旧さに寄り添うリノベーションヴィンテージマンションの
ポテンシャルを活かす
風が通り抜ける心地よい空間
代々木公園にほど近いヴィンテージマンションが、ビストロ『アルル』『ウルラ』カフェ『ミメ』『オーレ』、ベトナム料理の『ヨヨナム』、カフェと雑貨とお花のお店『pivoine』など6軒のオーナー、ヤマモトタロヲさんと、コーディネーターの郁美さんご夫妻のお宅だ。
「もともと同じマンションの3軒隣に住んでいました。角部屋のここが売り出されたのを知り、『江口智行建築設計事務所 IVY AND VINES』の江口さんにリノベーションをお願いしました。江口さんとは事務所がご近所で、サッカーも一緒にする仲なんです」
「もともと同じマンションの3軒隣に住んでいました。角部屋のここが売り出されたのを知り、『江口智行建築設計事務所 IVY AND VINES』の江口さんにリノベーションをお願いしました。江口さんとは事務所がご近所で、サッカーも一緒にする仲なんです」
実はタロヲさんは美大の建築学科卒で、建築事務所に2年半在籍していた経歴を持つ。自身で図面を引きながら打ち合わせをしたそうだ。
「風が気持ちよく通り抜ける高台に建つマンションなので、その良さを最大限に活かすことを考えてリノベーションしました」
LDKの間仕切りを取り払い、リビングをオープンなワンルームに。扉はルーバーのある風通しの良いものを選んだ。
多国籍MIXなダイニングキッチン
料理人でもあるタロヲさんが、友人を招いて料理をふるまうこともあるダイニングは、和箪笥にフランスやアジア、日本各地の食器が収められた、センス溢れる無国籍な空間。北欧家具を中心としたリビングとは少しテイストが異なる。
「キッチンは前のオーナーが残したものをそのまま使っています」。タイルも変えず、扉だけラワン材のものに変更した。
「60年前に建てられたこのマンションが持っているポテンシャルの高さをなるべく生かす方向でリノベーションしました」
リビングの壁の木製パネルはそのまま残し、ウォークインクローゼットとリビングの間のスリットは移設している。
そして新しくした床や漆喰の壁、ルーバーのついた扉、チーク材の天井などは、経年変化が楽しめる素材を選んだ。旧いものと新しいものが、美しく調和している。
旧い診療台の脚をカットし、ベンチに
玄関を入るとすぐに素敵な空間が広がる。
リノベ前は小さな居室だった場所は、靴やスーツケース、アウトドアグッズを見せながら収納するスペースになっている。玄関と同素材の、モルタルにモールテックスで仕上げた床が連続する土間の空間だ。
リノベ前は小さな居室だった場所は、靴やスーツケース、アウトドアグッズを見せながら収納するスペースになっている。玄関と同素材の、モルタルにモールテックスで仕上げた床が連続する土間の空間だ。
サイザル麻を敷いた玄関横の空間には、古い診療台の脚をカットしたベンチが置かれている。
「ここに座って北側の窓から眺める新宿の夜景が好きなんです」。
真四角に景色が切り取られたピクチャーウィンドウも、この建物が持つポテンシャルのひとつだ。