隅田川沿いに建つ絶景の家家の中に街並みを作り、
家族で住める空間に
眼下の隅田川には屋形船や作業船がゆっくりと行き交い、対岸の佃のタワーマンションと月島の古い街並みを眺めることができる。この素晴らしい眺望のマンションは、2003年竣工のコーポラティブハウスだ。
「この眺めが気に入って購入した時は夫婦2人の生活でしたが、10年が経ち、子どもが増えて4人家族になりました。広いリビングと小さな部屋という間取りの1LDKの家に家族4人が住めるよう、オンデザインにリノベーションをお願いしました」
大小様々な箱が家族の居場所に
“夫婦で住んでいた家をファミリー仕様にリノベーションする”という課題を、オンデザインは”箱を作る”ことで解決した。リビングを敷地に見立て、部屋の中に建物と路地を作ったのだ。家族それぞれの居場所となる大小9つの箱は、高さも壁の色もまちまちで、どこか異国の路地裏に迷い込んでしまったような楽しさがある。
天井の高さを充分に活かし、箱の中も箱の上にも居場所が確保できるよう工夫されている。グレーの溶岩石の箱の上はベッドルームになっている。内部はウォークインクローゼットだ。茶色のレンガの中は子どもたちと奥様の寝室。内部からハシゴを昇ればレンガの家の屋上に出ることができる。
オンデザインの設計担当は、西田さんと現在は独立して稲山貴則建築設計事務所を構える稲山さん。
「実は他の建築事務所にもリノベーションの相談をしていたのですが、オンデザインはすぐに模型を作って見せてくれたんです。模型の中に手持ちの家具のミニチュアもちゃんと置かれていて、そのプレゼンテーションにすっかり惚れ込んでしまいました。すごいすごいと説明を受けているあいだ中、言い続けていました(笑)」
部屋を区切らず、箱を作ることで開放感を維持するアイディアには脱帽だったとか。
「タイルを自分たちで選んだり、家づくりに参加できたのも楽しかったです」