海の近くに暮らす メゾネットのマンションを 自分たちらしい空間に

海の近くに暮らすメゾネットのマンションを
自分たちらしい空間に

逗子の高台に佇む低層マンション

神楽坂で飲食業を営むTさんと会社員の奥さま。これまで神楽坂のマンションで暮らしてきたが、今年に入り逗子のメゾネットに移り住んだ。現在は、逗子を拠点としながら、神楽坂と行き来しているという。

新たな住まいは、逗子の高台に建つ、リゾート感あふれるマンション。白い壁とオレンジの屋根瓦の南欧風の外観が特徴で、敷地内にはプールや公園などが設けられている。Tさんは「二人で鎌倉に遊びに来て、逗子マリーナを散歩している時にこのマンションが見えて。良さそうだから内見してみようかということになりました」と振り返る。奥さまは「内見ですぐに気に入りました。東京の勤め先にも通える距離ですし、リゾートの雰囲気がありながら設備や共用部が充実していて、長く暮らせそうな点に魅力を感じました」と話す。徒歩圏内に小坪漁港があるなど、暮らしやすそうな点も気に入ったという。

リノベーションにより生まれ変わったリビングには、夫妻が選んだ家具や雑貨が配され、心地よい空間になっている。

リノベーションにより生まれ変わったリビングには、夫妻が選んだ家具や雑貨が配され、心地よい空間になっている。

高台にあるため見晴らしが良く、ベランダから広い空を見渡すことができる。

高台にあるため見晴らしが良く、ベランダから広い空を見渡すことができる。

もともとの和室の襖 (右) を隠すために、和室とLDKの間に壁をつくり、天井まで届く建具を造作した。

もともとの和室の襖(右)を隠すために、和室とLDKの間に壁をつくり、天井まで届く建具を造作した。

ハイドアと襖を開けたところ。既存の襖は、ハイドアの背面に収納される。リビングのソファはカリモク。「背もたれのクッションが動かせるところが気に入りました」 (奥さま) 。

ハイドアと襖を開けたところ。既存の襖は、ハイドアの背面に収納される。リビングのソファはカリモク。「背もたれのクッションが動かせるところが気に入りました」(奥さま)。

新たに設けた床の間の床柱には、Tさんの義理の弟さんが保管していた銘木を使用。天袋はオークションで手に入れた江戸時代の品を取り入れた。仙厓の掛軸をはじめとする骨董と現代作家の作品を自由に組み合わせ、しつらえを楽しんでいる。

新たに設けた床の間の床柱には、Tさんの義理の弟さんが保管していた銘木を使用。天袋はオークションで手に入れた江戸時代の品を取り入れた。仙厓の掛軸をはじめとする骨董と現代作家の作品を自由に組み合わせ、しつらえを楽しんでいる。

リノベーション時に、琉球畳から本畳へと変更。既存の襖には、奥さまがしたためた書を、Tさんが裏返して襖に張り、その上から薄墨を重ねた。

リノベーション時に、琉球畳から本畳へと変更。既存の襖には、奥さまがしたためた書を、Tさんが裏返して襖に張り、その上から薄墨を重ねた。

素材の質感を活かしたリノベーション

購入したのは、3LDK・120㎡のメゾネット。1階にLDKと和室、2階には個室2部屋とバスルームを配した間取りはそのままに、夫妻の好みに合わせてリノベーションを行い、落ち着きのある上質な空間に生まれ変わった。
リノベーションの中心となったLDKは、素材の質感を大切に仕上げた。フローリングは表面のニスを削り、木の質感を感じられるように。壁に珪藻土を塗り、やわらかな風合いを演出した。さらにセミクローズドタイプのキッチンまわりにシナベニヤを張り、カウンターを設けた。
リノベーションを手がけたのは、Tさんの義理の弟さんが経営する愛知県豊橋市の大河工務店(Instagram @ohkawakoumuten)。Tさんは「3代続く工務店で、無垢の木や漆喰、珪藻土など自然素材を使った注文住宅を得意としています。この家も、素材の質感を大切にしながら、暮らしやすい空間に仕上げてくれました」と話す。
大河工務店の職人技が光るのが、リビングに隣接する和室だ。もともとは簡易的なつくりだったが、新たに床の間を設け、本格的な和室へと生まれ変わった。

