ToKoSie ー トコシエ

生活と趣味が重なり合う“家でくつろぐ”をテーマに楽しむ空間創り

眺望にこだわった物件を求めて

小高い丘の斜面に沿って立つ8階建てのマンション。Yさん夫妻がその最上階を独り占めしている。
「景色が抜けていてベランダが広い物件を1年かけて探しました。最上階でワンフロアこの部屋だけ。不動産屋さんに紹介され見に来た時にこれは絶対だと思い決めました」
ここに住む前から近くに住んでいたご主人のYさん。この地域には丘が多く、景色が抜けている物件が見つけやすいことを知っていたので、散歩をしながら内覧会などに顔を出した。複数の不動産屋に相談して見つけたのがこの物件だ。Yさんが内覧に来た際、まだ前の住民が住んでいたため、物件について色々と尋ねた。それが部屋選びとリノベーションの参考になったという。
「住まれている方に実際ここに住んでいて感じていることが聞けてよかったですよ。生活環境や騒音がないかとか、四季の様子とか。あと汚れやカビのある場所を確認しておけば、リノベの際に対策が練れますよね」
開放感を残すため隣家がある南側以外はカーテンをつけていない。写真正面が北側。家具は対で置かれたスピーカー“B&W”のウッディ感に合わせて選んだ。
開放感を残すため隣家がある南側以外はカーテンをつけていない。写真正面が北側。家具は対で置かれたスピーカー“B&W”のウッディ感に合わせて選んだ。
「入り口からリビングまでの抜け感が欲しかった」というYさん。玄関からリビングへと続くドアは空間を広く見せるため両開きタイプになっている。
「入り口からリビングまでの抜け感が欲しかった」というYさん。玄関からリビングへと続くドアは空間を広く見せるため両開きタイプになっている。

理想だけじゃない2度目のリノベーション

リビングは隣りにあった和室を無くし1つの部屋に。仕切りを無くし3方向から光が入るようにしたことで、地の利を最大限に活かす。
「直射日光は入らなくていいんです。冬でも一日中柔らかい光が入ってきますよ」
北向きというデメリットにも思える環境も窓の数が多いことでメリットになっている。
実はリノベーションが2回目というYさんは前回の経験を活かした。
「床はオークの無垢フローリングです。前の家ではアメリカの古材を輸入して使いました。見た目は良かったのですが、穴が空いていたりとスリッパがないと歩けなかったんです」
自身で塗装した内壁もこだわりと経験が見える。
「化学物質が使われているものを部屋に使いたくなかったのと、湿気に影響がないことを考えたら漆喰でした。湿気の溜まりやすい寝室と浴室は調湿ができる珪藻土を塗っています」
リビングは一面だけ淡い黄色の漆喰を塗り程よいアクセントに。
「色粉を混ぜました。ヨーロッパの家って壁に色があるんですが、それに憧れていたんです。強い色は嫌だなと思い選んだらこの色になりました」
壁の巾木にも前回のリノベーションの経験が活きている。
「本当は巾木が嫌いなんですけど、前回のリノベーションで巾木を使わなかったら漆喰がポロポロ取れちゃうんです。なので今回は目立たない高さと色の巾木にしています」
リビング正面の淡い黄色の壁と全体の木のぬくもりが暖かな空間を生む。
リビング正面の淡い黄色の壁と全体の木のぬくもりが暖かな空間を生む。
もとはL字のカウンターキッチンだった空間は一から作り直した。コンロとビルトインオーブンの両サイドに木材をつけることで無機質さをなくしウッディな空間に統一感を出す。
もとはL字のカウンターキッチンだった空間は一から作り直した。コンロとビルトインオーブンの両サイドに木材をつけることで無機質さをなくしウッディな空間に統一感を出す。
床の余り木で棚を造作。
床の余り木で棚を造作。
湿気が溜まりがちな部屋の壁には珪藻土を塗った。スイッチカバーはR&M。
湿気が溜まりがちな部屋の壁には珪藻土を塗った。スイッチカバーはR&M。
アクセントに銅版画作家 福本倫の作品を壁掛け。
アクセントに銅版画作家 福本倫の作品を壁掛け。

