緑の眺望を楽しむ暮らし 暮らしの実感を間取りに活かし ヴィンテージの味わいを深める

暮らしの実感を間取りに活かして緑の眺望を楽しみながら
ヴィンテージの味わいを深める

賃貸で暮らしたマンション内で購入

「この眺望が気に入っていたので、もうここにしか暮らせませんでした」。
横浜市内のターミナル駅から徒歩約12分。小高い丘の上に建つ築50年越えのマンションを、Nさんご家族は約2年前にリノベーションした。
「同じマンション内の部屋に6年程暮らしていたんです。子供の成長とともに、家を持つことを考え始めたのですが、違うところに移るのは気が進まなくて」。
住み慣れたマンションで、同じ面積・間取りの物件を購入。大きな窓の向こうには、森のように豊かな木々が生い茂る。
「共用のプールもあって、子どもは夏、大喜びです。私は1日中、家で仕事をすることが多いので、この景観に癒されていますね」。
大学で建築を学び、今はインテリア雑誌の編集、ライティングを行っているNさん。中古リノベは既定路線だったそう。
「実際に住んでみて建物への安心感も感じていました。もともと古いものが好きなので、古さをデメリットには感じないのもありますね」。
リノベーション会社は、友人の勧めもあり、『EcoDeco(エコデコ)』 に依頼することに。
「こうしたい、という理想が自分の中に強くあったので、好きな事例がたくさんありつつもテイストがひとつに偏っていないEcoDeco(エコデコ)さんに決めました。こちらの気持ちをうまく汲み取っていただけたと思います」。

総面積は75.35㎡。LDK、ベッドルーム、キッズスペース、WTCで構成。

総面積は75.35㎡。LDK、ベッドルーム、キッズスペース、WTCで構成。

壁はDIYで塗装した。天井にはワントーン明るい色をセレクト。

壁はDIYで塗装した。天井にはワントーン明るい色をセレクト。

クローズドキッチンをオープンに。窓からの光が室内全体に届けられる。

クローズドキッチンをオープンに。窓からの光が室内全体に届けられる。

敷地内には居住者が使えるプールがある。

敷地内には居住者が使えるプールがある。

高台に建ち、街を見下ろせる。一面の大きな窓に変更した。

高台に建ち、街を見下ろせる。一面の大きな窓に変更した。

行き止まりのない家に

「前の賃貸の部屋は、同じ間取りを反転させた形だったのですが、いちど住んでみたことで、変えたいところが明確になっていました」。
間取り計画は、スケルトンにして一からスタート。希望したのは、クローズされたスペースをなるべく開放することだった。
「当時はベビーカーを置いていたこともあり、玄関が狭かったんです。それで広い土間が欲しかったのですが、でも土間って実際何するの?と思い至って(笑)。玄関まわりにものを置ける場所があり、かつクローゼットや収納があり、そこをぐるりと回遊できる。そんなスペースが欲しいと思いました」。
外廊下に面していた居室を、収納を兼ねる玄関ホールに。昔から大事にしていたヴィンテージのキャビネットを置いて、収納感を払拭し雰囲気を高めた。
「ベッドルームはその奥に設けました。それによって一晩中点いている外廊下の照明や、人の気配を感じることなく、朝までぐっすり寝られています」。
無駄だと感じていたのは廊下だった。
「とても長い廊下があったんです。機能の少ない塞がれた場所や行き止まりをなるべく造りたくなくて、回遊させることを考えました。壊せない壁がある中で、最大限、開放的になったと思います」。
廊下の壁だったところには、ルーバー扉の収納を。洗面は扉を付けずオープンに設け、バスルームまわりはLDKに回遊できる動線を確保。
「扉はなるべく引き戸にしています。バスルーム前は、閉じれば脱衣所になりますが、基本は開け放しています。普段は開放感を楽しんで、必要なときだけ仕切ることができるので、引き戸にして正解でした」。