右手のシナベニヤで囲まれた部分がキッチン。ダイニングとの間には小窓が設けられ、配膳しやすい造りになっている。「リノベーションで小窓の前にカウンターを新設し、より使いやすくなりました」 (Tさん) 。

右手のシナベニヤで囲まれた部分がキッチン。ダイニングとの間には小窓が設けられ、配膳しやすい造りになっている。「リノベーションで小窓の前にカウンターを新設し、より使いやすくなりました」(Tさん)。

リビング・ダイニングの窓際に垂れ壁を新たにつくり、カーテンから木製ブラインドに変更した。「ブラインドは調光できるのがメリットですね」。ダイニングテーブルは、デンマークのアンティーク。

リビング・ダイニングの窓際に垂れ壁を新たにつくり、カーテンから木製ブラインドに変更した。「ブラインドは調光できるのがメリットですね」。ダイニングテーブルは、デンマークのアンティーク。

食材は自転車で10分ほどの鎌倉のレンバイ (鎌倉市農協連即売所) で求めることが多い。 「新鮮で美味しいものが手に入るので、料理のしがいがあります」。

食材は自転車で10分ほどの鎌倉のレンバイ(鎌倉市農協連即売所)で求めることが多い。
「新鮮で美味しいものが手に入るので、料理のしがいがあります」。

ランチのテーブルセッティング。クロスや食器、カトラリーの一つひとつに、夫妻の思い出が宿る。

ランチのテーブルセッティング。クロスや食器、カトラリーの一つひとつに、夫妻の思い出が宿る。

サイドボードは、北欧のヴィンテージ。

サイドボードは、北欧のヴィンテージ。

夫妻が少しずつ集めているジノリのオリエンテイタリアーノ。

夫妻が少しずつ集めているジノリのオリエンテイタリアーノ。

家のあちこちに絵が飾られている。スイカの絵は奥村土牛。

家のあちこちに絵が飾られている。スイカの絵は奥村土牛。

ダイニングの壁には、小村雪岱の版画。

ダイニングの壁には、小村雪岱の版画。

海辺で見つけたリラックスする暮らし

Tさん夫妻がこの家に暮らし始めて、約1年。夫妻は「海まで歩いて10分ほどなので、自然と海に入る機会が増えました。散歩もするし、よく歩くようになって健康的になった気がします」と話す。
週に2回ほど、都心に通勤している奥さまはこう話す。「ここにいると、1日ぼーっと過ごしていても『いい1日だったな』と思えるくらい、満足度が高いんです。リラックスできるので、都内への通勤との切り替えもうまくでき、暮らしにメリハリがつきました」。
一方Tさんは、鎌倉野菜や小坪漁港の魚など、地の食材を使って料理をするのが楽しみだという。「友人を招いて手料理を振る舞うひとときが、何よりの楽しみです」。
海や緑に近い環境で、自分たちらしい豊かな時間を重ねるTさん夫妻。都心と海辺、ふたつの暮らしを楽しむ日々は、これからも続いていく。

明るい水色のドアが印象的な玄関ホール。玄関には手を入れていない。

明るい水色のドアが印象的な玄関ホール。玄関には手を入れていない。

玄関ホールからキッチンへ向かう途中にある手洗いスペースは、リノベーションでモルタル仕上げのシンプルな洗面へと一新。

玄関ホールからキッチンへ向かう途中にある手洗いスペースは、リノベーションでモルタル仕上げのシンプルな洗面へと一新。

玄関ホールから2階へと続く階段に、夫妻の愛猫が。

玄関ホールから2階へと続く階段に、夫妻の愛猫が。

2階の1室は、奥さまのリモートワークの場として使っている。壁の裸婦の絵はTさんが描いたもの。

2階の1室は、奥さまのリモートワークの場として使っている。壁の裸婦の絵はTさんが描いたもの。

2階の寝室。壁紙を張り替えた。

2階の寝室。壁紙を張り替えた。

2階のバスルームにも大きな窓がある。「このバスルームが素晴らしく、購入のきっかけになりました」 (奥さま) 。

2階のバスルームにも大きな窓がある。「このバスルームが素晴らしく、購入のきっかけになりました」(奥さま)。

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