鎌倉ビーチサイド蓄音機から流れる音楽が似合う
インダストリアルな家
一目惚れで購入を決意
もしかすると、森澤家の主は、部屋の真ん中に据えられたこの古い蓄音機かもしれない。蓄音機が奏でる音は、決してながら音楽やBGMにはなり得ない。わずか3分のSP 盤を聴くために、正確に50回ハンドルを回し、針も1回聴くごとに交換し直さなければならないからだ。
フォトグラファーの森澤誠さんが、目黒からここ鎌倉の海沿いのテラスハウスに越してきたのは約1年前のこと。
「海の近くに住んでみたいと思い、鎌倉の不動産を探していました。実はここは賃貸用の物件だったのですが、一目惚れしてしてしまい、購入を決意。案内いただいたエンジョイワークスさんにリノベーションをお願いしました」
部屋から海が望めるビーチサイドの暮らしが始まった。職場までは遠くなったが、毎朝、由比ヶ浜の海を写真に納め、蓄音機に針を落とす時間を大事にする生活を楽しんでいる。
心休まるレトロ感
蓄音機に針を落とすと聴こえてくる、サーっという懐かしさを感じる音。そして次に、ダイレクトに胸に伝わる演奏者の息遣い。森澤宅には、蓄音機の世界観に共通する、懐かしさと、日常を大切にする暮らしがある。
キャンプ用のタープをカーテンとして使ったり、フローリングは足場板を使うなど、インダストリアルな雰囲気に、アンティークをMIX。タイルやドアなどのスモーキーなブルーも、レトロな雰囲気を引き立たせている。
接着剤の跡もそのまま生かす
2階のリノベーションは引き算方式。敷いてあったカーペットを剥がし、2間に仕切ってあった壁を外した。ドアが2枚あるのはその名残り。
「将来、子供部屋を作る際には、壁を作ることもあるかもしれないので、2枚のドアはそのまま残しました」
和室はそのまま残し、琉球畳に替えた。波の音を聞きながら昼寝をするのには最高のスペースだ。