遠距離からの新婚リノベ小説『キッチン』の世界観をテーマに据えて
遠距離恋愛でスタートしたリノベ計画
東京都内に建つ築35年、総面積66㎡のマンション。伊藤さんご夫婦は昨年、結婚を機にこの物件を購入しフルリノベーションをした。
「結婚するまで夫は東京、わたしは京都に住んで遠距離恋愛をしていました。仕事の関係で頻繁に上京することができなかったので、リノベの打ち合わせにはスカイプで参加することも多かったです」と話すのは妻の順子さん。
ウェディング業界でプランナーとしてキャリアを積んできた順子さんは、そのノウハウを家づくりにも取り入れた。
「ウェディングプランではヒヤリングによって夫婦それぞれの人生を振り返り、2人が求めるものをあぶり出す”コンセプトメイキング”という作業を必ず行います。それと同じやり方で家づくりを進めていきました。たとえばお互い何が大事で、どんな時間が必要なのか、生活の中で自分をリラックスさせてくれるものは何かなど、プロの方にヒヤリングをお願いしました」
リビングの壁を彩る本のディスプレイは、そのヒヤリングから誕生したアイディアだ。本が好きな伊藤さんご夫婦は、これまで読んできた本の多くがお互い同じだったことが結婚の大きなきっかけになったという。壁にはそんな2人の関係を象徴するように、お気に入りの本が2冊ずつ並べられている。
「結婚するまで夫は東京、わたしは京都に住んで遠距離恋愛をしていました。仕事の関係で頻繁に上京することができなかったので、リノベの打ち合わせにはスカイプで参加することも多かったです」と話すのは妻の順子さん。
ウェディング業界でプランナーとしてキャリアを積んできた順子さんは、そのノウハウを家づくりにも取り入れた。
「ウェディングプランではヒヤリングによって夫婦それぞれの人生を振り返り、2人が求めるものをあぶり出す”コンセプトメイキング”という作業を必ず行います。それと同じやり方で家づくりを進めていきました。たとえばお互い何が大事で、どんな時間が必要なのか、生活の中で自分をリラックスさせてくれるものは何かなど、プロの方にヒヤリングをお願いしました」
リビングの壁を彩る本のディスプレイは、そのヒヤリングから誕生したアイディアだ。本が好きな伊藤さんご夫婦は、これまで読んできた本の多くがお互い同じだったことが結婚の大きなきっかけになったという。壁にはそんな2人の関係を象徴するように、お気に入りの本が2冊ずつ並べられている。
小説『キッチン』の世界を思い描いて
たくさんの愛読書のなかでも特にインスピレーションを受けたのは、吉本ばなな著の小説『キッチン』だった。
「お話の中に出てくる家が理想の生活のイメージとしてありました。大きい公園の横にあるマンションの設定で、そのイメージにぴったりのロケーションだったことが物件購入の決め手になりました」と夫の貴亜さん。
「また『キッチン』は喪失と再生をテーマにしている小説で、その空気感を内装のテーマに据えています。全面的に開放的で明るい家より、明るいところも暗いところもある家。程よいくすみ感や影のあるトーン、そういう雰囲気がいいよねっていうのは最初から2人の中にありました」と続けた。
そんな想いから生まれたのが茶室のようなベッドルームだ。四方を壁で囲われた寝室へは、高さ100㎝の引き戸で出入りをする。
「寝るときは壁に囲まれているほうが落ち着くと思い、おこもり感のある空間にしました。位置的には玄関の目の前にあります。最初はどうなんだろう?と心配でしたが、寝室の入り口が人の目線よりも低いので、目線が合うこともなく全く気になりません」と順子さん。
「お話の中に出てくる家が理想の生活のイメージとしてありました。大きい公園の横にあるマンションの設定で、そのイメージにぴったりのロケーションだったことが物件購入の決め手になりました」と夫の貴亜さん。
「また『キッチン』は喪失と再生をテーマにしている小説で、その空気感を内装のテーマに据えています。全面的に開放的で明るい家より、明るいところも暗いところもある家。程よいくすみ感や影のあるトーン、そういう雰囲気がいいよねっていうのは最初から2人の中にありました」と続けた。
そんな想いから生まれたのが茶室のようなベッドルームだ。四方を壁で囲われた寝室へは、高さ100㎝の引き戸で出入りをする。
「寝るときは壁に囲まれているほうが落ち着くと思い、おこもり感のある空間にしました。位置的には玄関の目の前にあります。最初はどうなんだろう?と心配でしたが、寝室の入り口が人の目線よりも低いので、目線が合うこともなく全く気になりません」と順子さん。
洗面台ならぬ、“洗面島”とは?
