都心から湘南へ移住した夫婦 テラスハウス型マンションを 3度のリノベでアップデート

都心から逗子・葉山へ移住した夫婦テラスハウス型マンションを
3度のリノベでアップデート

都心から逗子・葉山へ移住。
テラスハウス型の低層マンション

鈴木祥太さん、理慧さんご夫妻は、2020年に結婚。入籍前の2014年に逗子・葉山エリアの物件を購入し、フルリノベーションして暮らしている。
「入籍までの期間には、妻だけ大阪にいたり、僕だけドイツにいたりと、遠距離の時期もありました。もともと家に興味があったので、自分の家をちゃんと作りたいという気持ちはずっとあって。年齢的にも賃貸に暮らし続けるより、買っちゃった方がいいなと思ったんです」と祥太さんは話す。
当初は都内に住んでいたこともあり、都心メインで物件を探していた。しかし広さと金額のバランスを考えて、祥太さんの実家の近郊である逗子・葉山エリアへとシフト。そんな時に出会ったのが、テラスハウス型のこのマンションだった。テラスハウスとは、複数の住戸が壁を共有して横並びになった低層の連続住宅のことを指す。
「建物自体の雰囲気の良さに惹かれました。築年数は経っていましたが、リノベーションすれば問題なく住めると言われ、ほぼ即決でしたね」と続ける。
リノベーションの設計は、一級建築士事務所『TATO DESIGN』の大山さんに依頼した。
「最初に大山さんを知ったのは雑誌『BRUTUS』でした。数社の事例が比較されているページで、目に留まったのが大山さんの物件。以前住んでいたドイツの家のような荒々しい木の素材感があって、いいなと思ったんです。実際に話を聞きに行ったらフィーリングも合い、お願いすることにしました」と振り返る。
築51年、総面積は78㎡。

築51年、総面積は78㎡。

ダイニングからの全景。

ダイニングからの全景。 

玄関からLDKへ入ってすぐ。正面の壁にはアートを飾って。

玄関からLDKへ入ってすぐ。正面の壁にはアートを飾って。

インドのキャンドルスタンドは西洋民芸の店『グランピエ』で購入。壺はレストランで使わなくなったものを譲り受けた。

インドのキャンドルスタンドは西洋民芸の店『グランピエ』で購入。壺はレストランで使わなくなったものを譲り受けた。

フランス製のヴィンテージキャビネットは、食器棚として使用。

フランス製のヴィンテージキャビネットは、食器棚として使用。

2回目のリノベで、天井にオーク材のリブパネルを張った。

2回目のリノベで、天井にオーク材のリブパネルを張った。

マンションの各戸に専用庭がある。

マンションの各戸に専用庭がある。

計3回のリノベーションで、
少しずつアップデート。

鈴木邸はこれまでに、計3度のリノベーションを重ねてきた。1回目は2014年。物件購入と同時に全体をフルリノベーション。2回目は6年後の2020年。天井にオーク材のリブパネルを張り、玄関の靴棚を造作した。
「天井の装飾は1回目のときから興味があったんですけど、予算的なことも含めて見送りました。5年ほど経って予算の都合がついたので、大山さんにご相談したんです。そのタイミングで玄関の靴棚も一新。既存のものは劣化していて、収納量も少なかったので、機能性も兼ね備えたデザインにしてもらいました(祥太さん)」
3回目のリノベーションは2024年。リビングの床材をモルタルからタイルへと変更し、ダイニングの壁沿いに造り付けのソファを造作した。
「ベルリンに住んでいた時、築100年以上の建物がざらにありました。そんな古い物件をDIYして作品を発表しているアーティストがいて、素材を活かしながらカッコよく活動する姿に心を動かされました。最初はその影響で荒々しさを求めていたんですが、年を重ねるうちに、もう少し落ち着いたデザインに惹かれるようになったんです。若い頃とは、心地よいと感じるものが変わってきましたね(祥太さん)」
床をモルタルからタイルに変えたのも、好みの変化が背景にある。
「モルタルの素材感も良かったんですが、10年ほど経って汚れが目立つようになってきました。それに今は、タイルの目地の整った感じの方が落ち着くんです。暮らしの変化に合わせて空間を更新していくことが、僕たちの大きな楽しみになっています」と続ける。

