Artekのスツール Artekが試みた
Art&Technology
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マニフェスト
フィンランドバーチ
曲げ木の技法
アルヴァ・アアルトは、アルテック創業前の1920年代から曲げ木の開発に取り組み、「L−レッグ」と「ラメラ曲げ木」という曲げ木の技術を完成させ、木材を強度のあるモダンな素材として確立した。金属の代わりに曲げ木を使う技法は当時斬新なものだった。この新しい技術によって、木材の持つぬくもりはそのままで、強度と耐久性の高い製品づくりが可能になり、さまざまな椅子やテーブルに採用された。
「L−レッグ」は、まっすぐな無垢のバーチ材に20cm程度のスリットを5本を入れ、その隙間にベニヤと接着剤を入れ、機械で熱して曲げる。最後に余分な部材を落とし、隙間を木くずでパテ埋めし、ヤスリをかけて仕上げる。スリットにベニヤを挟むことで、曲げやすく、無垢材よりも強度のある部材になる。3年の月日をかけて開発したこの技術は1933年に特許取得された。このL−レッグを用いて最初に誕生したのがスツール 60。
「ラメラ曲げ木」は、ラメラという数ミリにカットしたバーチ材の長い板を、木目が同じ方向になるように重ね合わせ、加圧して曲げる。積層したバーチ材は、スチール製のチューブと同じように曲げることができ、柔軟性や強度もスチールと相当する。ラメラ曲げ木には2種類のループ型とオープン型があり、アームチェアやティートロリー、ウォールシェルフなどのパーツとしてアアルトのさまざまな家具に使われている。今回は曲げ木の技法を使った代表作、スツール 60、ティトロリー、パイミオを紹介する。
《STOOL 60》
《901 TEA TROLLEY》
《41 ARMCHAIR “PAIMIO”》
Artek designer
《Alvar Aalto》
アルヴァ・アアルトは、1930年に「23 チェア」、1932年に同シリーズ「26 アームチェア」を発表。L-レッグやラメラ曲げ木などの曲げ木の技術が確立する前の貴重な作品だ。当時流行ったモダニズムのデザインを象徴するスチールパイプのカンチレバーの脚を採用した椅子。後にアアルトはカンチレバーを曲げ木で再解釈し、1930年代、バーチ材を用いたカンチレバーの作品を多く発表した。
アルヴァ・アアルト(1898ー1976)フィンランド出身。20世紀を代表する建築家。1924年、同じく建築家であるアイノと結婚、公私にわたるパートナーに。建築だけでなく、家具、照明器具、ファブリック、建築金具、などさまざまなアイテムを手がけ、北欧モダンデザインを牽引した。
《llmari Tapiovaara》
イルマリ・タピオヴァーラ(1914ー1999)フィンランド出身。1930年代にル・コルビュジエに師事した後、ミース・ファン・デル・ローエのオフィスで経験を積んだ。国際的なモダニズムを理解した上で北欧デザインを解釈し、家具をはじめ、ガラスウエア、内装デザインなど幅広く手がけた。
《Shigeru Ban》
坂茂(1957ー)世界的に有名な日本の建築家。 1985年に坂茂建築設計を設立。紙や段ボール、竹などを構造材として使用する手法は独創的で広範囲にわたる。
《Konstantin Grcic》
コンスタンチン・グルチッチ(1965ー)ドイツ・ミュンヘン生まれ。ジャスパー・モリソンの元で経験を積む。ヴィトラ、フロス、イッタラ等のデザインを手がけ、多くの作品がMoMAのパーマネントコレクションに選定されている。
《Ronan and Erwan Bouroullec》
ロナン・ブルレック(1971ー)エルワン・ブルレック(1976ー)フランス出身。兄弟でデザインを手掛ける。世界中から注目を集め、作品はパリのポンピドゥー・センターやMoMAのパーマネントコレクションに選定されている。
《Alvar Aalto × Ronan and Erwan Bouroulle》
アルテック
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