そしてこの家を語る上で欠かせないのが、洗面台ならぬ洗面島だ。
「nuさんではお伝えしたイメージをもとに3つの間取りプランを提案してくれるのですが、その中にこのアイディアがありました。洗面台じゃなくて、洗面島と名付けられていて。おしゃれなホテルやデザイナーズマンションでも洗面が安っぽいとがっかりするので、水回りはこだわろうと最初から決めていました。そこに洗面島の提案がきたので、すぐにいいねってなったよね」と夫に語りかける順子さん。
廊下の一角に設けられた洗面島には、白で統一された無機質な空間にモルタルで塗装された洗面台が映える。カーテンを閉めると脱衣所として利用することもでき、寝室やゲストルームからのアクセスもいい。
「妻の関西からの友達が来たときにはうちに一泊していくのですが、みんな洗面島を楽しんでくれているみたいですね。僕たちは週末、家でゆっくり過ごすことが多いです。とくに朝10時頃の日が高くなる時間帯が好きです。ラジオを聴ききながら、靴磨きしたりアイロンがけしたり、2人でゆっくり家のことをして過ごす一番大事な時間ですね」と貴亜さんが続けた。
最後にリノベーションをして一番良かったことを聞いてみた。
「わたしたち夫婦は一緒に住んでいないところから家づくりをスタートしたので、そのプロセスの中でお互いをより深く知ることができたのがすごく良かったです。もし普通に結婚して賃貸マンションに住んでいたら、深く考える機会ってなかったと思うんですよね。自分たちが生活を始める前に、生活の何が自分を豊かにしてくれるかということをお互いすり合わせて一緒にそれができる場所をつくれたので、わたしは東京で新しい生活をスタートさせたわけですが、あんまり新生活に不安もなかったです」と順子さん。
「これだけ自分たちのことを突き詰めて、それを形に置き換えていく作業って他にないと思います。結婚式以上にやってよかったことですね。もう住み始めて半年以上たちますが、いまだに「いい家だなぁ」ってしみじみ感じています」と貴亜さんが締めくくってくれた。
「nuさんではお伝えしたイメージをもとに3つの間取りプランを提案してくれるのですが、その中にこのアイディアがありました。洗面台じゃなくて、洗面島と名付けられていて。おしゃれなホテルやデザイナーズマンションでも洗面が安っぽいとがっかりするので、水回りはこだわろうと最初から決めていました。そこに洗面島の提案がきたので、すぐにいいねってなったよね」と夫に語りかける順子さん。
廊下の一角に設けられた洗面島には、白で統一された無機質な空間にモルタルで塗装された洗面台が映える。カーテンを閉めると脱衣所として利用することもでき、寝室やゲストルームからのアクセスもいい。
「妻の関西からの友達が来たときにはうちに一泊していくのですが、みんな洗面島を楽しんでくれているみたいですね。僕たちは週末、家でゆっくり過ごすことが多いです。とくに朝10時頃の日が高くなる時間帯が好きです。ラジオを聴ききながら、靴磨きしたりアイロンがけしたり、2人でゆっくり家のことをして過ごす一番大事な時間ですね」と貴亜さんが続けた。
最後にリノベーションをして一番良かったことを聞いてみた。
「わたしたち夫婦は一緒に住んでいないところから家づくりをスタートしたので、そのプロセスの中でお互いをより深く知ることができたのがすごく良かったです。もし普通に結婚して賃貸マンションに住んでいたら、深く考える機会ってなかったと思うんですよね。自分たちが生活を始める前に、生活の何が自分を豊かにしてくれるかということをお互いすり合わせて一緒にそれができる場所をつくれたので、わたしは東京で新しい生活をスタートさせたわけですが、あんまり新生活に不安もなかったです」と順子さん。
「これだけ自分たちのことを突き詰めて、それを形に置き換えていく作業って他にないと思います。結婚式以上にやってよかったことですね。もう住み始めて半年以上たちますが、いまだに「いい家だなぁ」ってしみじみ感じています」と貴亜さんが締めくくってくれた。