15年後のフルリノベーション。 家族3人と愛犬3匹。
家中に風がめぐる住まい。
15年暮らした家を、フルリノベーション。
今年で結婚20年目を迎える中野家は、夫婦と18歳の娘、そして3匹のチワワと暮らしている。娘の莉子さんが生まれた2005年にこのマンションを新築で購入し、2年前にフルリノベーションをした。
「子どもと一緒に成長していく様子を見たくて、7年前から犬を飼い始めました。最初は1匹だけの予定でしたが、気づけば3匹に。みんな子犬のころから飼っているのですが、歯がかゆい時期に壁紙をガリガリ噛むようになってしまったんです。ボロボロの壁紙を見て、最初はDIYでなんとかしようと思いましたが、15年ほど住んで水回りもくたびれてきているし、この際、徹底的にリノベーションしようと決断しました」と話すのは、奥様の新子さん。車でよく通る道沿いに、リノベーション会社があったのを覚えていて、問い合わせたという。
「建物がとても素敵で、カフェかな? と思っていたんですが、調べてみたら『SHUKEN Re』さんというリノベーション会社でした。それでこのタイミングに連絡してみたんです」と続ける。
主役は、漆黒のオープンキッチン。
南側にリビング、北側に寝室のあった3LDKを、光と風の抜ける2LDKへ変更。家事導線を整えるため、水回りを一箇所に集約させ、回遊性のある空間に仕上げた。
「以前の間取りでは、ゴミを捨てるのにリビングを通らなくてはいけなかったり、誰かがお風呂に入っていると洗濯機を回せなかったりと、家事の動線がよくなかったんです。そういう “こうだったらいいな” リストをもとにプランニングの相談をしました」
LDKの床には、ダイングキッチンを囲うように7cmの段差がある。
「キッチンからも廊下からもアクセスできるようにお風呂場の位置を大移動しました。しかしそうすると、パイプスペースの関係でリビングの床に段差を設ける必要ができました。結果的には、その段差がリビングとダイニングキッチンを緩やかに仕切る役割になっていて気に入っています(新子さん)」
“こうだったらいいな” リストには、ブラックのキッチンも入っていた。
「真っ黒のキッチンは絶対にやりたかったんです。カレーなど汚れの目立ちそうな料理も、黒なら気にせず作れますし。水栓もガスコンロもレンジフードも、すべてブラックを選んでホテルライクに仕上げてもらいました」
キッチン背面の収納は、4枚引き戸で、天井まで高さのある大型サイズを選んだ。扉のフレームやすりガラスもブラックに統一し、スタイリッシュな印象に設えた。
ベッドも机もいらない。快適なマットレス生活。
リノベを機に、ベッドをすべて処分したという中野家。
「家がどんなに広くても、ベッドを置いたら何平米も取られてしまうのはもったいないと思っていたんです。犬がベッドに粗相するたびに、ベッドマットを丸洗いできないこともストレスでした。そこで、折りたたみのマットに防水シーツを敷いて、洗えるようにしてみたら、すごく快適になりました(新子さん)」
娘の莉子さんの部屋にもベッドはなく、同じようにマットレスで寝ているという。
「自室は寝に行く場所という感じです。勉強もダイニングテーブルでする方が集中できるので、自分の部屋には机もベッドもありません。時々、リビングで大きなテレビを見ながら母と寝ることもあります。マットレスを運べば、どこでも寝られるので楽しいです(莉子さん)」
リノベーションを終えて2年が経った。変えたい場所が思いつかないほど満足しているという新子さん。
「 “こうだったらいいのに” と思っていたことは、すべて叶えられたので、どこも気に入っています。強いていうなら、ドアのない開放的な空間なので、冬が寒いということかな。娘が巣立っておばあちゃんになったら、こたつで生活をしようかなと考えています(笑)」と笑顔で締めくくった。