ToKoSie ー トコシエ

造り付け家具で空間に統一感を 空間を多層的に使って
4人家族の居場所を確保

家族の成長に合わせて住み替えを決意

Aさん夫妻と二人のお子さんが暮らすのは、都内の住宅街に建つ低層マンション。各戸までのアプローチに工夫がこらされた、ユニークなつくりが特長だ。
Aさん一家がこの家に越してきたのは、2019年の12月のこと。Aさんは「以前は3DKのマンションに住んでいたのですが、子どもたちの成長とともに手狭になってきて。当時小学校6年生だった長男、小学校3年生だった長女それぞれに、個室をつくってあげたいと思いました」と話す。
当初はリノベーション済みの物件を探したが、なかなか思うような間取りが見つからなかったという。そこで、物件探しからリノベーションまでワンストップでサポートしてくれるRebitaの「リノサポ」を利用し、リノベーション前提で中古マンションを購入することにした。Rebitaから紹介される物件を何軒か見る中で、現在暮らすマンションに出会う。「築35年でしたが、マンションのつくりが凝っていてプライベート感があること、4面にベランダがあって日当たりと風通しが良い点にひかれて、購入を決意しました」
併設したワークスペースからダイニング・キッチンを見る。キッチンから壁面の造作収納まで続くカウンターが、空間に一体感をもたらす。カウンター下のCDラックは以前から使っていたもの。中央のダイニングテーブルは、造り付け家具のモチーフとなったお気に入り。ダイニングチェアはACME Furnitureで購入。
併設したワークスペースからダイニング・キッチンを見る。キッチンから壁面の造作収納まで続くカウンターが、空間に一体感をもたらす。カウンター下のCDラックは以前から使っていたもの。中央のダイニングテーブルは、造り付け家具のモチーフとなったお気に入り。ダイニングチェアはACME Furnitureで購入。
デンマーク製のダイニングテーブルは、1960年代のヴィンテージ。「下の子が赤ちゃんだった頃に、目黒の家具屋さんで買いました。エクステンション式で便利なのと、天板の縁が面取りされているところが気に入っています」。
デンマーク製のダイニングテーブルは、1960年代のヴィンテージ。「下の子が赤ちゃんだった頃に、目黒の家具屋さんで買いました。エクステンション式で便利なのと、天板の縁が面取りされているところが気に入っています」。
家族が集まるダイニングルームの壁は、珪藻土に。造作家具の上部に棚を設け、子どもの作品や好きな雑貨をディスプレイしている。「この壁だけを見せる収納にして、他は扉をつけてもらいました」。
家族が集まるダイニングルームの壁は、珪藻土に。造作家具の上部に棚を設け、子どもの作品や好きな雑貨をディスプレイしている。「この壁面だけを見せる収納にして、他は扉をつけてもらいました」。
ダイニングの一画に、妻のワークスペースを設けた。「ここにPCがあると、子どもたちがダイニングで勉強するときの調べものにも便利です」。
ダイニングの一画に、妻のワークスペースを設けた。「ここにPCがあると、子どもたちがダイニングで勉強するときの調べものにも便利です」。