玄関を入り右手に回ると、ウォークスルークローゼットが現れる。奥にベッドルームがあり、また廊下に回遊できる仕組み。開放的な玄関ホールに見立てた。

玄関を入り右手に回ると、ウォークスルークローゼットが現れる。奥にベッドルームがあり、また廊下に回遊できる仕組み。開放的な玄関ホールに見立てた。

WTCには、前から持っていたイギリスの北欧ヴィンテージスタイル家具Nathanのキャビネットを。

WTCには、前から持っていたイギリスの北欧ヴィンテージスタイル家具Nathanのキャビネットを。

WTC奥のベッドルーム。ヘッドボードのみ造作した。

WTC奥のベッドルーム。ヘッドボードのみ造作した。

造作した引き戸とカーテンを閉じれば、静けさに包まれる。

造作した引き戸とカーテンを閉じれば、静けさに包まれる。

真鍮をパーツに使ったドア。DIYでアイアン塗装を施した。

真鍮をパーツに使ったドア。DIYでアイアン塗装を施した。

廊下にオープンに現れる洗面。天板はベージュ系のモールテックスで塗装。

廊下にオープンに現れる洗面。天板はベージュ系のモールテックスで塗装。

バスルーム、キッチンへと回遊できる引き戸。普段は開け放している。

バスルーム、キッチンへと回遊できる引き戸。普段は開け放している。

オープンキッチンで光を通す

クローズドキッチンは、オープンなペニンシュラキッチンに変更。南向きのベランダからの採光も確保した。
「“洗いものをしているとき一切腰を曲げたくない”という主人の希望で(笑)、キッチン台は90cmの高さに設定してもらいました。作業中の手元があまりに見えるのは嫌なので、壁はさらに15cm立ち上げました。あまり高くしても圧迫感が出てしまうし、悩みましたね」。
腰壁は洗面台と同じモールテックスで塗装。ややベージュがかった落ち着いた色味が、背面の棚に陳列された世界各地の古道具となじむ。
「コンクリートっぽいシャープな感じはイメージではなかったんです。全体的にベーシックにまとめました」。
窓の外の緑を眺めながら調理をしたり、キッチンに連続するワークスペースで仕事をしたり。ご主人のワークスペース前には室内窓を設け、現在キッズスペースにしている個室ともつながりを持たせている。家族がひとつのスペースで、それぞれの豊かな時間を過ごすことができる。

ペニンシュラキッチンは、腰壁を高めに設定。古家具になじむよう、ベージュ系のモールテックスで塗装した。

ペニンシュラキッチンは、腰壁を高めに設定。古家具になじむよう、ベージュ系のモールテックスで塗装した。

キッチン台はIKEAのもの。床はタイルで切り替えた。

キッチン台はIKEAのもの。床はタイルで切り替えた。

100年程前のアフガニスタンの鉢や、ラオスの籠、モロッコの器など、お気に入りの雑貨を陳列。圧迫感を避けるため、扉付きの収納は設けず、古家具に食器を収納。

100年程前のアフガニスタンの鉢や、ラオスの籠、モロッコの器など、お気に入りの雑貨を陳列。圧迫感を避けるため、扉付きの収納は設けず、古家具に食器を収納。

ご主人のワークスペース。奥まで光を通すため、室内窓を採用した。

ご主人のワークスペース。奥まで光を通すため、室内窓を採用した。

キッズスペースは扉を付けず、布をカーテンに。壁はDIYで2度塗りを行っている。

キッズスペースは扉を付けず、布をカーテンに。壁はDIYで2度塗りを行っている。

お気に入りのものとの暮らし

以前からヴィンテージ家具や古道具、雑貨が好きだったというNさん。もともと持っていたものや入居後買い足したものなど、お気に入りのものたちとの暮らしを楽しんでいる。
「手仕事の味わいのあるものが好きなんです。前は、大切な雑貨などもしまい込んでおくことが多かったのですが、ここではものの居場所が決まっているので、常にディスプレイして眺められるのが嬉しいです。お部屋の模様替えも好きで、家具はしょっちゅう動かしています(笑)」。
最近は、やや異色の金属製のスタンドライトを迎えた。
「あまりに木の雰囲気が強くなってきてしまったので、金属かガラスのものを加えたいとずっと思っていたんです(笑)。やっとイメージ通りのものが見つかりました」。
緑豊かな街に向けて開放された空間で、インテリアは日々更新され、味わいを深めていく。

オーク材の床に、トルコから個人輸入したラグを敷いて。101 COPENHAGENのスタンドライトが空間を引き締める。

オーク材の床に、トルコから個人輸入したラグを敷いて。101 COPENHAGENのスタンドライトが空間を引き締める。

キッチン横に造作したNさんのワークスペース。イスはTRUCK。

キッチン横に造作したNさんのワークスペース。イスはTRUCK。

リネン100%の布を使って、自作でカーテンに。ボリューム感が絶妙。

リネン100%の布を使って、自作でカーテンに。ボリューム感が絶妙。

ヴォーグ誌の記事の1ページを、古いフレームに入れて額装。

ヴォーグ誌の記事の1ページを、古いフレームに入れて額装。

時々訪れる祐天寺のSEINで見つけたアート。ご主人への誕生日プレゼントとして購入。

時々訪れる祐天寺のSEINで見つけたアート。ご主人への誕生日プレゼントとして購入。

味わい深い家具とともに、眼前に緑が広がるダイニングで。

味わい深い家具とともに、眼前に緑が広がるダイニングで。

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