リビングのデイベッドは、デンマーク人デザイナー「Peter Hvidt & Orla Mølgaard Nielsen」作。

リビングのデイベッドは、デンマーク人デザイナー「Peter Hvidt & Orla Mølgaard Nielsen」作。

リビングにテレビは置かず、「DYNAUDIO」のスピーカーや「Atoll」のアンプを並べる。

リビングにテレビは置かず、「DYNAUDIO」のスピーカーや「Atoll」のアンプを並べる。

ペンダントライトは、代々木上原にあるヴィンテージストア「Graphio/büro-stil」で購入。

ペンダントライトは、代々木上原にあるヴィンテージストア「Graphio/büro-stil」で購入。

リビングから部屋全体を眺めて。

リビングから部屋全体を眺めて。

向かって左の開口はキッチン、右は玄関へと続く。

向かって左の開口はキッチン、右は玄関へと続く。

理慧さんの希望で、キッチンはすべて隠せる収納に。

理慧さんの希望で、キッチンはすべて隠せる収納に。

業務用キッチンの雰囲気を取り入れた、フルオーダーキッチン。

業務用キッチンの雰囲気を取り入れた、フルオーダーキッチン。

玄関。靴棚は2度目のリノベで造りつけた。

玄関。靴棚は2度目のリノベで造りつけた。

2階へと続く階段の踊り場に、祥太さんの趣味のサーフボードを立て掛ける。

2階へと続く階段の踊り場に、祥太さんの趣味のサーフボードを立て掛ける。

平日は都内で仕事。
休日は海でサーフィン。

家具が好きな鈴木さんご夫妻。前の家から少しずつ集めてきたお気に入りの家具を起点に、この家のリノベーションを考えた。
「セレクトの基準はないんですけど、何かを買い足すときは、今ある空間にハマるかどうかで選んでいます。ここに置いたら可愛いだろうな、とか(祥太さん)」
逗子・葉山に移り住んでからは、家具以外にも、サーフィンが祥太さんの新しい趣味になった。2人とも平日は都内へ出社することが多いため、週末の時間を家でゆっくり過ごすことを大切にしている。
「休日の朝は必ずサーフィンをします。お昼ぐらいに家に帰ってきて、妻と2人でごはんを食べて、午後は買い出しに行く、みたいな日が多いですね。旬の野菜や魚、お肉を買って、妻が常備菜を作り置きしてくれるんです」
時間をかけて住まいに手を加えながら、お気に入りの家具とともに空間を育てていく姿勢は、逗子・葉山の穏やかな空気ともよく馴染んでいる。

寝室内から撮影。向かって左にワークスペース。右にウォークスルークローゼット。

寝室内から撮影。向かって左にワークスペース。右にウォークスルークローゼット。

寝室。服をかけられるよう、天井にレールを取り付けた。

寝室。服をかけられるよう、天井にレールを取り付けた。

右手に理慧さん、左手に祥太さんの衣類が並ぶ。

右手に理慧さん、左手に祥太さんの衣類が並ぶ。

一部をガラス張りにすることで、寝室の気配を感じられるワークスペースに。

一部をガラス張りにすることで、寝室の気配を感じられるワークスペースに。

ブルーのガラス戸の先は寝室。右の開口部は、バスルームへと続く。

ブルーのガラス戸の先は寝室。右の開口部は、バスルームへと続く。

洗面台の下には、Mieleの洗濯機をビルトインさせた。

洗面台の下には、Mieleの洗濯機をビルトインさせた。

トイレの壁の一部に木材を張り、アクセントに。

トイレの壁の一部に木材を張り、アクセントに。

リノベーションは「TATO DESIGN」が担当。

リノベーションは「TATO DESIGN」が担当。

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