
音楽と共に暮らす自宅をレコードショップに。
好きなことが日常になる家
既存の良さを活かす工夫も
『BaumQuhen Redords』を主宰する浅海卓也さん・浩子さん夫妻のリノベーションは、レコードショップと居住空間が連続する豊かな場所を実現している。
ここは予約制のレコードショップでありながら、ネットショップの注文を受ける場であり、音楽イベントを開催したり、すぐ側に音楽がある生活空間でもある。
「二人で住んでていて心地がいい、そして仲間やお客さんが来てくれるのがうれしい家にしたいと思いました」
浅海さんが選んだ家は、築28年、73.15㎡の、3方向からたっぷりと光が入る日当たりのいい住まい。
リノベーションを依頼したのは、音楽仲間でもある『HandiHouse project(ハンディハウス)/ AMP(アンプ)』の森川尚登さん。
「自分たちがこの空間でどんなことをしたいのか、すぐに汲み取ってくれました。資金面の相談に乗ってくれたのもとてもありがたかったです」と浅海さん。
壁面と天井はすべてDIYで整えた。技術指導は森川さん。
「壁と天井の塗装をすべて自分たちでやりました。まずパテで壁面の凹凸を整えるところから始めました。大変でしたが、ちょっとした補修が必要になれば自分たちできるスキルを身につけられたと思います」
DIYで仕上げたことで、空間への愛着も一層深まった。
自分たちの手で作り上げた壁や天井は、単なる仕上げ材ではなく、この家での暮らしの記憶そのものになっている。

リビングの一角をレコードショップに。床材はハードメープル。

細かいリブ加工が施されたウッドパネルを黄色にペイントし空間のアクセントに。上部に間接照明を入れた。

「壁に作った窓に当初はガラスを入れる予定だったのですが、施工途中でなくてもいいのかな、と思い直しました。ショップカードを置くのにちょうどいい場所になりました」

オーダーで作ったレコードボックス。鉄製の脚も木製のボックスも塗装せずに仕上げた。キャスターをつけて移動しやすく。

オーディオ機器のような、照明のトグルスイッチと調光のツマミ。
壁を取り払い、空間を自在に使う
レコードショップと自宅を両立させるために考えたことは、まずプライベートなスペースをしっかりと確保することだった。
寝室と浴室はプライベート空間として明確に区切り、その上で大きな空間をショップやイベントで使うために、壁の仕切りをできる限りなくし、廊下は広く広げて一つの空間として自在に使えるようにすることで、イベントのスタイルやお客さんの人数に合わせて、空間を作り変えられる自由度が生まれた。
また、キッチンの両サイドに洗面台と冷蔵庫をすっきりとニッチに収めることで、生活感が溢れすぎない工夫も施されている。

窓際のベンチやソファ、廊下のカフェテーブルなど、居場所がたくさんある。

カフェに居るように過ごせるダイニングテーブルはヴィンテージのアーコール。「ゆっくり横になれるL字のソファはユーズドのものを買いました」。

壁のニッチをレコードラックに。ここにあるのは私物のレコード。

クッションはROCUS。「販売もしています」
可変性のある家具が生む自由な暮らし
「イベントのスタイルやお客さんの人数に合わせて、動かして空間を作りやすい家具を選んでいます」と浅海さん。
ベンチや小さなカフェテーブルが自在に空間を変えてくれる。ソファもアーム付きではなく、自在に形を変えられるものをチョイスした。
「自分たちの生活空間にお客さんが来てくれて、そして好きな音楽を共有することができて、とても満足しています」

向かって右が『HandiHouse project』の森川さん。施主と設計者が同じ空間で音楽を楽しむ関係性が、このリノベーションの本質を物語っている。通路幅を広くとることで、カフェテーブルを置くこともできる“使える”場所に。

洗面所、キッチン、冷蔵庫置場が並ぶ。ニッチに収めることですっきりとした空間に。

タイルは平田タイル。キッチンはtoolbox。

洗面所はニッチを活かして。インターホンもニッチに収める。洗面ボウルはDuravit。








