自然とデザインの融合 巨匠にインスパイアされた オーガニックな暮らし

自然素材とデザインの融合 巨匠にインスパイアされた
オーガニックな暮らし

和とアジアをミックス

妻の実家の近くで売りに出されていた中古マンションを、1年前に購入して自邸としてリノベーションした山神達彦さん。中古不動産探し+リノベーションのワンストップサービス「リノベる。」でデザイナーとして設計を担当してきたリノベーションのプロだ。
「既存の設備は活かしつつ、自分が暮らしたい“癒し”のある空間を目指しました。造作で家具を作ったり、デザインを加えたりして仕上げました」。
グリーンがたくさんあしらわれたLDKは、自然素材が随所に用いられ、和とアジアがミックスされたリゾートのような雰囲気。ウッドデッキが敷かれたベランダが、リビングから同じレベルでつながり、外へと抜けるような開放感も感じられる。
明るいベランダに面したLDK。自然素材やグリーンを取り入れることで癒しムードを演出した。山神さんが設計し、知り合いの工務店に依頼して施工。

明るいベランダに面したLDK。自然素材やグリーンを取り入れることで癒しムードを演出した。山神さんが設計し、知り合いの工務店に依頼して施工。

壁やキッチンの大谷石、天井のルーバーが自然に包まれている雰囲気を与える。

壁やキッチンの大谷石、天井のルーバーが自然に包まれている雰囲気を与える。

ベランダをアウトドアリビングとして活用。

ベランダをアウトドアリビングとして活用。

IKEAで購入したウッドデッキをDIYで施工。朝食をとったり、お茶を愉しんだり。 

IKEAで購入したウッドデッキをDIYで施工。朝食をとったり、お茶を愉しんだり。 

カリモクのソファの向こうの照明は、村野藤吾デザイン。

カリモクのソファの向こうの照明は、村野藤吾デザイン。

LDKに大谷石を取り入れる

「やりたかったのは天井の高さを操作することと自然素材を使うこと、あと照明計画です」。
玄関から続く廊下の天井に木のルーバーを設置。それがそのままLDKのキッチン、ダイニングまで連続し、リビングで高さが変化する。
「狭い入り口から奥に行くほど広がりを持たせる、フランク・ロイド・ライトの建築技法を取り入れました。玄関から中に進むほどだんだん拓けていってベランダに抜ける、視覚的な効果を狙ったんです」。
天井の素材を木に変えることで、自然の中に包まれているような感じも。ダウンライトはルーバーと天井に挟まれる形になるので、光も間接的にやわらかく届けられる。
「よく旅に行きますが、ホテルよりも旅館が好きなんです。どこか昭和レトロな、自然な雰囲気が落ち着きますね」。
LDKの壁面とキッチンにあしらった大谷石も、その嗜好のひとつ。
「フランク・ロイド・ライトの“自然と建築の融合”という考え方に強い感銘を受け、ライトが日本の建築で多用した大谷石を仕上げに採用しました。大谷石は調湿や消臭など、色々な効果もあるんですよ」。
キッチンは生活感が出るのを避けるため、カウンターはあえて設けず、大谷石をあしらってリビング側にせり出す雰囲気に。テレビボードでもありキャビネットでもあるリビングダイニングの幅いっぱいのサイズの造作家具は、ゲストを招いて人数が増えたときにイスがわりにもなるよう、腰の高さに設計した。
玄関からLDKまで連なったルーバーの天井が、視線をベランダに導く。

玄関からLDKまで連なったルーバーの天井が、視線をベランダに導く。

LDKの照明は、ハーマンミラーのバブルランプをメインにし、あとは壁や天井を照らす間接的な光の届け方にこだわった。

LDKの照明は、ハーマンミラーのバブルランプをメインにし、あとは壁や天井を照らす間接的な光の届け方にこだわった。

キッチンまわりにも大谷石のタイルを。

キッチンまわりにも大谷石のタイルを。

水回りの目隠しのため木の板を立てた。鳥のオブジェはアクタスで。

水回りの目隠しのため木の板を立てた。鳥のオブジェはアクタスで。

キッチン背面には棚板を造作して、タイルをあしらった。

キッチン背面には棚板を造作して、タイルをあしらった。

造作のキャビネットは腰かけるのにちょうどいい高さ。床から浮かせた設計で、隙間にはルンバのステーションを設けている。

造作のキャビネットは腰かけるのにちょうどいい高さ。床から浮かせた設計で、隙間にはルンバのステーションを設けている。

スマートホームで快適に

「スマートホーム化も目指していて、アレクサを入れています。音声でロボット掃除機を動かしたり、テレビや照明を点けたりなどができて便利です」。
照明は暖色系から寒色系まで何段階にも調節することができ、時間帯やその時の気分で変えることが可能。
「ベッドルームは、夜はオレンジ色っぽく、朝は青白い太陽のような色に自動で切り替わります。朝は、朝日が登ってくるような感覚で目覚めたいと思っています(笑)」。
この1年はテレワークの時間も長かった。ワークスペースも照明の色調整ができ、灯りの効果でオンとオフを切り替えている。
ベッドヘッドの間接照明が、ホテルのような雰囲気。時間帯により色が切り替わる。

ベッドヘッドの間接照明が、ホテルのような雰囲気。時間帯により色が切り替わる。

達彦さんのワークスペース。イサム・ノグチのデスクランプも色が変化する。

達彦さんのワークスペース。イサム・ノグチのデスクランプも色が変化する。  

トイレにも大谷石を贅沢に。天井に板を張り、灯りを間接的に照らしている。

トイレにも大谷石を贅沢に。天井に板を張り、灯りを間接的に照らしている。

棚板を設けてパントリーを設置した。ラタンのカゴを使い、コロナ禍で増えた備蓄をアイテム毎に収納。

棚板を設けてパントリーを設置した。ラタンのカゴを使い、コロナ禍で増えた備蓄をアイテム毎に収納。

カフェのような寛ぎを

「ウェブエンジニアの妻も家で仕事をしているので、疲れたらウッドデッキに出て気分を切り替えられるのがいいですね」。
妻・佳奈子さんは以前シンガーソングライターとして活動しつつ、鹿児島で農業も体験。将来は自然を感じられるカフェを開く夢もあるのだそう。
「自宅もカフェのように寛げる空間にしておきたいんです。沖縄で拾ってきた貝殻や、旅先で買ってきた白樺など、家の中にも自然のものを置いて楽しんでいます」。
天井に埋め込まれたダウンライトはスピーカーも付いていて、Bluetoothで操作すると上から音のシャワーが降ってくる。最新の機能と自然を取り入れた心地よさ。その両面がリラックスできる空間を生んでいる。
ベランダから明るい光が差し込む。奥は佳奈子さんのワークスペース。

ベランダから明るい光が差し込む。奥は佳奈子さんのワークスペース。

「つばめカフェ」として活動していた佳奈子さんの作品。沖縄・大峰工房の器がお気に入り。 

「つばめカフェ」として活動していた佳奈子さんの作品。沖縄・大峰工房の器がお気に入り。 

愛犬・トイプードルのツンくん。暖かな日向 が大好き。

愛犬・トイプードルのツンくん。暖かな日向
が大好き。

山神達彦さんと佳奈子さん。ライトを取り付けたシェードは、夜は幻想的な雰囲気に。

山神達彦さんと佳奈子さん。ライトを取り付けたシェードは、夜は幻想的な雰囲気に。

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