建築家がリノベーションした自邸住みながら手を加え
愛着のある家を作っていく
愛犬の足に優しい床をDIY
建築設計事務所no.555を主催する建築家の土田拓也さんは、築42年のヴィンテージマンションをリノベーション。奥様の未来さん、そしてスタンダードプードルのジウジちゃんの2人と一匹で暮らす家だ。
ここ横浜山手は20年以上過ごした愛着のある街。引越し先はこのエリア限定で探したのだそう。
ここ横浜山手は20年以上過ごした愛着のある街。引越し先はこのエリア限定で探したのだそう。
リノベーションは躯体以外のものは全て取り外し、広々とした風通しの良いワンルームとしている。
壁面はコンクリートの躯体現し、床は木、天井や一部の壁に吸音効果のある木毛セメント板を使っている。
床から72cmの高さで塗り止めしている白色塗装は、仕事から帰り、ソファに寝そべった際に「頭を白紙に戻す」といった暗示のようなものだそう。
DIYで棚やテーブルを必要な場所に作り、木毛セメント板を貼って音の反響を緩和するなど、住みながら少しづつ手を加えている。
「私は施主にも“家は造り込みすぎないほうがいい”とアドバイスしています。必要となれば、あとから追加できる余分があったほうが住みよい家になりますし、自分で家に手をかけるほど愛着も増します」
床はDIYで程よい硬さのボルドーパインにサンダーをかけ、浮造り加工した。現れた木目は適度なひっかかりがあり、ジウジちゃんの足にも優しく、傷も気にならない。
「自分の家なのであえて“手間”をかけました。
今後も生活に合わせて、少しずつ付け足すことを楽しみたいと思っています」
自邸ならではの実験的な試み
自邸だからこそできる建築家の遊び心溢れる試みが随所に溢れている。
たとえばキッチン。天板はステンレスだが、架台はスチール製だ。少しづつ錆が浮いてきて、経年変化を楽しめる。
「錆びるとどうなるだろうと興味はあったのですが、自邸でないとなかなか実現できない取り組みでした」
たとえばキッチン。天板はステンレスだが、架台はスチール製だ。少しづつ錆が浮いてきて、経年変化を楽しめる。
「錆びるとどうなるだろうと興味はあったのですが、自邸でないとなかなか実現できない取り組みでした」
水栓は業務用。水とお湯の2本の水道管が床から立ち上がる。食洗機の裏側が見えるのもおもしろい。
広い空間にそれぞれの居場所を作る
約100㎡がひとつながりのワンルームにした土田邸。動かせなかったパイプスペースをはさみ、リビング側とベッドルーム側が分かれている。
トイレやバスルームに扉がないので、湿気も籠もりにくい。
トイレやバスルームに扉がないので、湿気も籠もりにくい。
広いベッドルームは、拓也さん側と未来さん側にゆるやかに分けている。それぞれの居場所があって心地良さそうだ。