築37年・100㎡のリノベーション優先する条件を絞って
理想の中古物件に出会う
3つの条件を提示
東京都大田区の原沢邸。映像プロデューサーのご主人と陶芸作家の奥さま、フレンチブルドッグのケン太くんが暮らすのは、街を見下ろす高台に建つ築37年の瀟洒なマンションだ。
中古マンションをリノベーションしたいと考えた夫妻は、友人を介して以前から顔見知りだった「フィールドガレージ」の笹原恵理さんに設計をお願いすることに。フィールドガレージの不動産部門に物件探しを依頼した。
中古物件を探すにあたって夫妻が提示した条件は、「100㎡超」「広いテラスがある」「予算に合う」の3つ。一方で、駅からの距離や築年数にはこだわらない、というのが夫妻の考えだった。
「なかなか見つからなかったのですが、3〜4ヶ月後に担当の方から『ありました!』と連絡があって」とご主人。「内見してすぐ気に入り、ここにしようと話しながら帰りました」と奥さまも振り返る。
「駅からは遠いですが、車を使うので問題無い。坂道はキツイけど、高台だからこその見晴らしの良さが、逆にとても魅力的でした」(ご主人)。
リノベで光と風が通る空間に
LDKに足を踏み入れると、太陽の光が差し込む広々とした空間が広がっている。窓辺には、気持ち良さそうに日光浴をするたくさんの植物の姿が。「植物にもいい環境みたいですね。引っ越してから本格的に植物にはまりました」(ご主人)。
LDKを広くしたいという夫妻の要望を受け、「壁式構造のため大きな間取り変更ができなかったのですが、撤去できる壁は撤去して広さを確保しました」と設計者の笹原さん。既存の間取りでは独立していたキッチンの壁を撤去することで、ひとつながりのゆとりあるLDKをつくり出した。
また、LDKと隣接する寝室の間仕切りは、ガラス張りの大きな室内窓に。視線や光が抜けるため空間がより広く感じられるのはもちろん、一部が開閉できるため風が通るというのも大きな魅力だ。
地獄の?DIYで費用削減
予算が限られていたためリノベ費用を少しでも削減しようと、笹原さんの提案で壁・天井の塗装と床へのワトコオイル塗布はDIYで行うことに。
塗装前の養生や下処理に手間と時間がかかる壁・天井の作業は特に大変だったそうで「あれは地獄でした(笑)」とご主人。「笹原さんに大変だよと言われていたんですが、想像を遥かに超える大変さだったんです。友人や両親などたくさんの人に手伝ってもらい、迷惑をかけました」と奥さまも苦笑い。
すべての作業が終わるまでに、トータルで2ヶ月もかかったそうだが、そんなちょっと苦い思い出もDIYの醍醐味と言えるだろう。
一室を陶芸の作業場に
陶芸作家として、各地のクラフトフェアに出展したり、ショップに作品を卸すなどの活動をしている奥さま。これまで暮らしていた賃貸マンションには専用の部屋がなく、「ダイニングテーブルで作業していたので、掃除も大変でした」と話す。
リノベーションにあたって、玄関脇の一室を専用の作業場に。床はコンクリートの土間にしたことで、「汚れを気にせず土を扱えるようになりました。念願が叶って嬉しいです」(奥さま)。
取材の最後に、暮らしの変化をうかがうと、「人を呼ぶことが増えました」とご主人。この家を訪れてリノベーションに興味を持った友人に、フィールドガレージを紹介することもあるのだという。
広いテラスの眼前に大きな桜の木があるため、お花見パーティーも恒例行事に。「桜の時期になると、誘う前に「いつですか?」と聞かれるんですよ」と笑うご主人。原沢邸の居心地の良さがわかるエピソードだ。