内装のプロの自邸 好きなものを集めて 自分が心地のいい空間を作る

内装のプロの自邸自分が好きなものを集めて
心地のいい空間を作る

窓をデザインし直す

家具&内装デザイナーの『mentha』の渋谷南人さんの自邸。
眺めの良いヴィンテージマンションの最上階を自らリノベーションした。

「眺望の良さは、家の心地よさを決める大切な条件だと思います」
新婚旅行で行ったスイスの湖畔の宿の眺めの素晴らしさに、こう気付かされたそう。
そして家族3人で快適に暮らせる広さがあることも大切なポイント。
以上を考え合わせて、眺めの良い最上階、光と風が抜ける角部屋、広さは75㎡以上、この3つの条件で物件を探し、2年かかって見つけたのがここだった。

家の中から外を眺めたときに目に入る、絵画でいうならフレームとなる“窓”のディティールにはかなりこだわった。
マンションの共用部分であるサッシは取り替えることができないので、部屋の内側に壁を作り、既存のサッシが隠れるように工夫した。

そして、フランスのアパルトマンで使われていたヴィンテージの両開きのドアを掃き出し窓に設置し、窓のある風景をガラリと変えた。
淡いベージュの壁色が、刻々と変化する空の色を優しく彩る。

武蔵野の豊かな緑に囲まれた78.5㎡の眺めのいい部屋。

武蔵野の豊かな緑に囲まれた築46年、78.5㎡の眺めのいい部屋。

ベランダの両開き扉は、フランスのアパルトマンで使われていた1950年代のもの。

ベランダの両開き扉は、フランスのアパルトマンで使われていた1950年代のもの。

Christian Hvidtがデザインしたダイニングの照明はデンマークのNordisk solar社。ダイニングテーブルは1960年代のもの。チェアはチェコのTON。子供用チェアはMOIZI。

Christian Hvidtがデザインした照明はデンマークのNordisk solar社。テーブルは1960年代のもの。チェアはチェコのTON。子供用チェアはMOIZI。

キッチンの位置を窓側に移動。なんとリノベ前は掃き出し窓だった場所に壁を作り、新たな窓を作った。造作家具は渋谷南人さんの設計。天板とレンジフードはtoolbox。

キッチンの造作家具は渋谷さんの設計。天板とレンジフードはtoolbox。

造作カウンターは『mentha』。造作家具の職人を目指す渋谷南人さんの意欲作。

曲線が印象的な造作カウンターは渋谷さんのデザイン。

ベルタゾーニのガスオーブンを入れるために設計したキッチンの棚。

ベルタゾーニのガスオーブンを入れるために設計したキッチンの棚。

建具にこだわる

「リノベのテーマのひとつに“建具”があります。ひとつひとつ気に入ったものを探し、建具はリノベの際にすべて変えました」
先に紹介したベランダに面したフランス製の両開きのドアに加え、リビングの重厚感のあるオーク製のドアは1900年代のホワイトスターライン社のもの。
廊下に面した部屋の建具もルーバードアに変えている。

床材は寝室を除き、全面薄いグレーのマーモリウムを全面に敷いた。
「我が家は木製の家具が多いので、床をフローリングにしてしまうと木の存在感が大きくなりすぎるので、床材はマットな質感のグレーのマーモリウムにしました」
マーモリウムはリノリウムの一種で、抗菌性と抗ウイルス性に優れている。天然素材なので経年劣化も楽しめる。

重厚感のあるリビングのドアはタイタニック号の建造を手掛けたホワイトスターライン社もの。壁色は試行錯誤を重ねたこだわりの淡いベージュ。

リビングの扉はタイタニック号の建造を手掛けたホワイトスターライン社の1900年代のもの。壁色は試行錯誤を重ねたこだわりの淡いベージュ。

オーク材の扉を製造したホワイトスターライン社は、タイタニック号の建具を手掛けたイギリスの専門店。

造船会社が手掛けたオーク材の扉は抜群の存在感。

リビングの一角に作った南人さんの仕事スペース。デスクの脚はハーマンミラー。

リビングの一角に作った南人さんの仕事スペース。デスクの脚はハーマンミラー。

stringの亜鉛メッキの壁面棚は70周年記念モデル。2019個限定のNo.819。「リビングモチーフの展示品を購入しました」

stringの亜鉛メッキの壁面棚は70周年記念モデル。2019個限定のNo.819。「リビングモチーフの展示品を購入しました」

サイドボードはイギリス製。床材は抗菌性、抗ウイルス性を持つ、病院や保育園でも使われるマーモリウム。

サイドボードはイギリス製。床材は抗菌性、抗ウイルス性を持つ、病院や保育園でも使われるマーモリウム。

新設した壁で既存のサッシやレールをうまく隠している。床から壁の高さを上げることで、小物を置く場所ができた。壁の中には断熱材を入れている。

新設した壁で既存のサッシやレールをうまく隠している。床から壁の高さを上げることで、小物を置く場所もできた。壁の中には断熱材を入れている。

ジャンルレスで自分らしく

玄関を入ると、右手にオリエンタルな空間が現れる。ここは着物のスタイリングや着付けが仕事の大川枝里子さんのアトリエだ。
「将来的には壁を立てて、個室として使うことも想定しています」。

フランスのアパルトマンで使われていた両開き窓、イギリスの重厚なアンティークの扉、世界中から集まった小物たち、デザイナーの手による家具、石のような風合いの廊下の壁……。
“好き”と感じるものがジャンルレスに集まる、渋谷さんならではの心地のよい家が完成した。

玄関入るとすぐに中国や日本の古箪笥が並ぶオリエンタルな空間が現れる。壁を新たに作ることで、書院障子を入れることができた。

玄関入るとすぐに中国や日本の古箪笥が並ぶオリエンタルな空間が現れる。壁を新たに作ることで、書院障子を入れることができた。

着物のスタイリングや着付けをしている大川枝里子さんの玄関脇のアトリエ。

この空間は着物のスタイリングや着付けをしている大川枝里子さんのアトリエ。

美しい曲線で仕上げた石のような風合いの廊下の左官は、大橋左官の手によるもの。壁の照明器具はbp。

美しい曲線で仕上げた石のような風合いの廊下の左官は、大橋左官の手によるもの。壁の照明器具はbp。

美しい曲線で仕上げた石のような風合いの廊下の左官は、大橋左官の手によるもの。壁の照明器具はbp。

既存利用してコストを抑えつつ、渋谷さんらしい空間になった洗面室。

廊下のR壁の余った左官材をタイルの目地に使用。タオル掛けはフランス製。

廊下のR壁の余った左官材をタイルの目地に使用。タオル掛けはフランス製。

キャビネットを壁に取り付け、飾り棚に。

キャビネットを壁に取り付け、飾り棚に。

寝室の壁にはtoolboxのリブ材を張った。この部屋だけカーペット敷に。

寝室の壁にはtoolboxのリブ材を張った。この部屋だけカーペット敷きに。

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