ToKoSie ー トコシエ

70年代の名建築に暮らす街を見下ろし、景色に溶け込む
丘の上のヴィンテージリノベ

建物の希少性に即決

神奈川の丘陵地帯の丘の上。コピーライターの藤井識史さんとグラフィックデザイナーの藤井ともみさん夫妻は、日本の名建築家が設計した築46年のヴィンテージマンションにひと目惚れして購入。
「マンションの敷地内に中庭があること、三面に開口があって明るいこと、そして特殊な造り。他にはない好条件でした」。
中庭に面した南側と、街を見下ろす北側、そしてキッチンのある東側にも開口があり、部屋中を光が通り抜ける。収納が外部にボックスのように取り付けられていて、室内に凹凸がないという造りも貴重だ。
「正直、購入を決めて探していたわけではなかったんです。でもたまたま出会ってしまって、ここに住みたい、と思いましたね」。
衝動買いに近い状態だったので、予算は組んでいなかった。そこで、間取りや内装などデザインはふたりで考えて、工務店に施工を依頼することに。
「本当に普通の工務店さんだったのですが、色々とよくこちらの希望を聞いてくれました」。
3面から光が差し込むダイニングで。テーブルは桜の木でできたWOOD YOU LIKE COMPANYのもの。外にある桜の木とのつながりを意識した。
3面から光が差し込むダイニングで。テーブルは桜の木でできたWOOD YOU LIKE COMPANYのもの。外にある桜の木とのつながりを意識した。
左奥の部屋の壁を取り払って1LDKに。リビングやオフィスからは南側の中庭の緑が見渡せる。
左奥の部屋の壁を取り払って1LDKに。リビングやオフィスからは南側の中庭の緑が見渡せる。
シックな色味が落ち着きを与えるリビング。テレビボードや壁のディスプレイはともみさんがDIY。日当りがよいので、エバーフレッシュやカラテア・トリオスターなどの観葉植物もよく育つ。
シックな色味が落ち着きを与えるリビング。テレビボードや壁のディスプレイはともみさんがDIY。日当りがよいので、エバーフレッシュやカラテア・トリオスターなどの観葉植物もよく育つ。

自然な味わいのある空間に

2LDKだった間取りは1LDKにして、オフィススペースをLDKと一体化。床は張り替えて、壁には工務店さんおすすめの塗料を塗った。
「いちばん大事にしたのは、真新しくなりすぎないようにする、ということでした。キメキメな感じではなく、自然に古びた感じがある方が私たちにとっては居心地がいいんです」。
いちばんのポイントである眺望と明るさを活かすため、内装は白をベースに。さらに窓から見える木々と部屋の中をつなぐために、インテリアは木目のものを基本に揃えた。
「予算をかけるところとかけないところを決めていたので、洗面台や照明など、前の家主さんからのものをそのまま使っているところもあります。でもそれが味になっているところもあると思います」。
洗面所の小窓のついた昭和な雰囲気のドアはそのままに。しかし色にはこだわり、現場で調色してもらったカーキグリーンを使用。ドアノブは真鍮のものを探して取り替えた。
「それに合わせてベッドルームのドアや木枠の小窓も新しく取り替えました。模様の入ったガラスはネットで見つけて工務店さんに取り付けてもらいました」。
お気に入りのポスターを飾るオフィススペース。ビスレーのキャビネットとL字型の脚に、木材店でカットしてもらった天板をのせてデスクに。脚の位置を変えれば伸縮自在の優れもの。窓の外には、背の高い木々が植えられた北欧のような雰囲気の庭が広がる。
お気に入りのポスターを飾るオフィススペース。ビスレーのキャビネットとL字型の脚に、木材店でカットしてもらった天板をのせてデスクに。脚の位置を変えれば伸縮自在の優れもの。窓の外には、背の高い木々が植えられた北欧のような雰囲気の庭が広がる。
ベッドルームの仕切りにはドアと小窓を。ガラスやドアの色味にこだわった。東側から、朝の光が小窓を通ってベッドルームに差し込む。壁の塗装はNASAが開発したという特殊な塗料を採用。
ベッドルームの仕切りにはドアと小窓を。ガラスやドアの色味にこだわった。東側から、朝の光が小窓を通ってベッドルームに差し込む。壁の塗装はNASAが開発したという特殊な塗料を採用。
ベッドルームにはオフィス側の仕切りに大きなクローゼットを設けた。「ふたりとも服が多いことと、動線を考えてここに収納があると便利なんです」。
ベッドルームにはオフィス側の仕切りに大きなクローゼットを設けた。「ふたりとも服が多いことと、動線を考えてここに収納があると便利なんです」。
もともとあった洗面のドアは、ベッドルームと同じカラーに。小さな窓がお気に入り。
もともとあった洗面のドアは、ベッドルームと同じカラーに。小さな窓がお気に入り。
洗面台の上の照明も、もとからついていたもの。レトロな風合いがいい感じ。
洗面台の上の照明も、もとからついていたもの。レトロな風合いがいい感じ。

