黒川紀章設計の集合住宅に暮らす  民藝と北欧家具とヴィンテージと。 好きなものをレイアウトする楽しみ

黒川紀章設計の集合住宅に暮らす民藝と北欧家具とヴィンテージと。
好きなものをレイアウトする楽しみ

低層のヴィンテージマンションをリノベーション

緑豊かな広々とした敷地に、低層の集合住宅がゆるやかに広がる。横溝賢史さん、須藤由美さん夫妻が見つけたこの築40年を超えるヴィンテージマンションは、建築家の黒川紀章さんの設計なのだとか。L字型の家には、たっぷりと明るい日差しが降り注ぐ。

「半年ほど静かな環境の家を探していたのですが、なかなか見つからずにいました。先輩に不動産屋さんをご紹介いただき、ついに見つけたのがこの家でした。内装は後輩が立ち上げた『FLAT DESIGN OFFICE』にお願いしました」

クローゼットルームと寝室以外は壁を抜いて広々とした空間に。床は無垢のオーク材を貼った。

天井の一部にコンクリートの躯体を残し、他はすっきりとした白の塗装で仕上げた。部屋の仕切りを減らし、広々とした空間を確保。

天井の一部にコンクリートの躯体を残し、他はすっきりとした白の塗装で仕上げた。部屋の仕切りを減らし、広々とした空間を確保。

キャビネットはデンマークのヴィンテージ。壁にかけたタベストリーはいただき物だそう。

キャビネットはデンマークのヴィンテージ。壁にかけたタベストリーはいただき物だそう。

キャビネットの上には、メキシコのオブジェやネイティブアメリカンが作ったヴィンテージのバスケット、須田二郎やジョージ・ピーターソンの作品など、世界各国のお気に入りが並ぶ。

キャビネットの上には、メキシコのオブジェやネイティブアメリカンが作ったヴィンテージのバスケット、須田二郎やジョージ・ピーターソンの作品など、世界各国のお気に入りが並ぶ。

食器棚として使っている文机には、沖縄の焼物、やちむんなどが並ぶ。手前の小鹿田焼の大きな雲助は柳瀬朝夫さんの作品。

食器棚として使っている文机には、沖縄の焼物、やちむんなどが並ぶ。手前の小鹿田焼の大きな雲助は柳瀬朝夫さんの作品。

「松本民芸家具のベンチはアンティークのものです。座面のラッシ編みの素材が手に入らず、現行のものは素材が変更になっているそうです」

「松本民芸家具のベンチはアンティークのものです。座面のラッシ編みの素材が手に入らず、現行のものは素材が変更になっているそうです」

コレクターの多い『Omersa』のヴィンテージのレザーアニマル。海外主張の際などに見つけ、ひとつひとつ集めたのだとか。

コレクターの多い『Omersa』のヴィンテージのレザーアニマル。海外主張の際などに見つけ、ひとつひとつ集めたのだとか。

横溝さんの大事な家族、ホシガメのホシくんのおうち。暖かい場所が原産地のホシくん、寒い時期に停電になった時はとても心配したそう。

横溝さんの大事な家族、ホシガメのホシくんのおうち。暖かい場所が原産地のホシくん、寒い時期に停電になった時はとても心配したそう。

吟味されたひとつひとつのものにストーリーがある

『BEAMS』のスーパーバイザーの賢史さんは以前ビジュアルマーチャンダイザーとして店舗の内装やディスプレイに携わっていた。謂わば、空間のコーディネイトにかけてはプロ中のプロ。由美さんは『BEAMS BOY』のディレクターを務める。
世界中の“いいモノ”を見てきたふたりがチョイスする家具やオブジェのひとつひとつ、そして温かい空間を作るセンスがほんとうに素敵。

家具や小物はほとんどがヴィンテージなのだとか。
「新品のものにはない、時間が作った味わいに惹かれます」

ミッドセンチュリーの家具や北欧のヴィンテージに加え、アジアの雑貨やヨーロッパ、そしてメキシコやアフリカの民藝品がコレクションに加わっているそう。
「それぞれにストーリーがある、人の手のぬくもりが感じられるクラフトが気になっています」

正面の棚は、日本のオークションで見つけた学校で使われていた備品。棚の上の絵皿は、Geoff McFetridgeのHeath Ceramics。

正面の棚は、日本のオークションで見つけた学校で使われていた備品。棚の上の絵皿は、Geoff McFetridgeのHeath Ceramics。

チェストの上に、Heath Ceramicsの一輪挿しと、Alexander Girardのファブリックの額装を飾っている。鳥かごスタンドに掛けているのはGeorge Nelsonのバブルランプ。足元にはアフリカのスツール。

チェストの上に、Heath Ceramicsの一輪挿しと、Alexander Girardのファブリックの額装を飾っている。鳥かごスタンドに掛けているのはGeorge Nelsonのバブルランプ。足元にはアフリカのスツール。

明治や大正時代の古布を大切にストック。マリメッコのファブリックをカーテンに。

明治や大正時代の古布を大切にストック。マリメッコのファブリックをカーテンに。

たっぷりとした空間から生まれる余裕のある暮らし

93㎡あるお宅は、2人暮らしには余裕のある広さ。一部屋をクローゼットルームにしているので収納もたっぷり。

「食器が増えてきたので、水屋箪笥を買いたいと思っています。ずっと探しているのですが、なかなか気に入ったものに出会えずにいます」

リノベーションの際、壁は白に塗装したが、今後は色を塗り変えてみたいとか。
少しづつ手を入れながら暮らしを楽しむお二人が、今後ここをどんなふうに育てていくのか、味わいがさらに増した空間にもまたぜひお伺いしてみたい。

キッチンの壁のHeath Ceramicsは、なんと横溝さんが個人輸入したものだとか。「通関の手続きも、重いセラミックタイルを自分で運搬するのも大変でした。今後は業者さんにお任せします(笑)」

キッチンの壁のHeath Ceramicsは、なんと横溝さんが個人輸入したものだとか。「通関の手続きも、重いセラミックタイルを自分で運搬するのも大変でした。今後は業者さんにお任せします(笑)」

ハンス・ウェグナーのソファに、ISAMU NOGUCHIのローテーブル。フロアスタンドは70年代前後のデンマークのヴィンテージ。

ハンス・ウェグナーのソファに、ISAMU NOGUCHIのローテーブル。フロアスタンドは70年代前後のデンマークのヴィンテージ。

奥はメキシコの伝統工芸品Tree of Life(生命の樹)。「一家に一台はあるものと聞いています。彩色していない素焼きのものは珍しいと思います」。柳宗理のバタフライスツールと、アフリカの民藝のスツールや枕を一緒に飾る。

奥はメキシコの伝統工芸品Tree of Life(生命の樹)。「一家に一台はあるものと聞いています。彩色していない素焼きのものは珍しいと思います」。柳宗理のバタフライスツールと、アフリカの民藝のスツールや枕を一緒に飾る。

奥の部屋のソファで本を読みながらくつろいでいることが多いそう。左の鹿の剥製は神社の骨董市で。曲げ木のコートハンガーはNYのMOMAで買ったHAYのもの。

奥の部屋のソファで本を読みながらくつろいでいることが多いそう。左の鹿の剥製は神社の骨董市で。曲げ木のコートハンガーはNYのMOMAで買ったHAYのもの。

横溝さんのお宅は、大きな欅がシンボルとなっている緑豊かな敷地に建つ低層マンションの一階。庭にウッドデッキを設置した。

横溝さんのお宅は、大きな欅がシンボルとなっている緑豊かな敷地に建つ低層マンションの一階。庭にウッドデッキを設置した。

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