
テラコッタ色の柱がシンボル曲線と素材感にこだわった
光が満ちる居心地のいい家
予想していなかったプランに挑戦
窓の向こうには四季折々の姿を見せる木々や、遠くまで広がる街の景色。Kさんご夫妻が、都内の閑静な住宅街に建つ、築50年の低層マンションを見つけたのは約1年半前。
「もともと近所に住んでいて、気になっていた物件だったんです。緑が生い茂る共用広場や、珍しい部屋の造りが気に入りました」
広いバルコニーを持ち、どの個室にも開口があるユニークな形の79.65㎡。インスタグラムで事例を見ていたことや、友人知人が多く依頼していて、自由度が高そうだと感じたことなどから、nuリノベーションに相談して進めることに。
「プランは、私たちの希望を活かした2案に加え、“気に入るかどうかわからないんですけど”と、全くイメージしていなかった1案を出していただきました。その大胆な提案に、心掴まれましたね」
3LDKから開放的な2LDKに。玄関を入った瞬間から視界が開け、明るい光に迎え入れられる。

リビングの窓からは、ケヤキやキンモクセイの木が茂る共用広場がのぞめる。1段あげた床のコーナーに、Rの曲線をつけた。

ダイニング側からは、共用広場と街の景色が広がる。晴れた日は西の方角に富士山も望める。

壁と天井は白く塗装。広々としたLDKに、三方の窓から日が入る。無垢のオーク材は、あえてフシが多く出ている素材を選んだ。
壊せない柱をアイコニックに
キッチンスペースの一部に取り込まれていた壊せない柱を、テラコッタ色のタイル貼りに。そこに接続させる形で大きなアイランドキッチンを設け、回遊できるようにして家の中心に置き、空間のアクセントとした。
「柱をどうするかが問題だったのですが、全面的に活かしてしまおうと。チャレンジでしたが正解でした。もともとシンプルなインテリアが好きで、白、グレー、木を基調にしたデザインを考えていたのですが、私たちの好きな事例をまとめたブックを見て、設計デザイナーさんが薦めてくれたのがテラコッタ色でした。さすがプロだなと思いましたね」
マンションの外壁のタイルともリンクする温かな色味が、空間全体の差し色になっている。
「造作のアイランドも、同じタイルを使うことを考えたのですが、海外製で在庫が揃わず、天板には薦めていただいたビールストーンを使いました。これも結果、良かったですね」
隣接していた個室の仕切りは取り払い、LDKの一部に。現在2歳半のご長男のお友達が遊びに来ても、広々とした空間でのびのびと遊ばせることができる。

柱を活かしてL字型にアイランドキッチンを造作。下に収納を設け、柱よりワントーン濃い色で塗装した。

ワイルドなサイズのアイランドキッチンは、こちら側にスツールを置いて、ダイニングテーブルとして使うこともできる。

柱はふかして収納を設け、パントリーとして使用。まわりを回遊できる。

マットな質感のタイルをセレクト。天板のビールストーンは、好きな小石やガラスを選んで混ぜた。

個室の仕切りを取ってリビングに。今は子供の遊び場となっている。ソファは高知のオリジナル家具店「FLAT FURNITURE」。子供用のテーブルは、ウクライナの木製家具ブランド「babai」。
R曲線でやわらかさを演出
キッチンの奥にあるベッドルームは、三連の引き戸を袖壁に完全に引き込むことで、普段はオープンに。閉じると、ガラスに木枠や桟をあしらったデザインが、和の要素を感じさせる。
「ここは落ち着いた感じにしたかったので、天井は低く、お籠もり感のあるデザインを目指しました」
垂れ壁を設けて、引き戸をあえて低めの1.8mに設定。襖をあけて入る和室に入る雰囲気は、ふたりで訪れた金沢の宿『香林居』から着想を得たそう。引き戸の前には、インナーテラスとしても使える余白スペースがあり、和室の縁側のようにも感じられる。
「ちょうどキャットタワーが収まったので、今は猫スペースにしています(笑)。サンルームにするなど、色々使い方を考えられるかなと思っています」
ベッドルームの仕切り壁にはRをつけた。
「ピンタレストや泊まったホテルなどの事例を見て、これは絶対にやりたいねと、こだわったポイントなんです。やわらかい印象が加えられたと思います」
リビングの壁や床の段差から、鏡や額縁のフレームに至るまで。Rのやわらかみと温かみは、様々なところにさり気なく活かされている。

キッチンの奥にベッドールームが。仕切り壁にR加工を施している。

普段は引き戸をオープンに。塩ビタイルで切り替えた床が縁側のよう。

ベッドルームにクローゼット&ワークスペースを造作。ヒノキの合板を使ってラフに仕上げた。

造作したガラスの引き戸が、和テイストを加えている。

インナーテラスは愛猫のスコティッシュホールド、こはだちゃんの居場所に。眺めもよし。

リビングの壁面にRをつけつつ棚を造作。ディスプレイを楽しむ。

洗面の壁は、キッチンと反対色になるようタイルと目地をあしらった。R型の鏡がかわいい。

洗面の奥に設けたWICの入り口にも、R加工が施されている。
ラフな素材感もミックスして
テラコッタ色にやわらかな曲線。かわいらしくなりそうなデザインを中和させているのは、Kさんご夫妻がもうひとつこだわった、素材感だ。例えば、リビングの床にはあえてフシの多い無垢のオーク材を。リビングのガラスの引き戸や、ベッドルームのクローゼットには、ヒノキやラーチの積層合板を使って素朴な雰囲気を出した。
「積層のウエハースみたいな断面が見えているのが好きなんです(笑)。全体にキレイにまとめるとかわいくなりすぎるかと思い、ラフな素材も使うようにしました」
リビングの壁に取り付けた小さな棚は、積層が見える板を使った作家もの。Rのデザインや色合いがこの家を象徴するかのようだ。
「デザイン的にもこだわって相談して完成させたので、満足度が高いですね。息子も家で過ごすのが大好きで。休日は家族で公園に行ったり、買い物に行ったりと外出もしますが、家にいることが、いちばん心地がいいんです」

「VITSOE」のモジュラー家具、606ユニバーサル・シェルビング・システムをDIYで取り付けた。デスクも付けてワークスペースにすることも検討中。

日溜まりのようなダイニング。引っ越し前から持っていたダイニングテーブルとYチェアを。

ガラス作家sasamoto natsukiと自由が丘の「ihollande」のコラボによる壁付け棚。R形状と積層が、この家にぴったり。

子供部屋からも、中庭の借景が楽しめる。

ドーナツ型がかわいい、子供部屋のペンダントライト。幡ヶ谷の「BULLPEN」で購入した「3RD CERAMICS」のもの。

色彩が美しいアートは、なんと1歳のご長男作。コーナーにRを施した額縁をオーダーして額装した。

玄関からシューズクローゼット、ランドリー、バスルームへと回遊が可能。

引き戸で空間を開けたり閉じたりして使用できる。水廻りは既存を活用してコストカット。








