建具や造作家具で暮らしを整える 小規模リノベで叶えた
心地よい生活空間
これまでのリノベーションの経験を活かす
建設会社勤務の吉川優さん、大学准教授を務める綾子さんご夫妻と中学2年生のご長男、小学3年生のご長女の4人家族が暮らしているのは、川崎市にある駅からほど近い立地の築40年ほどになるマンションの3LDK。昨年8月にリノベーションを行い、建具や造作棚によって、機能面・意匠面を改良。新たな生活空間へと生まれ変わった。
「息子と娘の部屋をつくるために、息子が中学校に入学したタイミングで、リノベーションをしようと前々から決めていました。すでに以前の住まいや親戚の住まいなどでリノベーションの経験があったため、今回のリノベーションにあたっては改善したい点など要望を細部まで明確にすることができました」(綾子さん)。
今回の吉川邸のリノベーションの設計を担当したのは、建築事務所「A+Sa(アラキ+ササキアーキテクツ)」の代表取締役である設計士の佐々木珠穂さん。綾子さんと佐々木さんは、大学時代の先輩・後輩という間柄だ。
「依頼したきっかけは、A+Saの設計理念に共感していたこと。また、佐々木さんには私の大学の研究室でレクチャーをしていただいたこともあり、そうしたつながりもきっかけの一つです。佐々木さんには気軽に要望を伝えることができますし、同時に私たちの要望もしっかりと尊重してくれるので、ありがたかったです」(綾子さん)。
「息子と娘の部屋をつくるために、息子が中学校に入学したタイミングで、リノベーションをしようと前々から決めていました。すでに以前の住まいや親戚の住まいなどでリノベーションの経験があったため、今回のリノベーションにあたっては改善したい点など要望を細部まで明確にすることができました」(綾子さん)。
今回の吉川邸のリノベーションの設計を担当したのは、建築事務所「A+Sa(アラキ+ササキアーキテクツ)」の代表取締役である設計士の佐々木珠穂さん。綾子さんと佐々木さんは、大学時代の先輩・後輩という間柄だ。
「依頼したきっかけは、A+Saの設計理念に共感していたこと。また、佐々木さんには私の大学の研究室でレクチャーをしていただいたこともあり、そうしたつながりもきっかけの一つです。佐々木さんには気軽に要望を伝えることができますし、同時に私たちの要望もしっかりと尊重してくれるので、ありがたかったです」(綾子さん)。
LDKをメインにした部分的リノベーション
今回のリノベーションのメインとなったのはLDK。間取りに大きな変更はないが、家族の集まるリビングの空間をより広くするために、もともとリビングに隣接していた和室の壁を削り、新たな建具や造作棚などによって仕切り方を改良した。
「大きく派手な提案をするというよりは、いただいたご要望に対して、ひとつひとつ丁寧に応えていくことを心がけました。例えば、ダイニングテーブルやソファなどはもともと縦に置かれていたのですが、横にも置けるようにしたいという要望があったため、既存のものを生かせるように、細かく寸法調整をしながら場所をつくっていきました」と佐々木さん。
「大きく派手な提案をするというよりは、いただいたご要望に対して、ひとつひとつ丁寧に応えていくことを心がけました。例えば、ダイニングテーブルやソファなどはもともと縦に置かれていたのですが、横にも置けるようにしたいという要望があったため、既存のものを生かせるように、細かく寸法調整をしながら場所をつくっていきました」と佐々木さん。
リビングに隣接していた和室は、新たに子ども部屋兼綾子さんのワークスペースとして設えた。「基本的には娘の部屋として活用していますが、将来的には私の書斎とする予定で設計をお願いしました。現在もコロナ禍のため、テレワークなどでこの場所を使っています。できるだけリビングと一体化した空間にしたかったので、建具も光が抜ける開放感のあるものを要望しました。また、風通しを考慮して、欄間を設けたのもポイントのひとつです」(綾子さん)。
「手を加える」楽しみをつくる
吉川邸のLDKのなかでも特に目を引くのがキッチンとダイニングを仕切る藍色の壁。塗料はPORTER’S PAINTSの「納戸色」を採用し、ご家族みんなで塗装を行ったという。
「壁の色はi padを使って写真に色を塗ったりして、みんなで考えて選びました。自ら塗った、という経験があると、次は何色にしようかな、と手を加える楽しみや可能性が出てくるから面白いですよね」とご主人の優さん。
佐々木さん自身も住まい手自身が手を加える余地をつくることを心がけて家づくりに取り組んでいるという。「施工をすべて職人に任せてしまうと、アンタッチャブルな感じになってしまいます。今回のように部分的に施工に関わることで、今後も自ら手を加える感覚をもてるのはとても良いことだと思います」(佐々木さん)。
「壁の色はi padを使って写真に色を塗ったりして、みんなで考えて選びました。自ら塗った、という経験があると、次は何色にしようかな、と手を加える楽しみや可能性が出てくるから面白いですよね」とご主人の優さん。
佐々木さん自身も住まい手自身が手を加える余地をつくることを心がけて家づくりに取り組んでいるという。「施工をすべて職人に任せてしまうと、アンタッチャブルな感じになってしまいます。今回のように部分的に施工に関わることで、今後も自ら手を加える感覚をもてるのはとても良いことだと思います」(佐々木さん)。
リノベーションを行ってから、約半年。リビングには自然と家族が集まり、同じ空間で時間を過ごすことが増えたという。「これまでもリビングは家族が集まる場所ではあったのですが、どちらかというと受動的な感じでした。今は家族それぞれが能動的に選んで『居たくなる』心地よい場所になったと思います。子どもたちが成長するにつれて、一緒にいる時間にも変化が出てくると思いますが、壁の色の話のようにいろいろな可能性を残していただいたので、住まいがどのように変わっていくか今から楽しみにしています」(吉川さん夫妻)。家族の成長に応じたリノベーションを行った吉川邸。これからも家族やライフスタイルの変化とともにフレキシブルに姿を変えて、暮らしに寄り添っていくことだろう。