趣味が生活に溶け込むリビング

リビングの南側にはこだわりのスピーカーが設置されていたりとYさんの趣味を感じる空間になっている。特に目を引くのは音響機材やLPレコードのコレクション、巨大な水槽を収納するYさんこだわりの造作棚。
「家を見た時にここに置きたいと思いましたね。重い音響機材や水槽を乗せることができる板の厚さとサイズを内装屋さんと相談して自分で作りました。2メートルの板を8枚買ってきて、1回サンドペーパーで磨いて、切って、2度塗りして・・・この棚を作るのは本当に大変でしたね」
熱帯魚の飼育歴が20年ほどというご主人にとって前の家で使っていなかった大きな水槽の復活は外せない点だった。水槽の下には水換えなどのメンテナンスの利便を考え水道を設置。扉を設け普段閉めることで見栄えと利便性の両立を実現した。
緑の棚は全て造作。音楽が趣味のYさんは天井に吊るされたスピーカーの配置にもこだわった。
緑の棚は全て造作。音楽が趣味のYさんは天井に吊るされたスピーカーの配置にもこだわった。
お休みの日にはここで趣味を楽しむ。右壁に設置されたレコード掛けはYさんの造作。気分によって飾るレコードジャケットを変える。
お休みの日にはここで趣味を楽しむ。右壁に設置されたレコード掛けはYさんの造作。気分によって飾るレコードジャケットを変える。
Technicsのオーディオミキサーとターンテーブル。
Technicsのオーディオミキサーとターンテーブル。
水槽内にある石はYさんの出身地である隠岐の島のもの。ダイビングをやっていた奥様もお気に入りの水槽で長い時には3時間眺めていることも。
水槽内にある石はYさんの出身地である隠岐の島のもの。ダイビングをやっていた奥様もお気に入りの水槽で長い時には3時間眺めていることも。
水槽の下に水道を設置したことで水換えやメンテナンスが楽にできる。
水槽の下に水道を設置したことで水換えやメンテナンスが楽にできる。

生活空間としての利便性も追求

Yさんのこだわりがリノベーションの基本コンセプトになっているが奥様のアドバイスが生活空間としての完成度を高める上で重要だった。
「彼は生活のしやすさよりも自分のイメージした空間コンセプトを強く持ってリノベを考えていました。それを尊重しながら、生活する際の利便性だったり、ゲストが来た時のことを考えて思ったことを提案しました」と奥様。
例えば、エントランスの左側にあったサービスルームとリビングに続く廊下との間にあった壁は取り払った。
「サービスルームだった所にドアを付けるかどうか話し合った時には、使わない時にしまうことが出来る引き戸を提案しました。あと彼は照明にもこだわりを持っていて間接照明が多いのですが、この部屋は私がお化粧をするために蛍光灯を入れてほしいと言いました。色を入れる時に蛍光灯でないと濃いお化粧になっちゃうので(笑)」
サービスルームの壁と扉と無くしたことで間口が広がり開放感がある
サービスルームの壁と扉と無くしたことで間口が広がり開放感がある
壁をなくし北側の風や光がエントランスに入るようにした。
壁をなくし北側の風や光がエントランスに入るようにした。

生活スタイルが自然と生み出す住空間

結婚を期に時間をアレンジできる仕事に転職したYさん夫妻。時間に追われない生活リズムに合わせるかのように、いつの間にか家もくつろぎの空間を目指すようになっていたという。
「家で遊びたいし、時間がゆっくりであってほしい。そうするためにこの物件を選びました。周りの喧騒がなくて、周りに家が少ない。隣には雑木林があって鳥が飛んできたり、朝日夕日が楽しめちゃう。夜は向かいのマンション群がいい感じです。ここはくつろぎの空間で用事がない時は外に出ずにゆっくりしていますね」
テラスにキャンプ用のイスを置いて夕日を見ながら食事をするのがお気に入り。
「テラスはこれから色々とやりたいですね。サンルームを作りたいですし、春になったらお花を入れたいなとか」とYさん。
奥様は「ずーっと作っていく楽しみも味わえますよね」とにっこり。
生活の基盤となる住まいを『楽しむ空間』に創りあげていく2人のアイデアは尽きない。