安らぎに包まれる家  心地よさを追求した 普遍的な住まい

安らぎに包まれる家 心地よさを追求した
普遍的な住まい

価値観を共有できる建築家に依頼

「自分たちのイメージがあったので、リノベーション前提で物件を探しました」。
仙台から東京への転勤が決まり、自宅の購入を決めた田辺さんご一家。見つけたのは築16年程の低層マンションの最上階だった。
「ルーフバルコニー付きの東南角部屋で、眺望、通風がいいのが決め手でしたね」。
3面に開口があり、LDKからは天気がよければ富士山が、反対側にはスカイツリーも眺められる。リノベーションのプランはアトリエ橙の奥山裕生さんに相談することに。
「図書館でたまたま見つけた本で奥山さんを知ったんです。素材のこだわりや照明の使い方、家事動線を考えた間取りなど、イメージしていたものとぴったりでした」。
珪藻土を塗った壁、無垢のナラ材の床、幻想的な間接照明。1歩足を踏み入れると、癒される空間が広がっていた。
リビングからキッチン側を見る。キッチンはあえて天井をリビングよりも低くすることで、空間に変化をつけている。

リビングからキッチン側を見る。キッチンはあえて天井をリビングよりも低くすることで、空間に変化をつけている。

奥の和室まで直線的につながる。「大きな間取り変更はありませんが、間仕切りの位置をずらすことで、微調整しています」(奥山さん)。

奥の和室まで直線的につながる。「大きな間取り変更はありませんが、間仕切りの位置をずらすことで、微調整しています」(奥山さん)。

もともとあった吊り収納を取り外してオープンなカウンターキッチンに変更。間接照明が効果的に用いられている。

もともとあった吊り収納を取り外してオープンなカウンターキッチンに変更。間接照明が効果的に用いられている。

暮らしに間取りを合わせたい

転勤が多く、賃貸に暮らしていた田辺さんは、それまで生活に間取りが合わないことを不便に感じていたそう。夫の和彦さんは、
「賃貸の暮らしの中でこうだったらいいのに、と思っていたことを奥山さんに伝えました。間取りに暮らしを合わせるのではなく、生活に間取りを合わせたかったんです」。
希望したのは、和室と、ふたりのお子さんが将来それぞれ使う個室、広い脱衣所、適材適所の収納だった。
「現在4歳と7歳のふたりの男の子がいるので、家事ストレスを軽減したかったんです。まずキッチンとバスルームを接続させたいというのがありました」とは、妻の志穂さん。
キッチンと脱衣所を挟んで回遊できる造りは、料理をしながら、お子さんがお風呂に入る様子や、リビングで遊ぶ様子を見守ることができる。
「脱衣所は特にこれまでの不便さを解消したかった場所です。もともと持っていた収納ケースに合わせて棚を造作してもらったり、洗面台の横に洗濯物を畳めるスペースを設けたりしてもらいました」。
さらに爽やかなグリーンのタイルをあしらってホテルライクな空間に。イスをおいてじっくりと家事作業にあたる時間も楽しんでいる。
脱衣所、バスルームに隣接したキッチン。持っていた収納に合わせて棚を造作してもらった。パイン材を使ったキッチン台はWOODONEのもの。

