古い団地を選んで自分の時間が流れる
ちょうどいい団地暮らし
暮らしがイメージできる部屋
東京の郊外に建つ、築50年ほどの団地に暮らし始めた料理家の藤原奈緒さんを訪ねた。小金井市で「あたらしい日常料理 ふじわら」を営んでいる藤原さんは、以前は店の近くに住んでいた。「仕事場に近いのはいいのですが、生活の時間のほとんどが仕事と言う感じで自分の生活がなくなってしまっていて。家庭料理の仕事をしているのに、自分ほとんど店でしか食事をしていない。それで家を探し始めたんです」。1年半ほど探し続け、やっと見つけたのがこの団地のひと部屋。「工務店が買い取ってリノベーションした状態で販売していたんです。店からも少し遠いし買うつもりは全くなかったんですが、見るだけ見ようと。そうしたら価格もお手ごろで、デザイン的にもちょうどいいリノベーションがされていて、ここでの暮らしがすぐにイメージできたんです」。
古さを活かすリノベーション
以前から団地が好きで、別の団地に住んでいたこともあるという藤原さん。「団地って敷地が広いから前の建物も気にならなくて、カーテンしなくていいじゃないですか。緑も多くて風がよく通るので、住み心地がすごくよかった印象があって好きなんです。でも築年数が古いと寒さが気になったんですが、それも窓が二重になっていて断熱もされていたのでよかったです。それに、洗面所の窓枠が古いままで、それがすごく気に入って引っ越したようなものなんです」。
この部屋の建具は基本は引き戸で存在感も薄く、場所を取らない。中央の収納棚の柱が動線の中心となっていて、その引き戸で空間がゆるやかに仕切られている。天井の低さも落ち着きを与えてくれる。二重にされた窓も、光をやわらかく室内に取り込み「とてもいい光が入るので自宅での撮影もよくするようになりました」とのこと。
この部屋の建具は基本は引き戸で存在感も薄く、場所を取らない。中央の収納棚の柱が動線の中心となっていて、その引き戸で空間がゆるやかに仕切られている。天井の低さも落ち着きを与えてくれる。二重にされた窓も、光をやわらかく室内に取り込み「とてもいい光が入るので自宅での撮影もよくするようになりました」とのこと。
自分の時間が流れる家に
ほどよい塩梅で整えられた部屋に、藤原さんが使っている古い家具がしっくりと馴染んでいる。「引っ越してみて、お店からの距離は遠くなったのですが、その分きちんと気持ちのオンオフを切り替えられるようになりました」と話す藤原さん。この部屋は、ちょうど「働く人が暮らす部屋」を想定してリノベーションされていたそう。洗濯機がキッチンに移動されており、洗面所がゆったり使えるなど、家事動線も考えられている。「料理をつくる仕事は、やっぱり人の役に立てているのが直接感じられるところが好きです。だからそのためにも自分の生活をきちんとしたかったのでこの部屋に引っ越して本当によかったです」。