープンな洗面台。動線もベスト。

洗面台を外したことで広さが確保された脱衣所。洗濯ものは乾燥まで、すべてここで完結。

洗面台を外したことで広さが確保された脱衣所。洗濯ものは乾燥まで、すべてここで完結。

キッチンはスタイリッシュに

造作ベンチエリアには素足に心地よいサイザル麻が敷かれているが、ダイニングキッチンエリアはグレーのタイルで切り替えた。
「フローリングはほっこりした感じになるのが苦手で。カントリーチックにならないように、タイルを選びました。色調やサイズ感などにもこだわりましたね」。
天井も、造作ベンチ側の躯体現しに対して、ダイニングキッチン側は白塗装に。天井、床ともにさり気なく斜めに揃えてゾーニングしている。
「キッチンはアイランドを希望したのですが、スペース的に壁付けに落ち着きました。食器が大好きでたくさん持っているのですが、食器棚を置くスペースがないので、収納はたくさんつくってもらいました」と奥様。
4.8mのスケールの大きいキッチンは、白の面材を使い、床からあえて浮かせるように造作。無駄なもののないすっきりとしたデザインがスタイリッシュ。
「シンプルに仕上げることをリクエストしたのですが、ここまでとは思っていませんでした(笑)。使い勝手もよく、料理がはかどります」。

大きめのグレーのタイルを敷いたダイニングキッチン。ダクトレールに目立たないスポットライトを取り付け、天井もすっきりとさせた。

大きめのグレーのタイルを敷いたダイニングキッチン。ダクトレールに目立たないスポットライトを取り付け、天井もすっきりとさせた。

手掛け部分をV字カットにするなど、細部までこだわってシンプルに仕上げた白いキッチン。天板は白の人工大理石。床から浮かせたデザインにより奥行きが感じられる。

手掛け部分をV字カットにするなど、細部までこだわってシンプルに仕上げた白いキッチン。天板は白の人工大理石。床から浮かせたデザインにより奥行きが感じられる。

パントリーにも扉を設けず、タイルの床をつなげた。奥様が各地で入手した調理道具が眺められるのも楽しい。

パントリーにも扉を設けず、タイルの床をつなげた。奥様が各地で入手した調理道具が眺められるのも楽しい。

リノベ前から使っているACTUSで購入したダイニングセットに合わせて空間をイメージ。天井と床が斜めに切り替えられている。

リノベ前から使っているACTUSで購入したダイニングセットに合わせて空間をイメージ。天井と床が斜めに切り替えられている。

和食器を中心に、1点ずつ愛着を感じる器をたくさん揃える。

和食器を中心に、1点ずつ愛着を感じる器をたくさん揃える。

吊り戸棚は設けず、ディスプレイを楽しむ。ガラスや陶器の異素材の組み合わせも絶妙。

吊り戸棚は設けず、ディスプレイを楽しむ。ガラスや陶器の異素材の組み合わせも絶妙。

愛着のある雑貨とグリーンを楽しんで

「雑貨や器ものが好きなのですが、今まで飾る場所がなかったので、ベッドルームには見せる収納棚を設けました」。
奥様が旅先で買ったものなど、宝物のような雑貨を棚に飾ったベッドルーム。民藝店で買ったイスや、昔の冷蔵庫だという棚なども、グリーンとともに美しくコーディネートされている。
「完成後にちょうどコロナ禍に突入して、ふたりで家にいる時間が長くなったのですが、全くストレスを感じませんでした。前は個室が2つあっても、結局狭いリビングにふたりでいたりして、閉塞感があったんです。今はワンルームでつながっているけど開放感があり、心地よく過ごせます。いいタイミングでリノベができたと思っています」。
ご主人は造作ベンチのワークスペースや土間、奥様はダイニングがお気に入りの場所。好きな雑貨と、サンルームのように楽しめるグリーンに囲まれながら、今も続くリモートワークやフリータイムを充実した時間にしている。

1300mmの高さの仕切りでベッドルームをゾーニング。ベランダからの光が遮断されることなく、室内に届けられる。

1300mmの高さの仕切りでベッドルームをゾーニング。ベランダからの光が遮断されることなく、室内に届けられる。

ベッドルームゾーン。ディスプレイ棚は、ほかのスペースからも眺めることができる。

ベッドルームゾーン。ディスプレイ棚は、ほかのスペースからも眺めることができる。

タイルの床が続いている。ベッド脇のイスは昔、民芸店で購入したもの。

タイルの床が続いている。ベッド脇のイスは昔、民芸店で購入したもの。

ご主人は土間のアウトドアチェアで過ごすのがお気に入り。スーツケースがぴったり収まる収納も設けた。

ご主人は土間のアウトドアチェアで過ごすのがお気に入り。スーツケースがぴったり収まる収納も設けた。

ハンドメイドの味のあるガラスのフラワーベースに、ドウダンツツジが美しい。本棚も設置。

ハンドメイドの味のあるガラスのフラワーベースに、ドウダンツツジが美しい。本棚も設置。

冷蔵庫として使われていたという昔のキャビネット。経年変化の味にグリーンが似合う。

冷蔵庫として使われていたという昔のキャビネット。経年変化の味にグリーンが似合う。

インドアグリーンを楽しむためにも、タイル敷きを希望した。

インドアグリーンを楽しむためにも、タイル敷きを希望した。

夫婦それぞれが好きな暮らしを楽しめる、風通しのよいワンルームで。

夫婦それぞれが好きな暮らしを楽しめる、風通しのよいワンルームで。

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