脱衣所、バスルームに隣接したキッチン。持っていた収納に合わせて棚を造作してもらった。パイン材を使ったキッチン台はWOODONEのもの。

キッチンに立つとリビングの向こうに眺望が広がる。「富士山が見える日もあって爽快です」。

キッチンに立つとリビングの向こうに眺望が広がる。「富士山が見える日もあって爽快です」。

カウンターキッチンは田辺さんのリクエスト。「使いやすくて役立っています」。

カウンターキッチンは田辺さんのリクエスト。「使いやすくて役立っています」。

子どもたちのお世話や家事がスムーズにこなせるよう、ゆとりを持たせた脱衣所。シューメーカースツールに座って、様々な家事をこなしている。 

子どもたちのお世話や家事がスムーズにこなせるよう、ゆとりを持たせた脱衣所。シューメーカースツールに座って、様々な家事をこなしている。 

家事動線や収納を大切に考える奥山さんのアドバイスを受けて造作。持っていた収納ケースがぴったりと、無駄なく美しく収まっている。

家事動線や収納を大切に考える奥山さんのアドバイスを受けて造作。持っていた収納ケースがぴったりと、無駄なく美しく収まっている。

脱衣所の横は洗濯機置き場、そしてキッチンへと続き家事動線を確保。洗濯機上に設けた棚にはバーも取り付けた。

脱衣所の横は洗濯機置き場、そしてキッチンへと続き家事動線を確保。洗濯機上に設けた棚にはバーも取り付けた。

LDKから勉強部屋、奥の和室へとつながり、ぐるりと回遊できる造りになっている。

LDKから勉強部屋、奥の和室へとつながり、ぐるりと回遊できる造りになっている。

落ち着きを与えるインテリア

現在、寝室としている和室は、将来は仕切ってふたりのお子さんの部屋にできるようシンメトリーな設計に。その手前にあった個室は仕切りを取り、通路のようなスペースにしつつ、机を並べて子どもたちのオープンな勉強部屋にした。
「予め選んだ机に合わせて設計してもらっています。机の上にデスクスタンドを置かなくていいように、ライトも壁に付けてもらいました。スタンドのコードがすごく嫌だったんです(笑)」。
田辺さんご夫妻のインテリアのこだわりも、ひとつひとつリクエストして実現。
「ログハウスのように落ち着く雰囲気を演出したくて、どこか1カ所、天井に木を張ってほしいとお願いしました」。
リビングのみ天井に木目の美しいマツの木を。さらにテレビの後ろの壁には大谷石をあしらった。
「これはTO KO SIEに出ていた物件を見ていいなと思い、ぜひやってみたかったことのひとつです。これも正解でしたね」。
リビングの天井にはマツの木をあしらった。壁を照らすダウンライトやブラケットが空間を演出。

リビングの天井にはマツの木をあしらった。壁を照らすダウンライトやブラケットが空間を演出。

テレビコーナーを造作。大谷石を壁にあしらい、間接照明で光を当てている。ローテーブルにしている台は、和彦さんのお祖父さんが手作りしたもの。脚を切り塗装をして使用。

テレビコーナーを造作。大谷石を壁にあしらい、間接照明で光を当てている。ローテーブルにしている台は、和彦さんのお祖父さんが手作りしたもの。脚を切り塗装をして使用。

リビングからつながっている子どもたちの勉強部屋。「いずれ独立した部屋に移ったら、どのように使うか考えるのも楽しみです」。

リビングからつながっている子どもたちの勉強部屋。「いずれ独立した部屋に移ったら、どのように使うか考えるのも楽しみです」。

和室には減農薬の国産の素材を使った畳を敷いた。

和室には減農薬の国産の素材を使った畳を敷いた。

和室前の廊下を回って脱衣所、バスルームへ。

和室前の廊下を回って脱衣所、バスルームへ。

スタンドライトの代わりにスポットライトを左右の壁に設置。右手で光が遮られるのをカバーするため、さらに上にダウンライトをつけた。

スタンドライトの代わりにスポットライトを左右の壁に設置。右手で光が遮られるのをカバーするため、さらに上にダウンライトをつけた。

脱衣所と勉強部屋の間の壁には、さり気なく通気のための窓が設けられている。

脱衣所と勉強部屋の間の壁には、さり気なく通気のための窓が設けられている。

暮らしが豊かになるリノベーション

玄関には、和彦さんの趣味である自転車を壁に取り付けることもリクエスト。
「工房でオーダーして作ってもらった木のフックを、壁に取り付けてもらいました。グリーンなどを置いてディスプレイも楽しんでいます」。
アクセントにしたいと思っていたLDKへのドアは、使いたかったチェッカーガラスが入ったものを。
「このガラスを通して玄関の様子も伝わります。どこにいても家族の気配が伝わるのが感じられますね」。
志穂さんはリノベーションをきっかけに、整理収納に興味を持ち勉強を始めたそう。
「引っ越してから家事に関してのストレスがなく、自分の時間を楽しめるようになりました。前はよくカフェなどに行っていたのですが、今は家に居た方が気持ちよくて、ずっと家で時間を過ごしたいですね」。
壁を照らすことで明るさを確保しつつ、空間に雰囲気を出した室内は、夜も落ち着くムードに包まれる。呼吸するような自然素材と、快適性を考えた造り、安らげる光の演出が、心地よい生活をもたらしている。
オーダーしてつくった和彦さんの愛車が、廊下を飾る。

オーダーしてつくった和彦さんの愛車が、廊下を飾る。

チェッカーガラス入りのドア。ドアの取っ手も選び抜いた。

チェッカーガラス入りのドア。ドアの取っ手も選び抜いた。

ルーフバルコニーに面した寝室は、1段上げて小上がりに。「布団を敷くことを考えて小上がりにしました。段差があると散らかりにくいのも利点です」(奥山さん)。

ルーフバルコニーに面した寝室は、1段上げて小上がりに。「布団を敷くことを考えて小上がりにしました。段差があると散らかりにくいのも利点です」(奥山さん)。

明るい光が差し込むリビングで。ルイス・ポールセンのペンダントライトは、経年変化が楽しめる銅のシェードをセレクト。

明るい光が差し込むリビングで。ルイス・ポールセンのペンダントライトは、経年変化が楽しめる銅のシェードをセレクト。

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