空間を高低差で分ける クールなハコと キュートなインテリアの絶妙なバランス

空間を高低差で分けるクールなハコと
キュートなインテリアの絶妙なバランス

壁にDIYでアクセントカラーをプラス

グラフィックデザイナーの加藤賢策さんと、絵本作家でイラストレーターの大橋慶子さんが、築約30年の代々木上原の集合住宅をリノベーション。
「設計はフジワラボの藤原徹平さんにお願いしました。仕事をご一緒させていただいたことのある藤原さんに、物件探しから相談に乗っていただきました。リフォーム前の空き物件を探すのは意外に大変だったのですが、偶然、以前住んでいた向かいのマンションに空きが見つかりました」
 

リノベーションは躯体のコンクリートむき出しのまま、大部分の壁を荒々しく仕上げた。有孔ボードがところどころにアクセント的に使われている。床はモルタルとOSB合板。トーンを落としたクールな造りだ。
そこに明るい色の壁や、カラフルな家具やファブリック、そしてカタチがユニークなチアフルでセンスのいいアイテムが加わり、お二人らしい住まいになっている。

5歳の究(きゅう)くんを始め、加藤一家は楽器演奏がブームなのだとか。壁は少しグレーがかった白。リビングの黄色い壁は自分たちで塗った。ソファはデンマークの『HAY』のもの。卵型のサイドテーブルがかわいい。ハート型の葉を持つ観葉植物はウンベラータ。

5歳の究(きゅう)くんを始め、加藤一家は楽器演奏がブームなのだとか。壁は少しグレーがかった白。リビングの黄色い壁は自分たちで塗った。ソファはデンマークの『HAY』のもの。卵型のサイドテーブルがかわいい。ハート型の葉を持つ観葉植物はウンベラータ。

「コートジボアールのお面。儀式に使うものだそうです」

「コートジボアールのお面。儀式に使うものだそうです」

アメリカの『SLOWDOWN STUDIO』のブランケット。ビートルズや石型クッションを添えて。

アメリカの『SLOWDOWN STUDIO』のブランケット。ビートルズや石型クッションを添えて。

センス溢れるディスプレイ。「吊るしたスカーフは、フォトグラファーの作品です。気に入っているのですが身につけなかったので、飾ってみました」

センス溢れるディスプレイ。「吊るしたスカーフは、フォトグラファーの作品です。気に入っているのですが身につけなかったので、飾ってみました」

お気に入りのものを並べる見せる収納。小さなものはカゴに。

お気に入りのものを並べる見せる収納。小さなものはカゴに。

カートを収納として使うアイディア。

カートを収納として使うアイディア。

「モルタルの割れは気にしていません。味わいを楽しんでいます」 手前は柳宗理のエレファントスツール。

「モルタルの割れは気にしていません。味わいを楽しんでいます」 手前は柳宗理のエレファントスツール。

モルタルと合板の床がゆるやかに空間を分ける

このマンションは柱ではなく壁で支える構造になっており、フルスケルトンにしてもいくつかの壊せない壁が残った。その残った壁を生かしながら、それぞれの空間にいかに連続性をもたせるかが建築家の藤原さんの腕の見せどころ。部屋をつなぐ存在である廊下の役割を際だたせるため、高低差をつけた廊下をリビングの中ほどまで伸ばした。ドアは作らず、ファブリックでゆるやかに空間を分けている。
 

「有孔ボードは僕が藤原さんにリクエストしました。キッチンと、ワークルームの両方に使っています」

キッチンカウンターの下に業務用の冷蔵庫を収納。コンロは三口の『ガスクッカー』。廊下は一段高いOSB合板と天井にシナ合板、キッチンとリビングはモルタル仕上げにして、空間をゆるやかに分けている。

キッチンカウンターの下に業務用の冷蔵庫を収納。コンロは三口の『ガスクッカー』。廊下は一段高いOSB合板と天井にシナ合板、キッチンとリビングはモルタル仕上げにして、空間をゆるやかに分けている。

キッチンの壁には有孔ボードを。道具を収納できる機能性だけではなく、ディスプレイも楽しめる。「棚は自分でつけました。蟹の甲羅は好きでつい飾ってしまうアイテムです。金沢土産の蟹です(笑)」

キッチンの壁には有孔ボードを。道具を収納できる機能性だけではなく、ディスプレイも楽しめる。「棚は自分でつけました。蟹の甲羅は好きでつい飾ってしまうアイテムです。金沢土産の蟹です(笑)」

仕事場からリビングへ。OSB合板がリビングの中央まで延長することで、空間に連続性が生まれている。

仕事場からリビングへ。OSB合板がリビングの中央まで延長することで、空間に連続性が生まれている。

薄く白にペイントしたOSB合板と、モルタルの組み合わせが美しい。

薄く白にペイントしたOSB合板と、モルタルの組み合わせが美しい。

有孔ボードで壁面をフルに楽しむ

ワークルームは、主に家で仕事をする慶子さんがメインで使っている。保育園に通う究くんは慶子さんの隣に座る。仕事は事務所で行う賢策さんのスペースはどちらかといえば趣味のディスプレイが色濃い。

「子どもが大きくなったら、このスペースを分けて独立した部屋を作ることになるかもしれません」

この家に住んで約2年。ソファを買ったり、ハンモックを吊るしたりと、少しづつ住みよく楽しい家になっている。

「次は、ベランダにウッドデッキを敷きたいと考えています」

慶子さんのワークスペース。壁に沿って長い天板を設置。

慶子さんのワークスペース。壁に沿って長い天板を設置。

慶子さんの横で顕微鏡を覗く究くん。有孔ボードは、仕事道具を機能的に配置できる。

慶子さんの横で顕微鏡を覗く究くん。有孔ボードは、仕事道具を機能的に配置できる。

奥が賢策さんのスペース。有効ボードを活用して、壁にギターを飾っている。イスはヴィトラのオールスター。照明は、照明デザイナーの岡安泉さんが制作。

奥が賢策さんのスペース。有効ボードを活用して、壁にギターを飾っている。イスはヴィトラのオールスター。照明は、照明デザイナーの岡安泉さんが制作。

「ハンモックは、千歳船橋の『NORDISK CAMP SUPPLY STORE by ROOT』で買いました」

「ハンモックは、千歳船橋の『NORDISK CAMP SUPPLY STORE by ROOT』で買いました」

ワークルームの本棚。賢策さんの蔵書は事務所に置いてある。

ワークルームの本棚。賢策さんの蔵書は事務所に置いてある。

洗面所や寝室は、安東陽子さんデザインのテキスタイルで柔らかく仕切られる。「洗面ボウルは、いろいろ比較検討した結果、この丸いカタチのものにしました」

洗面所や寝室は、安東陽子さんデザインのテキスタイルで柔らかく仕切られる。「洗面ボウルは、いろいろ比較検討した結果、この丸いカタチのものにしました」

「実家に帰った時に近所のホームセンターで買った玉砂利を玄関に敷きました」 正面のサドルとハンドルで作ったオブジェは賢策さんの“日曜アート”だそう。右の壁の丸いフックは後から賢策さんが取付けた。

「実家に帰った時に近所のホームセンターで買った玉砂利を玄関に敷きました」 正面のサドルとハンドルで作ったオブジェは賢策さんの“日曜アート”だそう。右の壁の丸いフックは後から賢策さんが取付けた。

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