アトリエのある住空間  粗さと古さを残した 自然体のリノベーション

アトリエのある住空間粗さと古さを残した
自然体のリノベーション

自ら3Dを駆使して空間設計

イラストレーターの山口学さんは6年前、渋谷区内に建つ当時築30数年のヴィンテージマンションを購入、リノベーションした。
「リノベの合同説明会に行って、いちばん話を聞いてくれそうだったnuリノベーションさんに依頼することに決めました。当初はあまりリノベに関して知識があったわけではないのですが」。
nuリノベーションの“相談は何回でも”の提案に従い、何度も打ち合わせを重ねる内、希望がどんどん膨らんできたそう。そこで、3Dのソフトウエアを自ら駆使し、サイズ感をシュミレーションして、イメージを具体化することに。
「壁の厚さやクローゼットの高さ、持っている家具のサイズなどをcm単位で出して、空間全体をイメージしました。3Dに人を置いて自分が部屋に住みに行き、完成したものを提出して形にしてもらった感じです」。
南側の開口部から明るい光が入るリビング。取り壊した天井とテレビボード側は、コンクリートをむき出しに。床にはフシのあるナラの無垢材を張った。

南側の開口部から明るい光が入るリビング。取り壊した天井とテレビボード側は、コンクリートをむき出しに。床にはフシのあるナラの無垢材を張った。

ダイニングには古道具屋で見つけた東芝の昭和感のあるライトを。イスはアンティークのチャーチチェアなど。

ダイニングには古道具屋で見つけた東芝の昭和感のあるライトを。イスはアンティークのチャーチチェアなど。

モルタルを敷いた土間風玄関の脇にアトリエを設置。黒いフレームが内部を切り取る。

モルタルを敷いた土間風玄関の脇にアトリエを設置。黒いフレームが内部を切り取る。

適度なシャビー感を活かして

玄関を入ると、広めにとられた玄関の先に、ガラス張りのアトリエが。その向こうにひとつながりのLDKが開けている。
「イメージは白い壁に黒いフレーム。そこに無垢の木材を用いつつ、ボロボロじゃないくらいのシャビー感を出してラフに仕上げたいと思いました」。
壁紙を剥がして現れたコンクリートは、ボンドの跡をあえて残して荒々しい仕上げに。白く塗装した部分は、友人にも協力してもらい、DIYで塗ってコストカットを実現した。
「3Dで考えていくうちに、家の中に窓があったらおもしろいかなと思って、ベッドルームには窓をつけてもらいました」。
変化のあるLDKには、サイズを細かく計って設置した棚やテレビボードが、インテリアの一部のよう。
「いちばん下にはルンバの基地も設けました(笑)。細かく考えたので、完成形はイメージ通りですね」。
緻密に練り上げられた空間を、PACIFIC FURNITURE SERVICEのライトが照らす。
ダイニングはリビングより1段高い位置に。段差が空間に変化を生んでいる。

ダイニングはリビングより1段高い位置に。段差が空間に変化を生んでいる。

キッチンはIKEAで選んだ。アトリエのガラス窓は「お互いの動作がわかるように」と妻が希望したそう。

キッチンはIKEAで選んだ。アトリエのガラス窓は「お互いの動作がわかるように」と妻が希望したそう。

中に収めるもののサイズを細かく計り造作した棚。壁にはアーティスト我喜屋位瑳務の作品を飾る。

中に収めるもののサイズを細かく計り造作した棚。壁にはアーティスト我喜屋位瑳務の作品を飾る。

リビングを貫く横長の棚も、縦の棚と同じ素材で造作。集成材にオイルステインを塗り、自然な雰囲気に仕上げてもらった。

リビングを貫く横長の棚も、縦の棚と同じ素材で造作。集成材にオイルステインを塗り、自然な雰囲気に仕上げてもらった。

ベッドルームには窓を設置。木のドアはショールームで選び、施主支給したもの。いずれ塗装する予定。

ベッドルームには窓を設置。木のドアはショールームで選び、施主支給したもの。いずれ塗装する予定。

ベランダは川に面していて、外の景色に抜けがある。ペアガラス+内窓の3重構造で、冬も床暖房だけで温かいそう。

ベランダは川に面していて、外の景色に抜けがある。ペアガラス+内窓の3重構造で、冬も床暖房だけで温かいそう。

アトリエはアメリカ映画のように

「むき出しのコンクリートに、横に長い机と棚を、直接壁に造作するのが希望でした」。
ガラス張りのアトリエは、ベランダからの光が通り抜けて明るさも確保。黒いフレームとドアが、レトロでクラシカルな雰囲気を出している。
「イメージは“50年代のアメリカの刑事の部屋”です。『LAコンフィデンシャル』が好きだったのでインプットされてるんでしょうか」。
特にこだわったのはドア。nuリノベーションが用意した模様入りのガラスに、山口さんがPACIFIC FURNITURE SERVICEで見つけてきた真鍮のドアノブを取り付けた。このドア1枚を隔てた空間で、イラストを描いたり、レコードをかけてひとりで籠ったり。
「ガラスなので家族とのつながりも保てるし、ドアを締めれば集中できるし、自分にとって大事な空間ですね」。
3Dで描いた理想の暮らし。仕事も趣味も没頭できる、ラフで居心地のいい空間が実現されていた。
アトリエで作業をする山口さん。手前の靴箱はPACIFIC FURNITURE SERVICEのものをふたつ並べ、DIYで脚を付けて天板に古材を渡した。

アトリエで作業をする山口さん。手前の靴箱はPACIFIC FURNITURE SERVICEのものをふたつ並べ、DIYで脚を付けて天板に古材を渡した。

50年代のアメリカを思わせるクラシカルなドア。

50年代のアメリカを思わせるクラシカルなドア。

造作の棚も3Dでサイズを指定。無駄なく収まっていてストレスがない。

造作の棚も3Dでサイズを指定。無駄なく収まっていてストレスがない。

アトリエの一角。様々なカラーが洪水のように溢れる。

アトリエの一角。様々なカラーが洪水のように溢れる。

自分でカットした古材を天板に。古っぽさを細部にアレンジ。

自分でカットした古材を天板に。古っぽさを細部にアレンジ。

玄関脇に飾られているのは、山口さんの作品。

玄関脇に飾られているのは、山口さんの作品。

リビングには我喜屋位瑳務の作品があちこちに。

リビングには我喜屋位瑳務の作品があちこちに。

イラストレーター山口学さん。ローラーを用いた作品で知られる。3Dでイメージ通りのリノベを完成。

イラストレーター山口学さん。ローラーを用いた作品で知られる。3Dでイメージ通りのリノベを完成。

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