リノベーション入門① リノベーションを考えたら
初めに知っておきたいこと
初めてのリノベーションの場合、何から取りかかればよいのか分からない、という人も多いはず。そこで、リノベーションの基礎知識や、業者選び、完成までに見積もっておきたい期間など、知っておきたい予備知識をピックアップ。スタートする前にチェックして。
リノベーションで何が叶う?
ますます人気が高まるマンション・リノベーション。その人気の理由は、古くなった設備や内装などを改修するだけではなく、自分の理想のハコを創りあげられるところにある。具体的に、リノベーションではどのようなことが可能になるのだろうか。
まず新築の場合、家族形態に合わせて必要とするn(個室数)LDKから選ぶ場合がほとんどだろう。この場合、予め決まっている間取りに合わせて、暮らしていくことになる。しかしリノベーションは、必ずしも個室数に縛られない。限られた面積の中でロフトをつくったり、仕切りのない空間の中にそれぞれのスペースを設けたり、自由な形態で暮らすことが可能になる。
また、趣味のアウトドアギアを収める収納やたくさんの本を収める棚が欲しい、帰宅後すぐに入れる位置にバスルームを設置したい、仕事が忙しいので家事動線をまとめたいなど、ライフスタイルによって異なる間取りや設備のリクエストに応えることも可能だ。壁や天井を躯体現しにしたり、ガラスの間仕切りにしたりするなど、好みのインテリアで統一することもできる。個人の希望をできるだけ反映して、その人にとっての最適解を導き出すこと。それがリノベーションの最大の魅力である。
スタート時に、まず必要なこと
リフォームとリノベ。その違いは?
「リノベーション」という言葉がよく使われるようになる以前は「リフォーム」が一般的だった。現在も混同して用いられることの多いふたつの言葉だが、そこには大きな違いがある。
リフォームは英語で表記すれば“Reform”。実は英語では「改革」や「改善」を意味する単語であり、建築物には使われないのだが、“Re”“form”というその語源から、日本では「再び形づくる」という意味の和製英語として用いられてきた。これが示しているのは、修繕が必要な設備や、改修が必要な箇所の改装であり、現状回復させることである。
それに対してリノベーション=“Renovation”は、“Re(再び)” “innovation(革新・刷新)”を起こすこと。間取り自体を変えたり、和室を洋室にしたり、インテリアを変更したり。空間のコンセプト自体から見直し、既存のものに付加価値を加えることを、日本ではリノベーションと呼んでいる。
つまり、個人のライフスタイルや趣味嗜好に合わせて、空間をプランニングし再構成することを示している。
どのように進めていくのか
リノベーションの相談は、建築家や設計事務所、リノベーション会社に。またインテリアショップが行っている定額制リノベなどを利用することもできる。物件購入からスタートする場合は、不動産仲介業者、設計事務所、工務店の3社を通すことになるが、上記のうちワンストップリノベーション会社であれば、購入から資金計画、設計、施工まで任せることが可能で、手間を省くことができる。定額制リノベは、インテリアデザインが明確であり、平米数に応じて価格が設定されているので資金計画が立てやすい。またデザイン性やコンセプトに共感した建築家に依頼する施主も多い。
業者を決めたら、ローンの設定など資金計画とともにリノベーションプランを立てていく。
リノベのメリットとは?
既存のマンションには、中古だからこその利点もある。新築の場合、選べる選択肢が限られ、住みたい地域で見つけることが難しいのに対し、中古マンションは多数の選択肢の中から選ぶことができるのがひとつ。また、管理組合が既に機能しているため、運営状況を把握できる。建設からある程度時間が経つことにより、設備も管理も問題点が解決されている場合が多い。暮らしで大事なのはコミュニティ。予めチェックできることはメリットといえる。
引渡しまでにかかる期間は?
物件が決まってからリノベーションが完了し、引渡しをするまでにかかる期間はおよそ4〜6ヶ月。その間、住宅ローンの事前審査、物件購入の申し込み、売買契約へと進み、ローンの本審査とローン契約を行う。設計期間には1〜2ヶ月、工事期間には2〜3ヶ月程度が必要だ。設計や資材の発注に時間がかかると、設計から引渡しまでに半年程度かかってしまう場合も。入居したい日の1年前を目安に検討し始め、計画的に進めていきたい。