お気に入りのテーブルを造作家具のモチーフに

Aさん夫妻は、Rebitaが推薦する設計士の中から、A+Saの佐々木高之さんへの依頼を決めた。「A+Saの“材料の本質を探求し誠実に扱う”という設計理念に共感し、この人と家づくりをしたいなと思いました」。佐々木さん、担当所員の河埜智子さん、秦達也さんとは、ピンタレストで集めた写真などをベースに、リノベーションのイメージを共有したという。
Aさんは、二人のお子さんの個室に加え、自宅で仕事をする妻のため、家族一人ひとりにプライベート空間を確保することを希望していた。それに対して佐々木さんは、子ども室2部屋を挟んでダイニング・キッチンとリビングを振り分け、リビングとダイニングを個室のように捉えるプランを提案。ダイニングと妻のスペース、リビングと夫のスペースを兼用させることで、80㎡の面積に家族4人のプライベートスペースを充実させた。「私たちの希望を叶えつつ、今後のライフスタイルの変化にも対応できる点もいいなと思いました」(Aさん)。
さらに空間のイメージを統一するために、造り付け家具や建具の素材をラワン積層合板で統一。「前の家から使っているダイニングテーブルの、面取りを施したやわらかな雰囲気が気に入っていたので、その色や仕上げ、ディティールで統一してもらいました」(Aさん)。
リノベーションにより、奥の壁付けだったキッチンを対面型に変更。床には水に強いコルクタイルを敷いた。
リノベーションにより、奥の壁付けだったキッチンを対面型に変更。床には水に強いコルクタイルを敷いた。
ダイニングから廊下ごしに突き当たりのリビングを見る。左手の書棚の先のドアは、長女の部屋、ウォークインクローゼット、長男の部屋に続く。キッチンや洗面所など水回り以外は、床全面にカーペットを敷いた。
ダイニングから廊下ごしに突き当たりのリビングを見る。左手の書棚の先のドアは、長女の部屋、ウォークインクローゼット、長男の部屋に続く。キッチンや洗面所など水回り以外は、床全面にカーペットを敷いた。
大量の本を収納するためにオーダーした本棚。「背表紙が並ぶとガチャガチャした印象になるので、扉つきにしてもらいました」。
大量の本を収納するためにオーダーした本棚。「背表紙が並ぶとガチャガチャした印象になるので、扉つきにしてもらいました」。
左手は洗面所のドア。建具にもラワン積層合板を用いることでイメージを統一している。廊下に設けた飾り棚は、子どもたちの作品を飾るスペースとして活用。
左手は洗面所のドア。建具にもラワン積層合板を用いることでイメージを統一している。廊下に設けた飾り棚は、子どもたちの作品を飾るスペースとして活用。

質感重視のリノベが生み出す心地よさ

この家に暮らし始めて、もうすぐ1年が経つ。Aさんは「リノベーションの仕上がりにも、住み心地にも大満足です」と笑顔で話す。以前の住まいでもリフォームを経験していたというAさん。「その経験を踏まえて、今回は色づかいに凝るよりも質感重視のリノベーションにしたいと考えていました。家族が長い時間を過ごすダイニングの壁を珪藻土にしたり、床を全面カーペット敷きにするなど、素材にこだわったことで、心地よい空間になりました」。
また、以前の家で気になっていた収納の使いづらさや、個人の空間がないといった点が、すべて解消できた点も大きかったという。「子どもたちも、自分の部屋ができて喜んでいます。家族一人ひとりにスペースを確保しているので、コロナ対策で家族みんなが在宅になった時も、ストレスを感じずに過ごすことができました」。
デザイン性と暮らしやすさが両立した、Aさん宅のリノベーション。大人も子どもも心地よく暮らせるフレキシブルな空間は、リノベーションの豊かな可能性を教えてくれる。
長女の部屋。右側にデスクスペースがある。
長女の部屋。右側にデスクスペースがある。
長男の部屋。デスク付きロフトベッドで空間を有効活用。
長男の部屋。デスク付きロフトベッドで空間を有効活用。
2面開口で風通しの良いリビングルームは、夫の寝室を兼ねる。奥の窓の外にはルーフバルコニーが広がる。
2面開口で風通しの良いリビングルームは、夫の寝室を兼ねる。奥の窓の外にはルーフバルコニーが広がる。
子どもたちは自分の部屋にいるより、リビングでテレビを見たりゲームをする時間が長いそう。
子どもたちは自分の部屋にいるより、リビングでテレビを見たりゲームをする時間が長いそう。
玄関ホール。右手にある窓のおかげで閉塞感がない。つきあたりの壁掛け鏡は、フレームにチーク材を使った、フィンランド”Kuvastin Spegel”社のもの。1960年代のヴィンテージ。
玄関ホール。右手にある窓のおかげで閉塞感がない。つきあたりの壁掛け鏡は、フレームにチーク材を使った、フィンランド”Kuvastin Spegel”社のもの。1960年代のヴィンテージ。
玄関ドアは、空間に調和するように内側を白く塗った。右手のアールの下り壁の中はシューズインクローゼット。家族全員の帽子、靴、スケートボードを収める。
玄関ドアは、空間に調和するように内側を白く塗った。右手のアールの下り壁の中はシューズインクローゼット。家族全員の帽子、靴、スケートボードを収める。