使いやすく美しくライフスタイルの変化に合わせた
2度目のリノベーション
以前暮らした経験を活かして
10年ほど前に築54年の104㎡のマンションを購入し、リノベーションをした辻田さん夫妻。今回、2人のお子さんの成長と、リモートワークがメインになったライフスタイルの変化に合わせ2度目のリノベーションを行った。「最初のリノベーションをして6年ほど住んだあと、4年間シンガポールに海外赴任をしていました。その間、コロナ渦で生活スタイルが大きく変化したことでレイアウトを見直す必要がありましたし、前回手付かずだった部分にも着手したいという思いもありました」と話す夫の裕介さん。実際に生活したことで動線や必要なもの必要ないものが分かり、更なる改善点も見えてきたという。変化したライフスタイルに合わせつつ、以前暮らした経験を活かして更に住みやすい空間づくりを目指して行ったのが今回のリノベーションだった。
色と素材にこだわり上質な空間に
手掛けたのは1度目のリノベーションも行ったフィールドガレージ。「フィールドガレージさんは友人の紹介で知りました。押しつけがなく、こちらからの提案を親身になって聞いてくれるのが良かったです。前回も一緒にやっているので、情報を共有しやすくてリモートでもスムーズにやり取りができました」と裕介さんは振り返る。プロダクトデザイナーの裕介さんは仕事柄使う3Dパースを駆使し、家具のレイアウトなど具体的な要望を赴任先からフィールドガレージに伝えた。技術的なアドバイスや、素材サンプルをシンガポールに送ってもらい内容を詰めていったという。裕介さんの提案をベースに、1度目のリノベーション空間での生活経験を重ねてブラッシュアップしていったと話す妻の朋子さん。「見せる部分と隠す部分のバランス、使い勝手などをすり合わせました」。
ライフスタイルの変化に合わせて大きく変更したのは、ワークススペースと子供部屋。お子さんが小さかったことで使い勝手が良いと設けた和室だったが、お子さんの成長と夫妻のリモートワークが増えたことでワークスペースに変更。ガラス窓のある腰壁を作り、床を一段下げることで緩く生活空間を区切った。
掃き出し窓と室内窓の黒いフレームは辻田邸の変化を表す一つでもある。「以前は全体的に木が多くてほっこりした空間だったのですが、年齢を重ねたこともあり、少し落ち着いた雰囲気にしたくて」と話す裕介さん。床を明るめのオークから濃いチークへ変更しつつ分量を調整、また黒を増やすことで空間全体を引き締めている。キッチンでは、カウンターの天板をライトグレーの人口大理石に、床は木から黒いリノリウムに変えた。朋子さんは以前暮らした経験を活かしたと話す。「木の床はシミが付きやすかったのですが、タイルにすることで水がしみこまず掃除もしやすくなりました。収納に関しても実際に暮らした経験を活かして見直しています」。
それぞれの居場所がある空間へ
前回ほとんど手を付けなかった浴室もリノベーションを行った。限られたスペースに外観と機能をどう組み合わせていくかを追求してデザインした裕介さん。以前から検討していたタイルの芋目地に合わせてニッチをつくることにした。「物を置くために壁に色々つけると、スペースが取られるし掃除も大変なので、グリッドの中に機能を収めることにしました」。
お子さんの成長は、子供部屋が必要になったことだけでなく、子供たちが学校や習い事で家にいない時間が増え、夫妻での時間が増えるという変化ももたらした。そこで、今回は夫妻が使うことを中心に考えられたスペースも作った。「今回のリノベーションで、自分たちもゆっくりできる住まいになりました」と朋子さん。ライフスタイルに合わせて行ったリノベーションによって、“子供”に重心が置かれた空間から夫妻に少し寄った、より“家族”の住みやすさを追求した空間が生まれた。