暮らしやすさを追求家事の時短、断熱と防音。
快適な住まいを施主が設計
自分の家を自分で作る
企業で建物管理の仕事をしている一級建築士の嶋村雄一さんが、自宅の設計を手掛けた。リノベーションを担当した『HandiHouse project(ハンディハウス プロジェクト)』の大石義高さん/楽工隊 とタッグを組み、築40年のマンションを美しく快適に蘇らせた。
「自分で図面を描くことはできるので、施工の過程を楽しみたいと考えていたところ、妻がSNSで『HandiHouse Project』を見つけてくれました」
『HandiHouse Project』は、“自分の家は自分で作る”を大切にしている。DIYしながら家づくりをする方もいれば、素材探しや工事のすべてを一緒に楽しむ人もいる。
施工に参加したいと思っていた嶋村さんと、相性抜群のチームを組むことができた。
リビングとキッチンをつなぐ吊戸棚の意匠は大石さんのアイディア。
「吊戸棚の下の部分には鏡をつけました。窓のような感覚で広がりが感じられます」。
断熱と防音、家事の時短を図る
快適な住環境を作るため、様々な工夫を凝らした。
まずは断熱と防音。すべての開口部を二重サッシにし、壁にロックウールをしっかりと施工。
「子どもがまだ小さいので、階下への騒音を防ぐため、床には遮音マットを入れました」
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そして家事の時短。
大型の食洗機を入れ、洗面所にはガス衣類乾燥機『乾太くん』を設置。掃除は『ルンバ』と『ブラーバ』が充分に能力を発揮するよう、床材や家具を選んだ。
キッチンの天板の高さを90cmと高くして、楽な姿勢で料理ができるようにした。
「コンロは高すぎると調理しづらいので、5cm下げて85cmにしました」。
モノの住所を予め決めた緻密な設計
大石さんが図面を見ても最初はどう使うのかわからなかったという驚きの工夫に溢れているのが、予備のトイレットペーパーの収納場所。トイレのパイプスペースの横のわずかな隙間に棚を作り、収納できるようにした。
「正面からトイレットペーパーが見えないように、横に収納するアイディアが素晴らしいです」と大石さん。
また、洗面所内のニッチの掃除機置き場や、洗濯物入れ→洗濯機→『乾太くん』→畳んで収納、と、一箇所で洗濯から収納までできるように考えられている。
洗面所にはドアをつけず、家に帰ってどこにも触らずに手を洗えるようにした。
「我が家の照明スイッチはほとんど人感センサー付きのものにしています。不要にスイッチに触らなくてもいいのが良いですね」
「築約40年の古いマンションということもあり、万が一排水管が詰まった時に対応できるように、排水管にアクセスできる箇所を設けるなど工夫しました」
隅々まで心配りされた施主による設計で、快適に暮らせる家ができあがった。