メゾネットの開放感  縦にも横にもひとつながり マンションの中の森に暮らす

メゾネットの開放感縦にも横にもひとつながり
マンションの中の森に暮らす

“親戚のおばさんのような家”に

「マンションなのにメゾネットがある! それにルーフバルコニーも! ネットで見つけてテンションがあがってしまいました(笑)」。という、Sさんご夫妻。
通勤に便利な都心のマンション派の夫と、郊外の戸建て派の妻。ふたりの希望が折り合ったのが、この1室のリノベーションだった。
「私はずっと森の中に暮らしたい、と思っていたほどで(笑)、お庭が欲しかったんです。日当り、風通しのいいこの部屋でなら、理想に近づけられるんじゃないかと」。
購入当時築21年の、吹き抜けのある86㎡の空間。リノベーションは不動産仲介から相談をしていた「EcoDeco」にそのまま依頼。設計士にこの物件を見つけた妻が伝えたのは、“親戚のおばさんの家みたいにしたい”だったそうだ。
「実家が、もとお医者さんの家を移築した、築100年くらいの日本家屋なんです。廊下のサクラの床板など、長く住むことで味がでるモノにずっと魅力を感じていました。日々愛着が湧いてきて、どこか懐かしさを感じさせる、そんなリノベーションをしたいと思いました」。
LDKの床はフレキシブルボードと無垢材のフローリングで切り替えた。「いずれ畳を敷いてもいいし、和にも振れるようにしておきたかったんです」。

LDKの床はフレキシブルボードと無垢材のフローリングで切り替えた。「いずれ畳を敷いてもいいし、和にも振れるようにしておきたかったんです」。

メゾネットへは、リビングの中央にもともとあった鉄骨の階段で。グレーだったのを黒で塗り替えた。

メゾネットへは、リビングの中央にもともとあった鉄骨の階段で。グレーだったのを黒で塗り替えた。

個室に設けた木枠の窓からLDKを眺める。光とグリーンが目にまばゆい。

個室に設けた木枠の窓からLDKを眺める。光とグリーンが目にまばゆい。

キッチンには無造作感を

メゾネット部分が吹き抜けになったLDKには、大きなシマトネリコやエバーフレッシュなど、グリーンが活き活きと茂る。3方向に開口のある明るい空間は、フレキシブルボードと無垢材のフローリングで段差をつけて床を切替え、緩やかに仕切った。
「玄関からLDK、メゾネットまで、縦にも横にも仕切りをつくらずひと続きにしたことで開放的になったと思います」。
フレキシブルボードは、既存の床暖房も活用できてコストも抑えられたそう。土間のような雰囲気に業務用のキッチンがなじんでいる。
「イメージにフィットするものを考えると、無造作感のある業務用になりました。扉がないので、見せる収納に苦労していますが(笑)」。
ダイニングキッチンのイメージは、どうしても欲しくて手に入れたYチェアから始まったそうだ。
「Yチェアに合わせて木とステンレスの組み合わせでダイニングテーブルをつくってもらいました。それに合わせて作業テーブルも。脚の下の木の部分を取り外すとダイニングテーブルと同じ高さになるので、お客様が来たときは繋げて大きなテーブルとして使うこともできて便利です」。
ステンレスのキッチンにテーブル。そこに、入居後、足場板を使って取りつけたオープンシェルフが“どこか懐かしさを感じさせる”雰囲気を添えている。
土間風のダイニングキッチン。テーブルの一部分は、大きな鉢植えがセッティングできるようになっていて、アウトドアで食事をする気分。

