大人のリノベーション設計士のアイデアが光る
夫婦二人暮らしの最適解
マンションの周辺環境を重視
リノベーションを前提に、築25年のマンションを購入したSさん夫妻。数年間単身赴任していた夫が東京に戻るタイミングで住まいを見直すことにし、マンションを探し始めた。夫妻が物件探しの条件として挙げたのは、公園が近いこと。「当時住んでいた家が公園の近くで気に入っていたので、周りの環境がいいところに住みたいと考えていました」。何軒か見る中で出会ったのが、周囲に緑が多い現在の住まいだった。「南に面した窓からの景色がひらけていて、気持ちがいいなと感じました。駅からも近く、ちょっと歩くと川があって散歩するにもいい場所なんです」。
リノベーションにあたっては、建設会社に勤務する設計士の夫がプランのスケッチを描き、FINDが仕上げるかたちをとった。「不動産仲介会社から紹介された中で、自分たちにとってちょうどよい設計・施工をしてくれそうだったのがFINDさんでした。僕は仕事では住宅は設計しないので、住宅設計の経験豊富なFINDさんに使いやすさや寸法を詰めてもらいました。設計当時は単身赴任中でしたが、FINDさんとのやりとりを楽しみながら、プランを仕上げてもらった感じです」。
素材を吟味し端正な空間を実現
リノベーションにあたっては、3LDKだった間取りを1LDKに変更した。当初から「2人暮らしだからこそできることを実現したい」と考えていた夫妻は、大きなひとつの空間を建具で仕切るプランを採用。「冷暖房の効率を考えて寝室には建具をつけましたが、ガラス戸にして空間に連続性をもたせました」。
また妻がミュージシャンで、夫妻揃って音楽好きなことから吸音にも配慮。「天井を躯体現しにすると音の反響が強くなるので、RCと調和する木毛板を張り、配線を中に通して見えないようにしています」。
S邸では、使用する場所ごとに素材を吟味し、配線や配管が視界に入らないように工夫することで、夫が目指したすっきりと端正な空間が実現している。「照明計画では、光源が直接目に入らないようにしました。なるべくダウンライトは使わず、場所によってペンダントライトやスポットライト、間接照明を使い分け、空間のシルエットが際立つようにしています」。
夫妻の居場所がある空間へ
施工中、夫は2週間に一度のペースで東京に戻り、現場で打ち合わせながら細部を仕上げていったという。「全体の雰囲気を見ながら、素材や仕上げについて確認しました。躯体現しの部分も、一部は補修して磨いてもらったり、一部は職人さんの墨付けの跡を残してもらったりと、臨機応変に対応していただきました」。
設計士ならではの工夫やこだわりを活かしたリノベーションにより、美しくかつ暮らしやすい空間となったS邸。Sさん夫妻がこの家に暮らし始めて3カ月が経つが、夫妻は「住み心地は最高です」と声を揃える。
ミュージシャンの傍らリモートワークでITのディレクター職を務める妻は「QOLが爆上がりです! 家が快適すぎて、出かけたくなくなるくらいなんですよ」と笑顔で話す。一方夫は「東京に戻ってきてから仕事がとても忙しくなったので、単身赴任から戻るタイミングで家を整えておいて良かったと感じています」という。
夫婦二人暮らしのライフスタイルに沿って計画された空間は、二人で過ごす時間も、それぞれの時間も心地よく過ごせる住まいとなった。