植物とともに暮らす  自然を感じながら紡がれる のびやかな家族の時間

広いベランダのある暮らし自然を感じながら紡がれる
のびやかな家族の時間

決め手は部屋と同じ広さのベランダ

築40年ほどのマンションを2年前に購入し、5歳・3歳・0歳の3人のお子さんと暮らすYさん夫妻。この物件を選んだ最大の理由はベランダだった。「ポストにチラシが入っていたのですが、間取りを見ると部屋と同じ広さのベランダがついている。こんな物件はめったにない!と思いました」。そろって植物好きで、「結婚前から丹精込めて育てていた子も多い」と話す夫妻は、広いベランダで思う存分ガーデニングを楽しむ生活をイメージしたという。

「内装や水回りなどの設備は築年数分古びていましたが、最初からスケルトンリフォームで自分たちらしく変えてしまおうと思っていたので、まったく気になりませんでした」と話す夫妻。実はYさんは空間デザインの会社を経営しており、リノベーションは得意としている。

そうして購入を決めた夫妻は、仕事仲間とも協力しながら、好きなエッセンスをちりばめたリノベーションを行っていった。

手前がLDK。奥の扉の先が寝室。左右の寝室はつなげて、室内に回遊性を持たせた。

手前がLDK。奥の扉の先が寝室。左右の寝室はつなげて、室内に回遊性を持たせた。

ポイントで入れた黄色とグリーンが、明るい印象を生み出している。左奥の玄関に通じる扉には透明のアクリル板を貼り、抜け感を演出。

ポイントで入れた黄色とグリーンが、明るい印象を生み出している。左奥の玄関に通じる扉には透明のアクリル板を貼り、抜け感を演出。

手前の作業台兼本棚は、Yさんのお手製。コンクリートの天板と木の枠という異なる質感の組み合わせが面白い。

手前の作業台兼本棚は、Yさんのお手製。コンクリートの天板と木の枠という異なる質感の組み合わせが面白い。

寝室は半分を小上がりにして、段差の部分を大容量の収納に。

寝室は半分を小上がりにして、段差の部分を大容量の収納に。

元々柱が入っていて使いにくかったスペースは、発想の転換で二段ベッドに。

元々柱が入っていて使いにくかったスペースは、発想の転換で二段ベッドに。

自然を感じること・子どもが楽しいこと

「まず、空間を一続きにして、子どもがぐるぐると動き回れるようにしました」と話すYさん。元々の室内は3DKと細かく分かれていたが、広々としたLDKとその奥につながる寝室のみという、おおらかな間取りに変更した。「低くて圧迫感があった天井は取りのぞき、むき出しになったコンクリートには白い塗料を塗りました」。結果、リノベーション前とは比べものにならない、開放的で家族がつながる空間が生み出された。

建材の質感、空間を構成する色にもこだわった。Yさん夫妻は海外でハイキングをしたりキャンプをするアウトドア好きで「室内にいながらも自然を感じるような空間にしたかった」と声を揃える。「床や建具にはすべて無垢の木を使用し、木以外で使う色は、緑、黄色、白に統一。森や山の配色に近いものを取り入れました」。インテリアには、「子どもの好奇心を掻き立てるような、楽しくて気になるもの」という視点が反映された。

キッチンはIKEAのもの。吊り戸棚の右半分はあえて扉をつけずに、見せる収納にした。

キッチンはIKEAのもの。吊り戸棚の右半分はあえて扉をつけずに、見せる収納にした。

三角形の白いタイルと三角形の木材でつくったのは、夫妻が好きな山の模様。

三角形の白いタイルと三角形の木材でつくったのは、夫妻が好きな山の模様。

愛用のフライパンや鍋は、パイプに吊り下げて使いやすく。

愛用のフライパンや鍋は、パイプに吊り下げて使いやすく。

ユニークで楽しげな佇まいの本棚は、立体アーティスト・三輪ノブヨシさんの作品。オリジナルで作ってもらったものだそう。

ユニークで楽しげな佇まいの本棚は、立体アーティスト・三輪ノブヨシさんの作品。オリジナルで作ってもらったものだそう。

木の積み重なりは、「地層や等高線をテーマに」というYさんの要望を受けて生まれたもの。手前のミシンはお子さんの服を縫うのに活躍。

木の積み重なりは、「地層や等高線をテーマに」というYさんの要望を受けて生まれたもの。手前のミシンはお子さんの服を縫うのに活躍。

Yさんはレコード収集が趣味で「ジャケットデザインやあたたかみのある音が魅力」と語る。写真はフランスの写真家・Theo Gosselinのもの。

Yさんはレコード収集が趣味で「ジャケットデザインやあたたかみのある音が魅力」と語る。写真はフランスの写真家・Theo Gosselinのもの。

素敵な照明はYさんの手づくり。エアプランツやハンギングプランツ用のガラス容器をたくさん吊るして、真ん中に電球を入れた。

素敵な照明はYさんの手づくり。エアプランツやハンギングプランツ用のガラス容器をたくさん吊るして、真ん中に電球を入れた。

アウトドア用品もインテリアの一部に。しっかりした丸太の台はYさんのお父さまが15年程前につくったもの。「長年愛用しています」。

アウトドア用品もインテリアの一部に。しっかりした丸太の台はYさんのお父さまが15年程前につくったもの。「長年愛用しています」。

植物のある暮らしを楽しむ

Yさん邸のベランダに出ると、思わず「広い!」と声が出た。以前住んでいたマンションではぎゅうぎゅうだったという植物をすべて置いても、まだまだスペースはある。「マンションでこれだけガーデニングが楽しめる環境というのは本当に贅沢。まだまだスペースを使い切れていないので、これからもっと植物を増やします。小屋をつくったりテーブルを置いたりするのもいいですね」と、Yさん夫妻は楽しい計画を立てている。

開放的な室内空間と、限りない楽しみをくれるベランダを備えたYさん邸。そこには「マンションだから」という制約をまったく感じない、のびのびとした楽しい家族の時間があった。

リビングからベランダを見る。この広いベランダのおかげで、室内の開放感が増幅される。

リビングからベランダを見る。この広いベランダのおかげで、室内の開放感が増幅される。

Yさん邸は5階。見晴らしのよいベランダで思う存分ガーデニングを楽しめる。

Yさん邸は5階。見晴らしのよいベランダで思う存分ガーデニングを楽しめる。

お気に入りのデッキチェアに座ってくつろぐ5歳の長男と3歳の長女。

お気に入りのデッキチェアに座ってくつろぐ5歳の長男と3歳の長女。

南半球原産のネイティブフラワー「リューカデンドロン」。

南半球原産のネイティブフラワー「リューカデンドロン」。

家庭菜園、花、多肉植物など、バラエティに富んだガーデニングを楽しむ。

家庭菜園、花、多肉植物など、バラエティに富んだガーデニングを楽しむ。

一番の古株は多肉植物の「黒法師」(左)。「10年以上育てています」。

一番の古株は多肉植物の「黒法師」(左)。「10年以上育てています」。

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