土間風のダイニングキッチン。テーブルの一部分は、大きな鉢植えがセッティングできるようになっていて、アウトドアで食事をする気分。

天井はコンクリートの躯体を現し、壁には塗装を施した。

天井はコンクリートの躯体を現し、壁には塗装を施した。

作業台は、木の脚の部分を取り外せばダイニングテーブルとセットに。キッチンの壁にはサブウェイタイルをあしらった。レンジフードはステンレス板で造作。

作業台は、木の脚の部分を取り外せばダイニングテーブルとセットに。キッチンの壁にはサブウェイタイルをあしらった。レンジフードはステンレス板で造作。

足場板を使ってオープンシェルフに。壁にかけた布は、新木場のCASICAで購入。

足場板を使ってオープンシェルフに。壁にかけた布は、新木場のCASICAで購入。

木とステンレスでオーダーメードしたダイニングテーブル。Yチェアに似合う。

木とステンレスでオーダーメードしたダイニングテーブル。Yチェアに似合う。

異国の洞窟のようなバスルーム

夫が最もこだわったのがバスルーム。モルタルに包まれた空間は、洞窟のような雰囲気が漂う。
「調光機能付きの照明とオーバーヘッドシャワーは必須でした。灯りを薄暗くして、音楽を聴きながらゆっくりと入る時間が好きです」。
異国情緒を与える床のモザイクタイルは妻がセレクト。
「タイルが大好きでヨーロッパやアメリカ、モロッコにタイル巡りの旅に行ったりしたほどなんです。モザイクタイルがどうしても使いたかったので、在来工法を選びました」。
旅とデザイン好きなご夫妻。新婚旅行のニューヨークでもホームセンターを訪れ、色々なパーツを買い揃えたそう。
「ACE HOTELに宿泊したのですが、色んなデザインのパーツやディテールを見て影響を受けてしまって。タオルかけやペーパーホルダーなど、色々と買い漁ってきたものも使っています」。
シューズクローゼットもオープン。妻の実家から持って来たガラス瓶などをディスプレイ。

シューズクローゼットもオープン。妻の実家から持って来たガラス瓶などをディスプレイ。

ムードいっぱいのバスルーム。旅の思い出も詰まっている。

ムードいっぱいのバスルーム。旅の思い出も詰まっている。

モザイクタイルは妻のこだわり。モルタルとのミックスでほどよく落ち着いた雰囲気に。

モザイクタイルは妻のこだわり。モルタルとのミックスでほどよく落ち着いた雰囲気に。

音楽を聴きながらゆったりお風呂に浸かるのが楽しみ。

音楽を聴きながらゆったりお風呂に浸かるのが楽しみ。

使いやすいユニバーサルデザインの蛇口がお気に入り。

使いやすいユニバーサルデザインの蛇口がお気に入り。

NYのホームセンターで購入したタオルハンガー。

NYのホームセンターで購入したタオルハンガー。

気持ちのいい空気が流れる

入居後に誕生したお子さんは、現在1歳。メゾネットのベッドルームの他に、もう1室ある個室を、将来は子供部屋にと考えているそうだ。
「個室は北側にあたるものの、LDKとの仕切り壁に室内窓を設置したことで、光や風を通すことができるようになりました。ほとんどの空間がつながっているので、プライバシーはあまりないけれど、その分一体感がありますね」。
夫は3カ月程前からテレワークが始まり、毎日を家で過ごしているとのこと。
「メゾネットに設けたワークスペースで仕事をしたり、会議のときなどは個室を使ったり。でも、家のどこにいても常に気持ちのいい空気が流れているので、長時間いても息がつまるということがないんです。ステイホームとなった今、まさにそれを実感していますね」。
今後は、まだ未着手のルーフバルコニーにウッドデッキを敷いたりして、お子さんとともに楽しめるようにしていきたいとのこと。グリーンの成長、家族の成長とともに、味わいを増していきそうだ。
鉄骨の階段が中央に。照明はイサムノグチのAKARI。モロッコのキリムの上には、妻が大学時代に作ったソファーテーブルが。

鉄骨の階段が中央に。照明はイサムノグチのAKARI。モロッコのキリムの上には、妻が大学時代に作ったソファーテーブルが。

メゾネットにはワークスペースを設けた。

メゾネットにはワークスペースを設けた。

ガラスのブロックを通して、寝室にやわらかい光が入る。

ガラスのブロックを通して、寝室にやわらかい光が入る。

面積の広い壁に光が反射。朝と夜、違った雰囲気で室内を包む。リノベーションコーディネートはEcoDeco

面積の広い壁に光が反射。朝と夜、違った雰囲気で室内を包む。リノベーションコーディネートはEcoDeco

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