高台のマンションをリノベヴィンテージもエスニックも
光と風が通り抜けるMIX空間
旅がライフスタイル
渋谷区の閑静な住宅街。高台に建つマンションの最上階に暮らすMAMIさん。
「100軒くらい見て回った中で、ここはほぼ即決でした。光を取り込むアプローチなど、建物の造りから気に入ったんです」。
ご自宅の玄関も天窓からスポットライトのように光が差し込み、広々としたLDKは、サンルームのように明るい。
「窓の外の視界には遮るものがなくて、晴れの日は富士山も見えるんですよ。窓を開けると風が気持ちよくて、エアコンもあまり使わないくらい」。
MAMIさんはインドで服を作り日本で販売する、アパレルブランド「Ne quittez pas」のオーナー。1年のうち4カ月くらいは、仕事やプライベートでインドを始めアメリカやヨーロッパなど世界各地を訪れるのだそう。
「旅がライフスタイルなんです。そこでインスパイアされた人、景色、色、香り、自然全てのものが、インテリアに反映されていると思います」。
毎朝焚いているというインドのコスメブランド「KAMA AYURVEDA」のお香の香りがたちこめるLDK。ヴィンテージやエスニックがミックスされながらどこかモダンな空間は、オリジナリティ豊かで味わい深い。
開放的にリノベーション
「購入時は築10年目でした。当初は3ベッドルームだったのですが、いちど全部スケルトンにして、2LDKの間取りに変更しました。リビングを広くとりたかったんです」。
リビングをメインに、ベッドルーム、ゲストルームはコンパクトに。いつも友人が多く集まるというキッチンは、オープンにして上からの照明の当たり方にもこだわった。
「LIEBHERRの冷蔵庫、ワインセラーを使いたくて、ちょうど収まるようにまわりの収納を造作しました。作業台はつけないで収納にしたりする家も多いのだけれど、うちはパーティーが多く、よく料理をするので、きれいに見せることを前提にあえて設置したんです」。
以前は店舗の内装にも携わり、現在はMAMIさんとともに会社を運営し世界をトラベリングする夫も、インテリアデザインのプランを出した。
「アマンなど泊まったホテルでの体験がインプットされているところはありますね。間取りはすべて僕がデザインして、細かいところの演出も自分で考えました」。
キッチンアイランドの脇のルーバー状のフェンスや、黒枠にガラス窓のドアは、同じ素材でオーダーしたオリジナル。光が室内を通る抜け感が、心地のよいリゾートホテルの雰囲気を醸し出す。
Mixカルチャーを楽しむリビング
心地よいリゾートのような空間は、旅先で見つけたもので彩られている。
「家具なども海外でほしいものを見つけるコンテナで送るんです。特にヴィンテージものの椅子がいつの間にか増えていきました」。
お気に入りのダイニングテーブルは、ハンス・J・ウェグナー。そのまわりをハートチェアが囲む。
「食事をしながら会話ができるので、円卓が好きなんです。8人くらいでテーブルを囲むことが多いですね」。
セブンチェアやアントチェア、イームズなどミッドセンチュリーもあれば、カッシーナなどイタリアンモダンも。そこにエスニックな調度品が不思議と調和する。
「アフリカの木製の椅子など、国籍は様々です。インドでは象の置物などを見つけるとつい欲しくなりますね。インドに守られている気がしているので」。
大切な旅先の戦利品(?)が宝箱のように収められ、ひとつひとつに旅の思いが込められているかのよう。
「最近ではスリランカが良かったですね。ジェフリー・バワの建築に惹かれて、色んなホテルに泊まっています。そんな体験が仕事もプライベートも満たしてくれるんです」。
家はリラックスできる状態にしておきたい、というMAMIさん。好きなものに囲まれた空間が、ものづくりに活かされているのかもしれない。