マンションリノベ入門⑥資金計画と施工の工夫で コストダウンをはかる

リノベーション入門⑥ 資金計画と施工の工夫で
コストダウンをはかる

理想を追求していくと、予算をオーバーしてしまいがちなマンションリノベーション。なるべくコストを押さえつつ、好みのスタイルを叶えるには? リノベの相場感から資金計画、コストダウンの方法、入居後のための断熱の工夫までご紹介。

リノベの相場感はどのくらい?

リノベの相場感はどのくらい?

新築マンションと違い、資材を個別調達するリノベーションでは、費用相場は高くなりがち。地域によっても差はあるが、1室をすべて壊してスケルトンにしてから始めるフルリノベーションの場合、1㎡あたり15〜22万円程度とされている。60㎡では900〜1320万円、80㎡では1200〜1760万円。もちろんハイグレードな水廻りなどの設備や床材、壁材を希望したり、造作の棚や家具、建具などを設けたり、断熱工事を施したりすれば、その分コストは上がり、2000万円ほどをかける場合も。予算オーバーなら素材のグレードを見直したい。円安や資材高騰、人件費高騰問題で上昇傾向は今も続いている。リノベーションを行うのなら、早めに進めるのがいいかもしれない。

ローン選び、税制優遇で損をしない

金利や借り入れ期間に違いがあるローン選びは、資金計画において重要だ。通常、マンション物件の購入費用は「住宅ローン」で、リノベーション費用は「リフォームローン」で別々に組むのが一般的。しかしリフォームローンは住宅ローンに比べて金利が高く、返済期間も短い。そのため月々のローン返済の負担が重くなりがちだ。そこで、物件取得とリノベーションを同時に行うときに利用する「一体型の住宅ローン」がおすすめ。住宅ローンと同じ金利や返済期間で一括して借り入れることが可能だ。ワンストップサービスを行っているリノベーション会社の多くは金融機関と提携していて、一体型の住宅ローンを扱う場合が多い。
 リノベーションで使える補助金制度を活用することも検討したい。「断熱リフォーム支援事業」や「次世代省エネ建材支援事業」、「子育てエコホーム支援事業」など、それぞれの条件をクリアすることで助成金が得られる。また、リノベーションでは、住宅ローン減税、特定のリフォームに対する減税、固定資産税・贈与税の減税措置を受けることもできる。特定のリフォームとは、耐震やバリアフリー、省エネリフォームなどのこと。制度を賢く活用したい。
なるべくDIYで仕上げる

なるべくDIYで仕上げる

リノベーション業者に支払う施工費などの人件費をできるだけ削減するには、DIYは少しでも取り入れたいところ。中には設計から行い、電気、ガス、水道設備など専門の資格が必要な部分の施工のみを工務店に依頼する施主もいるが、それにはかなりの知識を要する。
 一般的に行いやすいのは、壁や天井の塗装、フローリングのオイル仕上げ、棚の作成や設置など。上級者になると自らフローリングを張ったり、ドアや壁にモールディングを施したり、キッチンや洗面にタイル貼りを行ったりする場合も。コストカットとともに、住まいにより愛着が感じられるようになるメリットもある。塗装では、塗り方の講習を行っているメーカーもあるので、チェックしてみたい。

設計、施工面で考えたいこと

予算が足りないからといって、工事を数回に分けて、段階的に行うのは避けた方がよい。工事を行うと毎回、養生や解体、ハウスクリーニングの費用などが必要になるため、却って費用がかさんでしまうことになる。行うのなら、できるだけ一度で終わらせるようにした方がよい。また、資材は直接メーカーから設備を購入して、リノベ業者に支給する施主支給という方法がある。施工業者を通さない分、経費を抑えることもできるし、自分で選ぶ楽しみも得られる。

水廻りは位置交換を基本に

できるだけ動かしたくないのがキッチン、バスルーム、トイレといった水廻りの設備。床下や壁の中に給水管、排水管などが通っているため、位置を変えると配管の引き直しを行うのに費用がかかる。やるのであれば、キッチンとバスルーム、バスルームとトイレ、トイレとキッチンといったように、水廻りの中で位置を交換するのがよい。既存の配管を活かすことができ、コストダウンにつながる。間取りを考える際に考慮しておこう。
躯体現しでコストを下げる

躯体現しでコストを下げる

費用をできるだけ抑えるためにおすすめしたい方法は、天井を張らないという選択。躯体や設備の配管がそのまま見えることになるが、デザインポイントとして活かすことができるし、天井高も高くなって開放感が得られる。
 また、フローリングをやめるという選択肢もある。質の高い木材は高いし、面積が大きいと費用も積み上がる。最近はカーペット敷きやモルタルの床も増えてきた。ほかに、建具にはコストがかかるのでドアを省く手もある。トイレやバスルーム以外、建具は取り付けないケースも最近は多く、布をかけたり、ブラインドをあしらったり、逆に様々なアレンジを楽しむことができる。オープンな間取りが人気の今、検討してみるのがおすすめ。

既存のものをアレンジして活用する

空間に合わせた造作家具は、デザイン性の高さと使い勝手で人気。だが、オーダーメイドのためコストがかかる。安く仕上げたいのなら、メーカーの既製品をアレンジするという方法もある。キッチン台であれば、既製品の面材を張り替えたり、取っ手を真鍮やアイアンなどに付け替えたりするだけでスタイリッシュな雰囲気に。量販店のキャビネットに、ホームセンターで購入可能な無垢の天板をあしらって、TVボードや収納を作るなどもおすすめ。

2重窓で断熱性を高める

築30年以上のマンションでは、断熱材が使われていない場合が多く、窓もシングルガラスのアルミサッシが標準だ。省エネ化を考えると断熱改修は大きなテーマ。床・壁・天井に断熱施工を行うこともできるが、もっとも手軽なのは窓。ただし、窓は共用部とされているので基本的には変えられない。そのため内窓を入れて2重窓にする方法がよく採用されている。既存の窓の内側に断熱性の高い内窓を設置することで寒さや結露を防ぎ、費用対効果も望める。

Ranking Renovation