丘の上のゆとりの空間穏やかな時が流れる
ヴィンテージの似合う部屋
リノベのために引っ越しを
ヴィンテージの服から入り、インテリアにはまっていったという浅田さん。買い集めていた家具に似合う空間を目指して、当時、築10年だった中古物件を見つけてリフォームすることに。
「それまでは新築の分譲マンションに住んでいたんです。でもリノベーションするには住んでいるとやりにくい。経済的にも物理的にも引っ越した方が早いな、と思いました」。
選んだ場所は緑豊かな、郊外の丘陵地。
「100平米以上の大きな家が希望でした。昔ながらの間取りだった4LDKを3LDKに変更してリビングを広くとりました。空間が抜けている雰囲気が欲しかったんです」。
インテリアの洋書を見てインスピレーションを受けたものをピックアップしていくうちに、イメージが固まっていった。
「影響を受けたのはLAの建築家バーバラ・ベスター。ラフで大味な感じに惹かれましたね」。
家具が映えるシンプルな家に
ヴィンテージ家具が映える部屋を目指した空間は、少し明るさが抑えられた白のトーンを、黒い窓枠が引き締める。
「壁は数十枚塗ってもらった中から選んで、ちょっと男っぽい感じのグレー+ベージュの塗装にしました。配管むき出しも考えましたが、箱はシンプルな方が、家具が映えると思って。服もトレンドを出しすぎると使えません。だから流行りのインダストリアルにはこだわらず、家は家具で楽しむという考えをとりました」。
フローリングは床暖房に対応するため、古材を諦めてナラ材の新品で。
「これが、出来上がってみて愕然としちゃって。新品っぽすぎて“これじゃ住めません”と。電ノコで加工してもらったり、トンカチやグラインダーでわざと傷つけてもらったりして、古さを出してもらいました。古材ですか?って聞かれると、うれしいですね(笑)」。
図面を描いて床もオーダー
お客さんをもてなすことが多いという浅田邸。キッチンはオープンになりすぎないように配慮した。
「もともとあった食器棚を移設してカウンターにしたんです。両面使えるよう、収納棚も両サイドに設けました」。
キッチンのイメージは“レストランの厨房”。使いやすさを大切に、白・シルバー・黒でシンプルに。
「キッチンと廊下の床はフレキシブル材を使っています。モルタルよりも低コストでした」。
不規則な形に床材が並んでいるのが気になって聞いてみると、
「強度のために1枚1枚カットしたものをはめ込むのですが、その継ぎ目が気に入らなくて。具体的に絵を描いてイメージを伝えました」。その線の入り方がアートのようで面白い。
いずれは美術館のように
ファッション関係の仕事に携わる夫・拓郎さんが、ヴィンテージ家具にはまり出したのは10年程前のこと。
「初めて買ったのはロイズ・アンティークスのソファーです。1点ものなので見つけたらとりあえず買い、だんだん増えていきました」。
お子さんが生まれる前は、よくふたりでイタリアなどを旅したそう。
「蚤の市などを巡っているうちに、私もアンティークやヴィンテージものが好きになって、雑貨を集めるようになったんです」という妻・ちひろさんは、現在、ネットでヨーロッパの雑貨を販売中。部屋の中は、ヴィンテージ空間に調和する雑貨が溢れている。
「50〜60年代のものが多いです。子供がもう少し大きくなったら、またイタリアに行きたいし、これからも増えていくでしょうね」。
将来は美術館や博物館のような雰囲気にするため、もう一度リノベーションしたいのだともいうおふたり。住まいの楽しみは尽きない。