アートのある暮らし 坂倉準三設計の集合住宅を
自分でデザインしてリノベーション
自分好みの内装にトライ
建築家の坂倉準三が設計した1971年竣工のヴィンテージ・マンションは、名高い原宿のビラ・シリーズの中でも静かな環境に建つ。転居を考えていた時に空きが出たことを知り、リノベーションをして住むことを決断したのだそう。
「友人が住んでいるこのマンションに遊びに来た時、偶然オープンルームをやっていたんです」と桜井彩子さん。
なんと、リノベーションのデザインは自分たちで行ったとか。
「施工会社は友人に紹介していただきました。リノベーションのデザインは考えていたより大変でした。たとえばカーペットの小さなサンプルからは大きな空間に敷いた時のイメージがしづらかったり、新しい建材の情報や、タイルや床材などの素材を探すことも経験がなかったので手間がかかりました」と桜井彩子さん。
それでもひとつひとつ丁寧にリノベーションの素材やアイテムを選び、満足する住まいが完成した。
「いちばんのお気に入りがドイツ製の深いシンクです。これを見つけた時にぜひ使いたいと思ったので、実現することができてうれしかったですね」
仕切りの壁がキャットウォークに
前に住んでいたオーナーがリビングを広くする改修をしていたこともあり、そこから間取りを大きく変える必要はなかったそう。
「キッチンはアイランドキッチン等にはせず、あえて独立させました。リビングとキッチンの壁と天井の間に空間を開け、匂いがこもらないようにしました。そこがウズラのキャットウォークになったのは嬉しい誤算でした」
寝室の奥のクローゼットも天井近くに空間を開け、室内の空気がゆるやかに流れるようにしている。
アートや家具は丁寧に選んで飾る
ミッドセンチュリーの家具をベースに、そこここに配されたアーティストの作品のバランスが素晴らしい桜井邸。
気に入ったものだけを買い、モノが増えすぎないように気をつけているのだそう。
「実はマンションの下に収納庫を借りていて、飾らなくなったもの……たとえば大きなビバンダムくんなどはそこに置いています。夫のミニカーコレクションは会社で飾っています(笑)」
イスも気に入ったものが見つかるまで買わないようにしているのだとか。
「寝室のデスクチェアはまだまだ探している最中なんです」
この家に越して5年が経つ。
「前に住んでいた家が平屋の古い一軒家だったこともあり、最初は床で暮らすスタイルにしていたのですが、イスやソファが揃ううちに座る生活になりました。5年が経って少し飽きてきたので、棚を作ったり、モルタル部分の色を濃くして変化を楽しみたいと思っています」