生活動線も考えて

古いものを生かした内装に、味わいを深めているのはともみさん中心にDIYした家具や飾り棚。ご夫婦ふたりでワークショップに参加して作った花のオブジェや、観葉植物も彩りを添える。
「色々と手作りするのが好きなんです。テレビボードや花台などは、古材やアイアンを使って自分で作りました。メルカリで古い材料を入手して活かしています」。
整理収納アドバイザーとしても活動するともみさん。収納がなかった玄関前には棚を用意し、外出時に必要なものをまとめておけるスペースも確保した。動線を考えた、使いやすい生活空間にも配慮している。

カリモクのソファーは識史さんのお気に入り。照明作家・谷俊幸さんの桜の木のペンダントライトがグリーンに調和する。壁の収納は外に張り出した独特の造り。
カリモクのソファーは識史さんのお気に入り。照明作家・谷俊幸さんの桜の木のペンダントライトがグリーンに調和する。壁の収納は外に張り出した独特の造り。
塗装の剥がれをカバーするため、1カ所のみカーキベージュで塗った柱がアクセントに。ディスプレイされているグリーンは、ワークショップで作ったものだそう。
塗装の剥がれをカバーするため、1カ所のみカーキベージュで塗った柱がアクセントに。ディスプレイされているグリーンは、ワークショップで作ったものだそう。
玄関前に無印良品の棚を設置。ハンカチなど外出時に必要なものや、文房具など動線上ここにあると便利なものを仕分けして収納している。壁の作品は、二子玉川の貼箱専門店BOX&NEEDLEで購入したもの。
玄関前に無印良品の棚を設置。ハンカチなど外出時に必要なものや、文房具など動線上ここにあると便利なものを仕分けして収納している。壁の作品は、二子玉川の貼箱専門店BOX&NEEDLEで購入したもの。
メルカリで買った古いカンナを使って、チランジアをディスプレイ。
メルカリで買った古いカンナを使って、チランジアをディスプレイ。
花台は二子玉川のtukuribaで、ともみさんがDIY。天板に古材を載せた。
花台は二子玉川のtukuribaで、ともみさんがDIY。天板に古材を載せた。

窓がそれぞれの景色を切り取る

自宅で仕事をする時間も長いおふたりは、何よりも抜けのある環境が気に入っている。
「窓ごとに眺めが違うのがいいですね。オフィスから中庭を見ると、木々の感じがスカンジナビアのように思えるし、北側の窓から外を見ると、段々に広がる街の景色がまるでブラジルのようだな、と(笑)」と、ともみさん。識史さんは、
「仕事の合間によくコーヒーを入れるのですが、キッチンに立ってコーヒーを飲みながら、窓の向こうをぼーっと眺めるのが好きなんです。夕暮れ時に、家々の灯りがだんだんと灯っていくのを見るのも好きです」。
春は目の前の大きな桜の木が、目を楽しませてくれるそう。
「室内はこれからも手を加えていけるけれど、この環境は変えられません。ここを見つけられてよかったと思っています」。
大きな開口部の向こうには街の景色が広がる。最上階のため、見晴らし抜群。春には桜も眼前に。
大きな開口部の向こうには街の景色が広がる。最上階のため、見晴らし抜群。春には桜も眼前に。
キッチンはIKEAを採用。広々としていて明るく、作業もはかどる。
キッチンはIKEAを採用。広々としていて明るく、作業もはかどる。
2面に開口のあるキッチンのコーナー。ここでビールを飲むことも。
2面に開口のあるキッチンのコーナー。ここでビールを飲むことも。
キッチンでコーヒーを淹れる識史さん。棚はちょうど合うものが見つからないので、突っ張り棒LABRICOで簡易的に設置。これが意外とよかった。
キッチンでコーヒーを淹れる識史さん。棚はちょうど合うものが見つからないので、突っ張り棒LABRICOで簡易的に設置。これが意外とよかった。
「オフィスからは北欧風の景色が楽しめます」と、ともみさん。壁のポスターは海外のインテリアのウェブで見て欲しくなり、ネットで探したもの。
「オフィスからは北欧風の景色が楽しめます」と、ともみさん。壁のポスターは海外のインテリアのウェブで見て欲しくなり、ネットで探したもの。
「これからもっとグリーンを増やしていきたい」。味わいのある空間は進化中。
「これからもっとグリーンを増やしていきたい」。味わいのある空間は進化中。